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ハーネル StG44突撃銃 - Wikipedia

ハーネル StG44突撃銃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


ハーネルStG44突撃銃
種類 突撃銃
製造国 ドイツ
設計・製造 ハーネル社
口径 7.92mm
銃身長 419mm
ライフリング
使用弾薬 7.92mm×33
装弾数 30発(弾倉式)
作動方式 ガスオペレーション
全長 940mm
重量 5.22kg
発射速度 毎分500-600発
銃口初速 685 m/s
有効射程 300 m
ノート テンプレート解説)

ハーネルStG44突撃銃(Sturmgewehr44=StG44)は、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツにより量産された、アサルトライフルの原形となる軽量自動小銃である。“Maschinenkarabiner”(機関カービン銃)計画により開発された銃の最終形態で、開発途上にはMkb42(H)、MP43短機関銃(Machinenpistole43)、MP44短機関銃(Machinenpistole44)といったプロトタイプが存在する。

目次

[編集] 概要

ナチス・ドイツ第三帝国における官僚政治が主な原因で、Mkb42(H)から、種々の名前の変遷を経た。最終的にはStG44として量産された。

MP43、MP44、StG44は、些末な改修を加えて名前を変えただけの、ほとんど同一の武器である。StG44は“Strumgewehr”(Sturm=「突撃」、Gewehr=「銃」)と呼ばれ、一般的には「アサルトライフル(突撃銃)」と翻訳された。この銃は、特色として短機関銃(サブマシンガン、SMG)と自動小銃を組み合わせたものとなっている。この訳語「アサルトライフル(突撃銃)」は、このクラスの武器を表す言葉として、その後たいへんポピュラーなものとなった。

この銃は、弾薬に7.92mm標準ライフル弾の短いバージョンを使用した。装薬量を減らし射程を短めに設定し、兵士1人あたりの携行弾薬数を増やす事が出来た。武器としてのデザインと相俟って、SMGのような近接戦闘も、SMGより遠距離かつ高精度の射撃も可能となった。しかし、標準のライフルよりは射程も威力も弱い。幸いなことに、実戦に投入されたケースの多くは、市街戦など近距離での戦闘や、森林地帯での戦闘であったので、さほど問題とはならなかった。また、当初の設計思想そのものが射程600m程度の一般的な戦闘を想定したものだった。いずれにせよロシアの大平原を戦場の舞台とするような射程1000m以上もの武器は大戦中期以降、さほど重要視されなくなっていた。

[編集] 背景

第二次世界大戦を通じてドイツ軍を悩ませていたのは、歩兵兵力の過少と火力の不足であった。ドイツ軍の歩兵戦術において、歩兵の火力の要は機関銃であるとされ、小銃兵の任務は機関銃を擁護することとされていた。これに用いられたMG34はすぐれた汎用機関銃であったが、それでも機動は軽快とはいえなかった。

第二次世界大戦の激しい機動戦は、結果として広範な戦闘正面に過小な歩兵戦力を配置した戦線を広げた。歩兵の密度は戦闘教範の想定よりも低く、攻勢においても防御においても発射される弾量は減少した。また市街戦では、ドイツ軍歩兵分隊の火力は明らかに不足しており、機関銃の援護はしばしば不十分であった。このため、兵士達はSMGを頻繁に使い始めた。突撃兵として知られる分隊が、移動中でもすばやく射撃できるためである。SMGはピストル弾を使用しているため、射程が短く威力の不足が問題であった。突撃兵は市街から離れて近郊地区に出ると、無効となったSMGをあきらめ、再びライフルの使用に切り替えた。

一方でソ連赤軍は大戦前から自動小銃の装備を始めていた。トカレフSVT-38及びトカレフSVT-40などの半自動小銃が相当数配備されており、これらの調達数はドイツ軍のKar98kライフルを凌いでいた。ソ連軍が自動小銃を配備していることを知った前線の歩兵部隊からは、同様の自動小銃の配備を要求する声があがっていた。ドイツ軍も、Gew41(Gewehr41)などの半自動小銃を開発していたが、これは成功した兵器とは言えず、生産は少量にとどまった。この銃は狙撃兵など限定的な部隊に支給された。

分隊支援用自動火器の研究は続けられたが、7.92mmモーゼル弾の反動は強力で、これを使用した小銃では、銃の重量はつねに過大となり、射撃時の命中精度は低下した。この問題を解決するためには、より反動の低い新たな弾丸を使用することが必要だった。ライフル弾とピストル弾の中間の威力を持つ弾薬を用いた研究は、1930年代から実験ずみであったが、軍は新たな弾薬の採用を拒否してきた。1941年までに、新弾薬として、7.92mm×33 “Kurzpatrone”(短銃弾)が提案されていた。もとは7mm×33として開発されたが既存の7.92mm×57弾と同口径とすることで、生産設備が流用できるという利点があった。、

[編集] MKb42

短銃弾を用いた自動小銃の開発契約は、ワルサー社とハーネル社の両方に送られた(設計グループはヒューゴ・シュマイザーにより統率された)。彼らはMaschinenkarabiner 1942(MKb42)、文字通り「機関カービン銃」の名前で、試作武器を提出するよう要求された。双方の設計は大部分が酷似しており、ガス圧作動式であった。そして、セミオート(単射)・フルオート(連射)発射モードを備えていた。

ハーネル社設計のオリジナル版MKb42(H)は、オープンボルト式・ストライカー式であった。レシーバと、ピストルグリップ式のトリガーハウジングは、鋼鉄打ち抜き加工により製作され、バレル・アッセンブリのヒンジに取り付けられた。さらに、機関部に開閉構造を採用し、分解・清掃が短時間でできるようにされた。このハーネル社のMKb42(H)は、ワルサー社のMKb42(W)よりも優れていることが分かり、軍はいくつかのマイナーチェンジを加えた次のバージョンをハーネル社に求めた。一つは銃剣マウントの取り付け、もう一つはライフリング(旋条)のピッチ変更である。

これらを変更した量産先行品は1942年11月に実地に送られた。使用者はこれを愛用し、予約も出た。変更点をさらに加えた別のセットは、排莢部をヒンジ式カバーとし、移動中の清掃を楽にした。また、スコープ装着用のレールも取り付けられた。これらの変更点を加えたMKb42(H)は、1942年後期から1943年初期にかけて、11,833挺が実戦試験用に量産された。

[編集] MP43

新バージョンが開発中であった1942年後半には、第三帝国内での内部抗争は最高に激化していた。ヒトラーはこれによりますます混乱し、ヘルマン・ゲーリングが製作させたFG-42と、開発に努力を払っていた陸軍のGew41半自動小銃を中止させるだけでなく、全ての新ライフル銃開発計画を中止させた。この中には、開発途上のMKb42(H)も入っていた。この銃は新しい弾薬を使うため、軍の配給が混乱する問題をヒトラーが懸念したのも一因である。

武器開発計画を保護するため、従来のモーゼル弾を使った新計画Mkb43(G)がガストロフにより始められた。これを量産する意図はなかったが、ヒトラーが銃の開発状況について尋ねた時には、常にこの銃のプロトタイプを見せるようにしていた。

オープンボルト作動式のMkb42(H)からクローズドボルト作動式のMP43に至る過程で名称はまずMP43/1となった。MP43とMP43/1の相違点はごく僅かだが明白な違いとして確認出来る。MP43/1の作動方式はクローズドボルトでMP43と同じ。銃口部分はねじ込み式の擲弾筒(グレネードランチャー)を取り付ける為のねじ切りが余分にしてあり(Mkb42と同一)バレルナットもMkb42と同一のものであった。バレルはMP43が銃口に向かって一段細く切削加工されているのに対して、MP43/1のバレルは同一径の筒状であった。フロントサイト基部の形状も大きく違っている。また、リアサイト基部にはZF41照準機を取り付けるレールがプレスされている。シリアルナンバー上ではa系とb系がありa系のリアサイトには照準機取り付け用レールに照準機を固定する為の切り欠きがあった。のちのMP43以降はKar98k用擲弾筒(グレネードランチャー)を流用する為にフロントサイト基部の形状が改められている。

もともとのMKb42(H)はMP43/1という過渡期の形状を経て、名称をMaschinenpistole 43(MP43)と呼び替えられ、既存のSMGの改良版であると擬装された。

これらの計画の真相が浮上したため、ヒトラーはもう一度この計画の中止を命令した。しかし、1943年3月に彼は、評価目的のために計画の実行を継続することを認めた。その後、戦場からの良好な戦闘報告を受け、9月まで継続された。 以後、MP43が同一形状のまま、MP44、Stg44として遷移して行く事になる。

[編集] MP44, StG44

1944年4月6日、ヒトラーは次のように命令した。

  • a)これまでのMG42は、今後も同じ名称とする。
  • b)これまでの自動装填銃すなわちGewehr43は、新名称Karabiner 43(K43)とする。
  • c)これまでの新型MPすなわちMP43は、新名称MP44とする。

1944年7月の東部戦線における様々な会合において、ヒトラーの「君の要求は?」という質問に対する最も普遍的な回答は、「もっと多くの新型ライフルを」というものであった。これは彼に少し混乱を引き起こしたが、一旦何が起こっているかをヒトラーが悟った時、彼はMP44をフル生産する許可に合意した。宣伝的にも勝利することを見越して、これが新しいクラスのライフルであることを強調するため、文字通り「1944年式Strumgewehr(突撃銃)」すなわちStG44と名付け替えられた。このために“Sturmgewehr”という用語が導入された。

終戦までの間に、バリエーションを含めて425,977挺が量産された。StG44は、特に東部戦線正面(この銃が最初に試用された場所でもある)において、非常に実用的な銃であることを実証した。StG44と共に効果的に訓練された兵士は、MP40の射程では不足な長距離でも、またKar98では近すぎる市街戦でも、より改善された戦術上のレパートリーをもたらすことを証明した。また、LMGのような軽援護射撃を行うこともできた。MP43/M44は端境期の武器であった。

StG44の42cmにわたる銃身からの初速は647m/sになる。比較すると、Kar98kが732m/s、ブレンが744m/s、M2カービンが585m/s、MP40が365m/sとなっている。

“Krummer Lauf”と呼ばれる有用な設計もなされた。これは、銃身を緩やかに折り曲げ、かつ潜望鏡で照準を行い、安全な位置から射撃を行うためのデバイスである。これにはいくつかのバリエーションがある。歩兵用“I”バージョンと戦車兵用“P”バージョンで、後者は特に戦車の死角となる位置を射撃するのに有用である。曲げ角度には30度・45度・60度・90度があり、StG44用とMG42用がある。30度のStG44“I”バージョンは、少数が量産された。

[編集] 後期のプロトタイプ

モーゼル(マウザー)は、ローラーロッキングによるディレード(遅延)ブローバック方式を採用したStG45(M)プロトタイプを開発していた。これらは後に、CETME、H&K G3およびMP5に引き継がれた。

終戦の直前に、さらに安価に量産するための土壇場の努力があった。これはVolksgewehr(国民銃)と呼ばれ、そのプロトタイプのうち、いくつかはガス・ブローバック方式を採用していた。

[編集] 戦後

「アサルトライフル」という用語は、現在では広範囲をカバーする単語である。StGが本来意味する「アサルトライフル」は、ナチス・ドイツの機関銃(MG42など)と、ライフル(Kar98kなど)・SMG(MP40など)の隙間を埋めたが、戦後のソ連以外の各国はその事を理解しなかった。小型のLMGが広範に普及しだしたこともあり、またM1カービンのような中間的な銃器があったという事情もある。

第二次世界大戦でドイツ軍と死闘を繰り広げ、数多くの教訓を得たソ連は他国に先んじて急速にアサルトライフルの概念を適応させた。AK-47は、StG44同様に分類された弾薬を使用し、設計思想を引き継いだ。ただし、内部の機械的構造は異なっていた。この銃は英語での訳語「アサルトライフル」を顕著にし、より広めることとなった。

他の西側諸国の多くは、既存の武器を使用し続けた。7.62mm×51 NATO弾の採用は西側のアサルトライフルの出現をさらに遅らせる事となった。

その後、NATO弾は7.62mm×51から5.56mm×45に著しく変更されたが、これは携行弾薬の増加を狙ったものである。変更された弾薬は、より小さくより高初速になり、武器それ自体も軽くなった。この点では、M2カービン(M1カービンのフルオートが可能なタイプ)および弾薬のように、歴史を遡るかのようである。ソ連もその利点に着目し、AK-74にはこれらの思想を取り入れ、NATO弾に似た5.45mm×39弾を採用した。

[編集] 登場するメディア・作品

[編集] ゲーム

[編集] 漫画

[編集] 小説

  • 魔弾 スティーヴン・ハンター作。カスタマイズされたStG44がナチス・ドイツ武装親衛隊の特殊な狙撃作戦に使用される。ドイツには他に優秀な狙撃に適したボルトアクションの銃があるのに何故狙撃には最適とはいえないStG44をあえて使うのか、というのがこの作品の鍵となっている。

[編集] 映画

[編集] アニメ

2000年から製作されたOVA版の中でドイツ兵の主力火器の一つとして登場。

[編集] 関連項目


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