メトロライナー
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メトロライナー(Metroliner)は、アメリカ合衆国の電車列車。1969年に投入され、1980年代までニューヨーク~ワシントン間を最高速度190km/hで走行した。
[編集] 沿革
ペンシルバニア鉄道により計画され、1969年就役、1971年からはアムトラックに引き継がれた。アメリカ東部のメガロポリス地域(ボストン~ワシントン間)では、第2次世界大戦後は自動車と航空機、特に自動車が交通の主流となって鉄道は衰退したが、メガロポリス内の陸上輸送手段を自動車のみによるのは不可能であり、また1964年に日本で東海道新幹線が開業して東海道メガロポリスの交通機関として成功を収めたこともあり、アメリカでも鉄道が再評価された。その一環として開発されたのがメトロライナーである。
しかしメトロライナー投入後も全体としてはアメリカの鉄道事業は斜陽化し、メトロライナーの運用もペンセントラル鉄道からアムトラックに移った。1980年代に入ると車両の故障が頻発し、電車列車は退役、メトロライナーの名は電気機関車牽引の客車列車に引き継がれた。それも2000年にアセラ・エクスプレスの登場により運行を縮小、2006年には廃止された。
[編集] 性能
ここでは電車列車のメトロライナーについて述べる。
この列車は11000V、25Hzの交流電源による電車で、最少2両、最大16両までの編成運転が可能であった。そのためもあって、車体は新幹線0系のような流線型ではなく、一般の電車と同様の箱型をしていたが、最高速度257km/hを記録している(新幹線0系は256km/h)。更に、ボルチモア~ウィルミントン間を平均速度150.1㎞/hで走行したが、これは1970年代半ばの段階ではイギリス・フランス・ソ連などの最高速列車を上回り、東海道新幹線の「ひかり」に次ぐ世界第2位の記録であった。