壊血病
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壊血病(かいけつびょう、英 scurvy, 独 Skorbut)とは、出血性の障害が体内の各器官で生じる病気のことである。また、成人と小児では多少症状が異なる。
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[編集] 原因と治療法
ビタミンCの欠乏によって生じる。ビタミンCは体内のタンパク質を構成するアミノ酸の1つであるヒドロキシプロリンの合成に必須であるため、これが欠乏すると組織間をつなぐコラーゲンや象牙質、骨の間充組織の生成と保持に障害を受ける。これがさらに血管等への損傷につながることが原因である。
ビタミンCの投与を行うことによって治療できる。
[編集] 成人の症状
脱力や体重減少、鈍痛に加え、次のような症状が見られる。
ただし、これらの症状は3–12か月に及ぶ長期・高度のビタミンC欠乏でないと生じない。
[編集] 小児の症状
特に生後6–12か月の間に発生し、メレル・バロウ病とも呼ばれる。症状として次のようなものが挙げられる。
[編集] 歴史
16世紀から18世紀の大航海時代には、この病気の原因が分からなかったため、海賊以上に恐れられた。ヴァスコ・ダ・ガマのインド航路発見の航海においては、180人の船員のうち100人がこの病気にかかって死亡している。1753年にイギリス海軍省のジェームズ・リンドは食事環境が比較的良好な高級船員の発症者が少ないことに着目し、新鮮な野菜や果物、特にミカンやレモンを取ることによってこの病気の予防が出来ることを見出した。その成果を受けて、キャプテン・クックの南太平洋探検の第一回航海 (1768年 - 1771年) で、ザワークラウトや果物の摂取に努めたことにより、史上初めて壊血病による死者を出さずに世界周航が成し遂げられた逸話は有名である。しかし、当時の航海では新鮮な柑橘類を常に入手することが困難だったことから、イギリス海軍省の傷病委員会は、抗壊血病薬として麦汁、ポータブルスープ、濃縮オレンジジュースなどをクックに支給していた。これらのほとんどは今日ではまったく効果がないことが明らかになっている (濃縮オレンジジュースは加熱されていてビタミンCは失われていた)。結局、おもにザワークラウトのおかげだったことは当時は不明で、あげく帰還後にクックは麦汁を推薦したりしたもので、長期航海における壊血病の根絶はその後もなかなか進まなかった。
ビタミンCと壊血病の関係が明らかになったのは、1932年のことである。
イギリス人のことを "ライム野郎 (limey) " と呼ぶアメリカのスラングは、イギリス海軍が壊血病予防としてライム果汁(ジュース)を服用していたことに由来する。第二次世界大戦でドイツ兵のことを "キャベツ野郎(kraut)" と言ったのも、イギリス海軍がライムジュースに切り替えた後も、ドイツ海軍がキャベツの漬物であるザワークラウトを採用していたことから同様に生じたスラングである。