成田線
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成田線(なりたせん)は、以下の路線から構成される東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(幹線)である。
- 千葉県佐倉市の佐倉駅 - 千葉県銚子市の松岸駅間の本線。通称佐松線(さまつせん)。
- 千葉県我孫子市の我孫子駅 - 千葉県成田市成田駅の間の支線[1]。通称我孫子線(あびこせん)。
- 千葉県成田市の成田駅 - 同市の成田空港駅間の支線[1]。通称空港線(くうこうせん)
このうち本線久住 - 松岸間を除く区間が東京近郊区間に含まれる。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄・路線距離(営業キロ):全長119.1km
- 軌間:1067mm
- 駅数:27駅(起終点駅含む)
- 複線区間:佐倉駅 - 成田駅間
- 単線区間:成田駅 - 松岸駅間、我孫子駅 - 成田駅間、成田駅 - 成田空港駅間
- 電化区間:全線(直流1500V)
- 閉塞方式:
- 下記以外:(複線及び単線)自動閉塞式
- 水郷 - 松岸:自動閉塞式(特殊)
- 運転指令所:千葉輸送指令室
- Suica利用可能区間
- 佐倉駅 - 成田駅(久住駅以遠は2009年春以降サービス開始)
- 我孫子駅 - 成田駅
- 成田駅 - 成田空港駅
なお、支社の管轄は次の通り。
[編集] 概略
[編集] 本線
佐倉駅で総武本線から北へ分岐し、千葉県北部の利根川に沿ったルートを通って松岸駅へ至る路線。一般的には総武本線に所属する区間を含めた千葉駅から成田駅を経由し銚子駅へ向かう運転系統の呼称として成田線が使われている。佐倉から成東駅・八日市場駅を経由して銚子駅へ向かう総武本線のサブルート的な路線である。佐倉 - 松岸間では総武本線よりも10km程度距離が長くなる。千葉 - 成田間は成田空港へ向かう列車も多く走り、空港連絡鉄道としての顔も持ち合わせている。また、貨物列車も走行するため、久住駅から香取駅までの区間は、行き違いのための線路が長い構造になっている。このため、E217系の11両編成も入線可能となっている。
また鹿島線鹿島神宮駅までの直通運転を行う列車も存在する。こちらは千葉駅発着の列車の他、成田駅発着の列車も存在する。また特急あやめ号も鹿島線内は普通列車に変わる。
[編集] 使用車両
- 113系
- 211系3000番台
- E217系(主に総武快速線からの乗り入れ)
[編集] 我孫子支線
正式名は「成田線」であるものの、本線・空港支線とは運転系統が全く異なり、常磐線の支線という位置付けがなされている。JR内で「成田線我孫子口」と表現することもある。
全線単線だが、すべての途中駅で行き違いができるようになっている。車両は常磐快速線と共用のE231系を使用する。
起点から終点へ向かう列車を下りとする定義に従えば、我孫子方面が「下り」である。その一方で、乗客案内や時刻表の表記では、我孫子方面が「上り」、成田方面が「下り」とされ、列車番号もそれに従い我孫子から成田へ向かう列車に(下りを示す)奇数番号を付番している。我孫子 - 成田間の区間運転のほか、常磐快速線上野駅とを結ぶ直通列車が16.5往復(日中に限ると区間列車と直通列車が毎時各1本)運行されている。上り・下りとも成田空港 - 我孫子支線のアクセスを考慮されたダイヤ設定が行われている(ただし、成田空港発着の普通列車は毎時上下1本のみである)。
我孫子市や印西市では住宅が密集しており、沿線自治体以外(本埜村、茨城県利根町等)からの需要もあるが、本数の少なさ(毎時2本)から、バス等で直接常磐線や北総鉄道北総線の駅に流れてしまう傾向にあり、乗車人員は2000 - 4000人程度に留まっている(これが最も如実に現れているのが東我孫子駅、湖北駅である[2])。成田空港へのアクセス路線となりうることや、潜在的な需要が多いことから、沿線自治体で複線化を要望しているがその動きは鈍い。以前に、部分複線化の工事を行ったが、今後の需要の伸びが見込めないとの判断から、用地買収段階で凍結された。現在も新木駅 - 布佐駅間など一部で複線化用地が確保されている。
現状では、この路線は我孫子口(常磐線沿線)からの成田空港アクセス路線とは到底言い難い状況にあり、常磐快速線で日暮里駅、または東武野田線経由で船橋駅(京成船橋駅)から京成線に向かう利用者も少なくない(京成電鉄でも東葛地域からの利用者を見込んでか、スカイライナーを京成船橋駅に停車させるなどしている)[3][4]。こうした状況の中、2007年から2008年の年末年始に上野 - 我孫子 - 成田 - 成田空港間で臨時快速列車「エアポート常磐」が運行された[5]。需要があれば以後の繁忙期にも運行したいとしており、2008年のゴールデンウィーク期間にも運行されている。
このほか、正月には、成田山新勝寺への初詣客を乗せた団体専用列車が我孫子支線を運行する場合が多い。
1985年11月の「国電同時多発ゲリラ事件」を契機に、運転士の担当を、常磐快速線の電車を担当する松戸運転区に移管した。このため、本線や空港支線など千葉県内のJR線に運休が発生する国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)のストライキ時でも、我孫子支線は正常に運行される。
[編集] 使用車両
過去の使用車両
[編集] 我孫子支線の愛称
我孫子支線は上記の通り、本線とは異なる運転形態をしていることから、2001年の我孫子支線全通100周年を機に一般市民から我孫子支線の愛称を募集したところ、その中から「成田四季彩線(なりたしきさいせん)」と「水空ライン」の2種類が最終的な候補になり、フジテレビで同年4月6日に放送されたバラエティー番組「プレゼンタイガー」でJR東日本や沿線の関係者、並びに番組審査員4氏(おちまさと、真島満秀、森下直人、ドン小西)の立会いの下審議した結果、この「水空ライン」が採用されたという(外部リンク参照)。
しかし、我孫子市などの沿線市町村で使われているだけで、JR東日本ではその後も「水空ライン」とは案内されず、成田線の案内のままである。
- 外部リンク : フジテレビ・プレゼンタイガーの放送記録(水空ラインについて)
[編集] 空港支線
成田駅から約2km北の地点で本線と分岐し空港第2ビル駅を経て成田空港駅に向かう路線。直通の軌道系交通機関がないため「世界一不便な国際空港」と揶揄されていた成田空港の状況をみた当時の運輸大臣・石原慎太郎の“鶴の一声”により、建設中止になっていた成田新幹線(東京駅 - 成田空港駅間)の路盤の一部を活用して、1991年3月19日に京成線と同時開業した(成田空港高速鉄道も参照)。開業当初は成田空港駅のみであったが、翌年12月6日の第2旅客ターミナルビル供用開始に伴い、3日前の12月3日に空港第2ビル駅が開業した。
上記にあるように、成田新幹線の施設を転用し本線に接続してJRの成田国際空港へのアクセス路線とした経緯があるため、成田駅から本線との分岐点(イオンモール成田付近・単独の信号場ではなくここまでが成田駅構内扱い)までがJR東日本の第一種鉄道事業区間、そこから先は成田空港高速鉄道の第三種鉄道事業区間(JR東日本が第二種鉄道事業者)となっている。なお、分岐点には黒地に白抜きで「NKT 0.0」と書かれた境界を示す標識が立っている。
同線を走る定期列車は朝の通勤時間帯に普通列車が1本運行されている以外は特急成田エクスプレスと快速エアポート成田(上りは快速表示のみ)で、いずれの列車も空港第2ビル・成田空港の両駅に停車する。成田駅 - 成田空港駅のシャトル運転はしておらず、全列車が総武本線へ直通している。本線デイタイムは基本的に成田エクスプレス1 - 2本、快速1本のダイヤとなっているが、同じく成田空港に乗り入れる京成線は特急スカイライナーが1 - 2本(日中40分毎)、料金不要の特急が3本(日中20分毎)でJRよりも圧倒的に本数が多い。またスカイライナーは成田エクスプレスに比べて料金・運賃が割安であるため、京成線を使う空港利用者も多い。
[編集] 使用車両
- 253系(成田エクスプレス)
[編集] 歴史
江戸っ子に親しまれていた成田山新勝寺を東京と鉄道で結ぶ構想は早くから存在しており、1887年に武総鉄道(本所-市川-佐倉-佐原)、1889年に北総鉄道(佐倉-成田-佐原、現在の同名鉄道とは別のもの)の構想が立てられた。だが当初千葉県は、東京との交通手段において鉄道と利根川水運が競合する事による共倒れを恐れて、利根運河が出来た以上同地域には鉄道は不要との見解を取った。そのため、総武鉄道(本所-市川-佐倉、現在の総武本線)がようやく開通したのが1894年であり、そこから成田方面に分岐する鉄道が築かれるまでには更に月日を要したのである。
- 1897年(明治30年)1月19日 - 成田鉄道(初代)が佐倉 - 成田間を開業。
- 1897年(明治30年)12月29日 - 成田 - 滑川(現:滑河)間開業。
- 1898年(明治31年)2月3日 - 滑川 - 佐原間開業。
- 1901年(明治34年)2月2日 - 成田 - 安食間開業。
- 1901年(明治34年)4月1日 - 安食 - 我孫子間開業。
- 1901年(明治34年)8月10日 - 松崎駅、小林駅開業。
- 1902年(明治35年)7月1日 - 久住駅開業。
- 1920年(大正9年)9月1日 - 成田鉄道が買収・国有化。佐倉 - 佐原間、成田 - 我孫子間が成田線となる。松崎駅を下総松崎駅に改称。
- 1926年(大正15年)4月1日 - 大戸駅開業。
- 1931年(昭和6年)11月10日 - 佐原 - 笹川間開業。
- 1933年(昭和8年)3月11日 - 笹川 - 松岸間開業。
- 1957年(昭和32年)4月1日 - 郡駅を下総神崎駅に改称。
- 1958年(昭和33年)4月1日 - 新木駅開業。
- 1968年(昭和43年)3月28日 - 佐倉 - 成田間電化。
- 1973年(昭和48年)9月28日 - 成田 - 我孫子間電化。
- 1973年(昭和48年)9月29日 - 本佐倉信号場 - 酒々井 - 並木信号場間複線化。
- 1974年(昭和49年)10月26日 - 成田 - 松岸間電化。
- 1984年(昭和59年)2月1日 - 成田 - 我孫子間の貨物営業廃止。
- 1986年(昭和61年)2月24日 - 佐倉 - 本佐倉信号場間、並木信号場 - 成田間複線化。本佐倉信号場、並木信号場廃止。
- 1986年(昭和61年)11月1日 - 香取 - 松岸間の貨物営業廃止。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道に承継。
- 1991年(平成3年)3月19日 - 成田 - 成田空港間支線開業。
- 1997年(平成9年) - 我孫子支線の部分複線化工事開始(用地買収段階で凍結)。
[編集] 駅一覧
[編集] 本線
路線名 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
総武本線千葉方面・総武快速線東京方面・横須賀線直通運転 | |||||
成田線 | 佐倉駅 | 0.0 | 東日本旅客鉄道:総武本線(千葉駅・東京駅方面は直通あり) | 千葉県 | 佐倉市 |
酒々井駅 | 6.4 | 印旛郡酒々井町 | |||
成田駅 | 13.1 | 東日本旅客鉄道:空港支線(佐倉駅方面と直通)・我孫子支線 京成電鉄:本線・東成田線(京成成田駅) |
成田市 | ||
久住駅 | 20.0 | ||||
滑河駅 | 25.5 | ||||
下総神崎駅 | 31.6 | 香取郡神崎町 | |||
大戸駅 | 36.1 | 香取市 | |||
佐原駅 | 40.0 | ||||
香取駅 | 43.6 | 東日本旅客鉄道:鹿島線(佐原駅・千葉駅方面に直通) | |||
水郷駅 | 47.5 | ||||
小見川駅 | 52.7 | ||||
笹川駅 | 57.7 | 香取郡東庄町 | |||
下総橘駅 | 62.9 | ||||
下総豊里駅 | 66.2 | 銚子市 | |||
椎柴駅 | 71.0 | ||||
松岸駅 | 75.4 | 東日本旅客鉄道:総武本線(銚子駅まで直通) | |||
※ | |||||
銚子駅 | 78.6 | 銚子電気鉄道:銚子電気鉄道線 |
- 路線名欄の※の区間は総武本線であるが、全列車が銚子まで乗り入れる。
[編集] 我孫子支線
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
常磐快速線上野駅まで直通運転 | ||||
我孫子駅 | 0.0 | 東日本旅客鉄道:常磐線(快速)(直通あり)、常磐線(各駅停車) | 千葉県 | 我孫子市 |
東我孫子駅 | 3.4 | |||
湖北駅 | 6.3 | |||
新木駅 | 8.9 | |||
布佐駅 | 12.1 | |||
木下駅 | 14.0 | 印西市 | ||
小林駅 | 18.3 | |||
安食駅 | 23.2 | 印旛郡栄町 | ||
下総松崎駅 | 27.3 | 成田市 | ||
成田駅 | 32.9 | 東日本旅客鉄道:成田線本線・成田線空港支線 京成電鉄:本線・東成田線(京成成田駅) |
[編集] 空港支線
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 |
---|---|---|---|
成田線本線佐倉方面・総武本線千葉方面・総武快速線東京方面直通運転 | |||
成田駅 | 0.0 | 東日本旅客鉄道:成田線本線(佐倉駅方面は直通)・成田線我孫子支線 京成電鉄:本線・東成田線(京成成田駅) |
千葉県成田市 |
根古屋信号場 | (5.3) | ||
空港第2ビル駅 | 9.8 | 京成電鉄:本線 | |
成田空港駅 | 10.8 | 京成電鉄:本線 |
[編集] 脚注
- ^ a b 国鉄分割民営化時に当時の運輸省に提出された基本事業計画では「佐倉から松岸まで及び成田から分岐して我孫子まで」とあり、佐倉から松岸までの路線から分岐している路線として記載されている。また、国土交通省監修『鉄道要覧』では、例えば総武線の場合、東京 - 銚子を筆頭に、次いでその支線が列挙されているのと同様に、佐倉 - 松岸を筆頭に、次いで成田 - 我孫子、成田 - 成田線分岐点、成田線分岐点 - 成田空港(この区間は第2種開業線の欄)が列挙されている。
- ^ 東我孫子駅は徒歩15分程度のところに常磐線天王台駅があり、湖北駅は高頻度運転されているバスで天王台駅、我孫子駅に流れている
- ^ 「もっと便利に、さらに充実。12月10日 京成線ダイヤ改正実施」(pdf) 京成電鉄 2006年(Internet Archiveより)
- ^ 「スカイライナー」、大部分を京成船橋駅に停車 asahi.com 2006年11月12日
- ^ 年末年始に「エアポート常磐」運行 JR東日本 MSN産経ニュース 2007年11月22日
常磐線と成田空港直通快速 MSN産経ニュース 2007月11月24日
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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