創傷
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創傷(そうしょう、英:trauma, wounds, burns)とは、外的、内的要因によって起こる体表組織の物理的な損傷を指す。創(そう)と傷(しょう)の異なるタイプの損傷の総称であり、日常語では傷(きず)と呼ばれる。
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[編集] 創傷の種類
創傷の形状および受傷機転により分類される。
「創にきずあり、傷にきずなし」といわれるように、創傷の定義では「創」は皮膚の破綻を伴う損傷を指し、「傷」は皮膚の破綻を伴わない損傷を指す。皮膚表面の損傷部分の内、面積が狭いものを創口(そうこう)、広いものを創面(そうめん)といい、日常語では傷口(きずぐち)と総称する。
- 切創(せっそう)
- 切り傷(きりきず)。ナイフのような刃物で切り裂いた線状の損傷。創面は滑らかで、汚染創(おせんそう)でなければ一期癒合が期待できる。創の程度により縫合処置が行われる。
- 裂創(れっそう)
- 打撃やねじれ、過伸展(かしんてん)などにより裂けた損傷。外力の加わり方によって様々な形状を呈する。縫合し得るものについては一期癒合が期待できるが、縫合不能なものは挫創と同様に肉芽組織(にくげそしき)の増殖による治癒を待つ。
- 刺創(しそう)
- 刺し傷(さしきず)。細長い鋭器で突き刺した損傷で、創口に比して創が深いのが特徴。外見からは内部の損傷程度を推し量ることが難しく(内部臓器へ達しているか?血管損傷があるか?等)注意を要する。創断面が小さいため、一般に治癒は良好。
- 咬創(こうそう)
- 動物にかまれた損傷。咬傷(こうしょう)とも。刺創と同様に創が深いが、創面は刺創ほど滑らかではなく、一般的に治癒しにくい。動物の牙には多くの細菌が付着しているため、組織深部まで細菌が侵入し、高確率で創感染を発症する。感染制御のため一期的に縫合せず開放創とすることが多い。また一部のヘビやムカデなど毒牙を持つものでは毒素に対する治療も必要になる。
- 銃創(じゅうそう)
- 銃器の弾丸や火薬による創。射創(しゃそう)とも。貫通射創、盲管射創、反跳射創、擦過射創などの種類がある。また、距離による分類では接射創、準接射創、近射創、遠射創と区別される。近距離からの銃創は、弾丸の入口に星型のような破裂や火薬の付着があり、出口には不整形な破裂があることが多い。遠距離からの銃創は、弾丸の入口は円形で小さく、出口の方が大きく不整形なことが多い。
- 挫創(ざそう)
- 打撃などの外力により組織が挫滅した創。創面は粗雑であり、縫合は一般的に困難である。壊死組織のデブリードマン(除去)や創保護を主とする治療が行われ、肉芽組織の増殖による自然治癒を待つ。
- 挫傷(ざしょう)
- 打撃などの外力により内部の軟部組織が損傷したもので、体表に創がないもの。一般に保存的治療が行われる。脳挫傷・肺挫傷のように臓器の損傷を指すこともある。
- 擦過傷(さっかしょう)
- 擦り傷(すりきず)。体表に創があるが、擦過「傷」と呼ぶのが一般的である。創面を清浄化した後、創保護により皮膚の再生を待つ。
以下のものは創傷とは独立して扱われることが多い。
[編集] 治癒のメカニズム
傷はどのように治るか
- 血小板の凝集、血管収縮による止血。マクロファージによる壊死組織のとりこみ。
- 繊維芽細胞が分泌するコラーゲンを主とした肉芽組織(にくげそしき・granulation tissue)による収縮。
- 肉芽組織の瘢痕組織への変化。それによる創の安定。
ちなみに一般に傷は、消毒した後に乾かして治すという認識が強いが、実際には小さな擦り傷や切り傷の場合、乾かすよりも、まず傷口をよく水で洗った後、出てきた体液を乾燥させずに湿った状態に保つ方が治癒は早い[1]。
[編集] 第一期・炎症反応期
血液の凝固因子の活性化。活性は連鎖的に強まり破壊部位の血流をとめる。受傷後約4,5日。
反応
- 腫脹。浸出液で腫れ上がること。
- 発赤。毛細血管の拡張で赤くなること。
- 発熱。組織反応で熱を発すること。
- 疼痛。末梢神経の刺激による痛みのこと。
[編集] 第二期・増殖期(肉芽形成期)
マクロファージの放出する物質により繊維芽細胞が呼び出され修復の主たる成分、コラーゲンが産生される。創傷治癒過程の初期には、まず血小板擬集能に優れるⅢ型コラーゲンが,産生蓄積され,やがてⅠ型コラーゲンに置き換えられて、いずれは太く密なコラーゲン線維となる。これにより組織は安定し血管新生、毛細血管発達がみられる。