アムトラック

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アムトラックの列車

駅で待機中の機関車

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アムトラック(Amtrak)は、アメリカで1971年に発足した、全米をネットワークする鉄道旅客輸送を運営する公共企業体。正式名称は、全米鉄道旅客輸送公社(National Railroad Passenger Corporation)で政府出資の株式会社という形態をとっている。アムトラックの名称は、American Track by Rail に由来する。

[編集] 概要

第二次世界大戦後の航空輸送の台頭により、アメリカの鉄道旅客輸送は減少の一歩をたどっていたが、その傾向は1960年代に加速し、この時期、民営鉄道会社による旅客列車は激減した。残存するわずかな列車についてもその存続が危ぶまれた事から、鉄道旅客輸送を維持するために、各地域の鉄道会社の旅客輸送部門を統合した全国一元的な組織として設立されたのがアムトラックのはじまりである。

形態としては、日本のJRの旅客会社と貨物会社を逆転した形になっており、自前の路線は「北東回廊線」と呼ばれるボストン市－ニューヨーク－ワシントンD.C.間とミシガン州の一部区間のみで、その他の地区では各社の線路を借りてアムトラックが自前の旅客列車を運行する形になっている（日本でいう第二種鉄道事業者）。また、都市圏の旅客列車の一部の運行委託を請け負っている。

発足直後に起こったオイルショックは、鉄道輸送にとって有利な要因ともいえたが^[要出典]、1980年代の航空産業の規制緩和（1978年航空規制緩和法を契機とした格安航空会社の台頭）による都市間旅客輸送市場における競争激化は鉄道の利用客を奪った。こうした事情もあり経営はずっと赤字で、連邦政府や運行地域の一部の州からの財政援助に頼っているのが現状である。

2001年9月のアメリカ同時多発テロの後、アメリカ人の多くが民間航空機による移動を避けてアムトラックなどの航空機以外の移動手段を選択したために一時的に業績は回復を見せたものの、2000年頃から脱線・転覆事故など重大事故を毎年のように起しており、その度に都市間旅客鉄道事業そのものの廃止が取沙汰されている。また、沿線の特に無人駅舎には大量のゴミと落書きが頻繁に見受けられ、その環境の悪さも影響の一つである。

[編集] 列車、利用者層など

アムトラック列車「Sunset Limited」

基本的には指定席で予約を入れる必要があるが、自由席もある。

北東回廊線を除き、基本的には寝台車と座席車（コーチ）で構成されている。車両編成によってはビジネス席のある車両も存在する。低所得層や時間に緊迫でない観光や現役を引退した熟年層の利用が主である。

北東回廊線は、アムトラックの稼ぎ頭であるが、都市間バス（グレイハウンド、トレイルウェイズ、中国系など複数あり）や国内航空（シャトル便）との競合が激しく、ビジネス客の獲得に力を入れている。

[編集] アムトラック・ルート

アムトラックはそれぞれの列車に名前を付けている。北東回廊線や一部の短距離都市間列車を除いて、1日1本から週3本程度の運行である。

一部の都市には、最寄駅から連絡バスを運行している。（例・駅のあるオークランドから、駅の存在しない主要都市サンフランシスコへ連絡バスが運行されている）

[編集] 現在運行しているアムトラック・ルート

列車名	目的地	頻度
Acela Express	マサチューセッツ州ボストン - ワシントンD.C. （高速列車）	毎日数便
Adirondack	ケベック州（カナダ）モントリオール - ニューヨーク州ニューヨーク	毎日
Amtrak Cascades	ブリティッシュコロンビア州（カナダ）バンクーバー - オレゴン州ユージーン	毎日数便
Ann Rutledge	ミズーリ州セントルイス - ミズーリ州カンザスシティ	毎日
Auto Train	バージニア州ロートン - フロリダ州サンフォード	毎日
Blue Water	イリノイ州シカゴ - ミシガン州ポートヒューロン	毎日
California Zephyr	イリノイ州シカゴ - カリフォルニア州エメリビル	毎日
Capitol Corridor	カリフォルニア州オーバーン - カリフォルニア州サンノゼ	毎日数便　なお、途中のサクラメント－オークランド間は日に15便程度あり。
Capitol Limited	ワシントンD.C. - イリノイ州シカゴ	毎日
Cardinal	ニューヨーク州ニューヨーク - イリノイ州シカゴ	週に3日間
Carl Sandburg	イリノイ州シカゴ - イリノイ州クインシー	毎日
Carolinian	ニューヨーク州ニューヨーク - ノースカロライナ州シャーロット	毎日
City of New Orleans	イリノイ州シカゴ - ルイジアナ州ニューオーリンズ	毎日
Coast Starlight	ワシントン州シアトル - カリフォルニア州ロサンゼルス	毎日
Crescent	ニューヨーク州ニューヨーク - ルイジアナ州ニューオーリンズ	毎日
Downeaster	メイン州ポートランド - マサチューセッツ州ボストン	毎日数便
Empire Builder	イリノイ州シカゴ - オレゴン州ポートランド/ワシントン州シアトル	毎日
Empire Service	ニューヨーク州ニューヨーク - ニューヨーク州ナイアガラフォールズ	毎日数便
Ethan Allen Express	バーモント州Rutland - ニューヨーク州ニューヨーク	毎日
Heartland Flyer	オクラホマ州オクラホマシティ - テキサス州フォートワース	毎日
Hiawatha	ウィスコンシン州ミルウォーキー - イリノイ州シカゴ	毎日数便
Hoosier State	インディアナ州インディアナポリス - イリノイ州シカゴ	毎日（Cardinal号運行日にはCardinal号の一部として運行）
Illini	イリノイ州シカゴ - イリノイ州カーボンデール	毎日
Illinois Zephyr	イリノイ州シカゴ - イリノイ州クインシー	毎日
Kansas City Mule	ミズーリ州セントルイスからミズーリ州カンザスシティ	毎日（片道）
Keystone	ニューヨーク州ニューヨーク - ペンシルバニア州ハリスバーグ	毎日数便
Lake Shore Limited	ニューヨーク州ニューヨーク/マサチューセッツ州ボストン - イリノイ州シカゴ	毎日
Lincoln Service	イリノイ州シカゴ - ミズーリ州セントルイス	毎日数便
Maple Leaf	オンタリオ州トロント - ニューヨーク州ニューヨーク	毎日
Pacific Surfliner	カリフォルニア州San Luis Obispo - カリフォルニア州サンディエゴ	毎日数便
Palmetto	ニューヨーク州ニューヨーク - ジョージア州サバンナ	毎日
Pennsylvanian	ニューヨーク州ニューヨーク - ペンシルバニア州ピッツバーグ	毎日
Pere Marquette	イリノイ州シカゴ - ミシガン州グランドラピッズ	毎日
Piedmont	ノースカロライナ州ローリー - ノースカロライナ州シャーロット	毎日
Regional	マサチューセッツ州ボストン/スプリングフィールド - バージニア州ニューポートニュース	毎日数便
St. Louis Mule	ミズーリ州カンザスシティからミズーリ州セントルイス	毎日（片道）
San Joaquins	カリフォルニア州オークランド - カリフォルニア州ベーカーズフィールド	毎日数便
Saluki	イリノイ州シカゴ - イリノイ州カーボンデール	毎日
Silver Meteor	ニューヨーク州ニューヨーク - フロリダ州マイアミ	毎日
Silver Star	ニューヨーク州ニューヨーク - フロリダ州マイアミ	毎日
Southwest Chief	イリノイ州シカゴ - カリフォルニア州ロサンゼルス	毎日
Sunset Limited	フロリダ州オーランド^[1] - カリフォルニア州ロサンゼルス	週に3日
Texas Eagle	イリノイ州シカゴ - テキサス州サンアントニオ	毎日
Vermonter	バーモント州St. Albans - ワシントンD.C.	毎日
Wolverine	イリノイ州シカゴ - ミシガン州ポンティアック	毎日3往復