イラリオン・アルフェエフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イラリオン・アルフェエフ主教(Епи́скоп Иларио́н Алфе́ев, Bishop Hilarion Alfeyev、1966年7月24日 - )は、モスクワ総主教庁のもとにあるウィーンおよびオーストリアの主教(正教会)[1]。聖職者であり、神学者であり、歴史学者であり、作曲家である。
出版された著作はロシア語のみならず、英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・フィンランド語・セルビア語など多言語にわたった版が存在し、日本正教会の信徒(ニコライ高松光一)によって日本語にも翻訳されている。
目次 |
[編集] 略歴
1966年7月24日、モスクワに生まれる。
モスクワ音楽学校等でヴァイオリン・ピアノ・作曲等の音楽教育を受けた。1984年から1986年までの兵役を終えてから、1987年1月、ヴィリニュスの聖神修道院で修道士となり、同年6月21日に輔祭に叙聖され、同年8月19日に司祭に叙聖されている。その後、モスクワ神学校を1989年に卒業、1991年にモスクワ神学大学を卒業。
1991年から1993年まで、教義神学、新約研究、ビザンツ帝国時代のギリシャ語を、モスクワの諸神学校で教えた。
1995年には博士論文である「新神学者シメオンと正教会の伝統」を、カリストス・ウェア主教の指導下にオックスフォード大学にて完成している。
1995年から2001年まで、ロシア正教会渉外局キリスト教関係部書記を務める。1998年には世界教会協議会に対する正教会の関与のあり方に関連した「エキュメニカル運動に関する諸問題を討議する正教会間会合」に出席した[2]。
2001年12月27日には主教に叙聖され、2003年5月7日にはウィーンおよびオーストリアの主教に着座した。
[編集] 作曲家として
初期の世俗曲の他、「混声合唱のための聖体礼儀」(2006年)、「徹夜祷(晩祷)」(2006年)といった正教会の奉神礼のための作曲がある。正教会の聖歌は無伴奏声楽である事が基本的原則であるため、これらの作曲は全て無伴奏声楽である。
また、「オーケストラと合唱と独唱者のための聖マタイ受難曲」(2006年)、「少年合唱・混声合唱と大オーケストラのためのクリスマスオラトリオ」(2007年)といった、奉神礼以外の場における宗教曲も作曲している。これらは奉神礼の場で用いるものではなく演奏会用なので、楽器も用いられている。
[編集] 脚注
- ^ 正教会の主教は、管轄する都市名と地域名の両方をタイトルとして与えられる事が一般的であり、両者を「および」で結ぶのは日本正教会における定訳である。
- ^ エキュメニカル運動に関する諸問題を討議する正教会間会合の声明文 - イラリオン・アルフェエフ主教が書記時代に参加した会合で出された声明文の日本語訳。
[編集] 日本語訳された著作
- イラリオン・アルフェエフ著、ニコライ高松光一訳『信仰の機密』東京復活大聖堂教会(ニコライ堂) 2004年
[編集] 外部リンク
- Bishop Hilarion Alfeyev - イラリオン・アルフェエフ主教のサイト。英語版にリンクしているが、ほかにロシア語・フランス語版がある。