アルカディア号
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アルカディア号(Arcadia)は、松本零士の漫画・アニメ作品『宇宙海賊キャプテンハーロック』などに登場する架空の宇宙戦艦。また、ハーロックの遠い先祖ファントム・F・ハーロックが操る複葉機の名称。本項では、前者について記述する。
アルカディア号 (髑;髏艦首版の正式名称は わが青春のアルカディア号) |
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建造 | 鋭角艦首型:惑星ヘビーメルダーの地下ドック ( 『宇宙海賊キャプテンハーロック』アニメ版での設定) 髑髏艦首型:イルミダス地球占領軍総司令部 |
種別 | 宇宙戦艦 (海賊旗艦、戦闘海賊船とも) |
全長 | 400m |
全幅 | 290m [1] |
全高 | 160m |
推進 エンジン |
次元流体動力エンジン×2 動力源:エネルギー鉱石グラビューム |
収容能力 | 正規乗員数:41名 |
艦長 | ハーロック |
設計者 | 大山トチロー |
主な武装など | |
主な搭載機 | 宇宙戦闘機SW-190 スペースウルフ (高速戦闘用単座小型機) ボレット各種
三輪式高速斥候バギー |
目次 |
[編集] 概要
宇宙海賊として知られるハーロックの乗艦。理想郷アルカディアの名を冠しているように、地球を含めあらゆる束縛に反旗を翻し、自由を求めて大宇宙に己の旗を掲げる無法者ハーロックを象徴する艦である。
設計者はハーロックの古い盟友、大山トチロー。彼の死後は、中央大コンピュータにその魂を宿している。ハーロック以外に40人の海賊と1羽のトリと1匹の猫が同乗している。
[編集] デザイン・仕様など
全長400mという巨大な宇宙船であり、艦橋部と3連砲塔はヤマトとも共通して第二次世界大戦までの戦艦を意識したデザインだが、船体後部はあたかも大航海時代の帆船のような船尾楼を有しており、独特の様式美を見せている。トチローの指示により、随時改造や改良がクルーによって行われており、宇宙中でも常にトップクラスの戦闘力を保持している。 黒字に白抜きの髑髏が描かれた海賊旗を装備しており、『ニーベルングの指環』でのトチローの弁によれば、真空中でもはためくようにマストに細工が施されているとのこと。 船体側面にある髑髏の目の部分から、艦外に出ることも可能である。
なお、艦首部分については最も大きな異同がある。漫画版では、先端が鋭角になった艦首を持つタイプが登場するが、のちに映画版『銀河鉄道999』でマッコウクジラの頭部のような形態に髑髏の紋章を彫りつけたアルカディア号が登場した。『ニーベルングの指環』や『コスモウォーリアー零』など、90年代以降の作品では、鋭角艦首型は「デスシャドウ号」、「同 2号艦」などと呼ばれている(映画版『999』および『ハーロック』漫画版に登場したデスシャドウ号は、若き日のハーロックとトチローが建造したもので、惑星ヘビーメルダーの砂に突き刺さっている)
[編集] 武装
ハーロック曰く「戦闘海賊船」というだけあり、さまざまな武装がなされている。
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- 三連装パルサーカノン
- アルカディア号の主砲。鋭角艦首型は2基、髑髏艦首型は艦底に1基追加で3基となっている。『ハーロック』漫画版では専らこの武器を使用しており、スペースバスターなどは使用されていない。
- 速射砲
- 艦橋真下に装備された速射砲スペースバスターは、主に戦闘機の迎撃に使用される。また、「宇宙モリ」ハープーンの発射も可能。これは敵艦内部に打ち込み、冷凍ガスを放出して艦内の乗組員を一時的に凍結させるというものである。
- この他にも艦橋中央部左右に1基ずつ、船体の左右側面に1基ずつでスペースバスターと合せ、計5基の速射砲が配置されている。
- 鋭角艦首型の艦首に内蔵された決戦兵器だが、2003年の『SPACE PIRATE CAPTAIN HERLOCK』では髑髏艦首型も内蔵している。戦闘時には下部からせり出して、海賊式体当たり戦法を取ることができる。
- 艦首ミサイル発射装置×6
- 髑髏艦首型の装備。左右に発射口が3つあり、使用時にはハッチが発射口内部にスライドする。ミサイルは水中でも使用可能(『無限軌道SSX』15話)。
- 移乗白兵戦用アンカーチューブ
- 敵艦内部への突入時に使用。打ち込んだチューブの先端が開閉式になっているため、艦橋にも直接乗り込むことができる。敵艦に乗り込んでの白兵戦は、ハーロック曰く「海賊の伝統」。
[編集] 運用
普通の船では、交代要員などによる二部制で運用され乗組員は交代で休みをとるが、本艦においてはミーメ以外は全員一斉に寝ている。これはコンピューターが自動で航路を判断し、航行できるためである。そのため、40人という少ない人数でも運用が可能となっている。なお、『ハーロック』ではスペースウルフやボレットなどによる宇宙戦闘機などで戦いに出る者も多いため、実質的にはさらに少ない人数でも運用可能である。
操舵手は特に決まっていない。場合に応じてヤッタランや有紀蛍が舵輪を握っている。『ハーロック』漫画版では、ハーロック自身は艦長席に腰を下ろして乗組員に指示を出していることが殆どだが、アニメ版や後述する各アニメ作品では、ハーロック自ら蛇輪を握ることも多い。 また、舵輪は艦橋内に配置されているほか、髑髏艦首型では船尾楼の一番後側にも配置されている。『999』映画1作目や『無限軌道SSX』最終回では、ハーロック自ら甲板に出てこの船尾楼の上に配置されている舵輪を握り、舵取りを行っている。ただし、艦外に出るため爆風に煽られやすくなるなど危険性が増す上に、目の前に戦闘艦橋がそびえる形となるため、視界の確保も十分とは言いがたいものとなっている。
副長ヤッタランはじめ乗組員達は普段は規律も何もないグータラな生活をしているが、いざ戦闘となると一変して各自の役割を一糸乱れぬ統率でこなしている。これはハーロックの「本船は我々の家でもあり、家の中でまで畏まっていては何も出来ない。いざという時にやるべき事さえやればそれでいい」という考えに依る物である。
[編集] 主な乗組員
詳細は宇宙海賊キャプテンハーロック#登場人物を参照
[編集] 補足
- 海外のファンサイトでは鋭角艦首型を「BLUE ARCADIA」、髑髏艦首型を「GREEN ARCADIA」と船体色で呼び分けている。
- この宇宙戦艦に因んで、東亜国内航空(後の日本エアシステム)では、キャンペーンとしてDC-9型機に「アルカディア号」と塗装し、「当日にならなければ行き先がわからない。行き先不明の旅。」というミステリーフライトのキャンペーンを展開していた。
- 髑髏艦首型の艦はバンダイによって模型化されたが、初期の商品名「アルカディア号」から、のちに「キャプテンハーロック号」と変更がなされた。版権上の問題と考えられている。
- 無敵の海賊戦艦とも称される本艦だが、唯一の死角がある。ハーロックの弁によれば船尾左右8度5分。また、艦橋と船尾楼の間にドームがあり、ここが中枢大コンピューター室と思われているがこれはハーロック曰く偽装(いずれもアニメ版『ハーロック』第12話での発言)。実際はこの更に下にあり、船体内部にある。
- アルカディア号のデザインは松本零士ではなく、スタジオぬえによるもの(デザイン原案は松本)。後にデザインされた髑髏艦首型は、体当たり戦法での見栄え重視によるものであり、デザインとしては最初の鋭角型のほうがまとまりが良かったとは、当人の弁である。
- 諸元に関しては変更がなされることもあり、小泉和明画集「超機械絵図」の中では全長499m、重量215000tと紹介されている。「ニーベルングの指輪」以降はこちらの設定を使用しているようである。
[編集] リンク
- デスシャドウ2号艦 (鋭角艦首型)
- わが青春のアルカディア号 (髑髏艦首型)
[編集] 出典・脚注
- ^ 全長の約4分の3という長さだが、この長さだと実際に立体化した場合、翼面積が設定画よりも大きくなってしまう。