ジョージ・ブレット
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ジョージ・ブレット George Brett |
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基本情報 | |
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国籍 | アメリカ合衆国 |
出身地 | ウェストバージニア州 |
生年月日 | 1953年5月15日(55歳) |
身長 体重 |
6' 0" =約182.9cm 200 lb =約90.7kg |
選手情報 | |
投球・打席 | 右投左打 |
守備位置 | 内野手(三塁手) |
プロ入り | 1972年 2巡目 |
初出場 | 1973年8月2日 |
最終出場 | 1993年10月3日 |
経歴 | |
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アメリカ野球殿堂 | |
殿堂表彰者 | |
選出年 | 1999年 |
得票率 | 98.2% |
選出方法 | 全米野球担当記者協会による投票 |
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ジョージ・ブレット(George Howard Brett , 1953年5月15日 - ) は、アメリカ合衆国ウエストバージニア州出身。カンザスシティ・ロイヤルズで活躍していた元メジャーリーガー(三塁手)である。右投左打。ニックネームは"Gorgeous George"、"Mullet"(魚の「ボラ」の意)。
ロイヤルズ一筋の現役生活をおくった球団史上最高の打者。1980年に打率.390を記録し、テッド・ウィリアムズ以来の打率4割達成に近づいたことで知られる。
目次 |
[編集] 来歴
1971年、ドラフト2巡目(全体で29位)でロイヤルズに入団。早くも2年後の1973年、メジャーに昇格した。
1976年に初の首位打者に輝く(打率.333)。1番打者としてシーズン200安打を2度記録するなど、メジャーを代表する巧打者に成長し、同年からの3年連続アメリカンリーグ西地区優勝に貢献。いずれもニューヨーク・ヤンキースとのリーグ優勝決定戦に敗れたが、1980年、4度目の対決でヤ軍を破り、初のワールドシリーズ出場を果たした。
この年はブレット最高のシーズンと言え、オールスター明けから調子を上げたブレットは9月19日まで打率4割以上をマーク、テッド・ウィリアムズ以来の打率4割を達成できるかと期待された。しかしその後不調に陥るなど打率を下げ、結局このシーズンは打率.390にとどまったものの2度目の首位打者に輝いた。またこの年アメリカンリーグMVPを受賞している。
その5年後の1985年には、悲願のワールドシリーズ制覇に貢献し、ゴールドグラブ賞も獲得した。1990年に3度目となる首位打者を獲得(打率.329)。3ディケイド(1970年代、1980年代、1990年代)で首位打者に輝いたのは現在もブレットただ一人のみである。1992年には3000本安打を達成した。1993年シーズンを最後に現役を引退した。
1979年5月28日と1990年7月25日の2度、サイクルヒットを達成している。 通算3154安打 317本塁打 1595打点など、ニックネームである「ゴージャス・ジョージ」に相応しいロイヤルズでの数々の球団記録を保持し、1999年には資格1年目にしてアメリカ野球殿堂入りを果たした。現在は、ロイヤルズの副社長を務めている。
親日家としても有名で、1981年の日米野球等たびたび来日することも多い。
兄のケン・ブレットも元メジャーリーガー(左腕投手)で、1967年から1981年にかけて10球団で投げ、通算83勝85敗の成績を残した。最後は弟と同じロイヤルズに所属し、1981年の日米野球を最後に引退した。
[編集] パインタール・バット事件
ジョージ・ブレットの野球人生で一番有名なのがこの事件である。発端は1983年7月24日、ヤンキー・スタジアムでのニューヨーク・ヤンキース対カンザスシティ・ロイヤルズの試合だった。4対3とヤンキース1点リードで迎えた9回表2アウト、ランナーを1人置いてブレットに打席が回ってきた。ブレットは起死回生のホームランを放ち、4対5と逆転した。
すると、ヤンキースの監督であるビリー・マーチンが抗議をした。マーチンは、ブレットのバットに塗られた松脂(パインタール)が18インチという規定の範囲を超えていると主張した。球審のティム・マクレランドはそれを認め、違反バットを使ったブレットはアウト、すでに2アウトだったので試合終了という判定を下した。ブレットは猛抗議したが判定は覆らなかった。
実は、マーチンはブレットのバットが違反であることを以前から知っていた。そのことを持ち出す好機をずっとうかがっており、これ以上ない場面で指摘したのだった。
ロイヤルズはこの裁定について提訴した。試合の4日後、アメリカン・リーグのリー・マクフェイル会長は、ブレットはルールの精神を犯したわけではないとしてロイヤルズの提訴を支持した。つまりホームランは有効なので、5対4の9回表2アウトから試合を再開しなければならないことになった。
また主催者であるヤンキースは、再試合は残り4アウトしか残っていないのに入場料は普通の試合と変わらない額にすると発表した。すると怒ったファンが裁判所に訴え出て、それが認められた。ある裁判所などは、正式な試合をするようにという判決を下した。とうとう裁判はニューヨーク最高裁の上訴審まで持ち込まれることになった。結局、裁判長のジョセフ・P・サリバンは「プレー・ボール」という判決を下し、料金は割安で9回表2アウトから試合は再開されることになった。
ブレットのホームランから25日後の8月18日、試合の残りは10分足らずで終了し、騒ぎはようやく決着したのだった。
[編集] 背番号
- 5(ロイヤルズの永久欠番)
[編集] 獲得タイトル・記録
- アメリカンリーグMVP 1回:1980年
- リーグチャンピオンシップシリーズMVP 1回:1985年
- 首位打者 3回:1976年(.333)、1980年(.390)、1990年(.329)
- 最多安打 3回:1975年(195)、1976年(215)、1979年(212)
- 最高出塁率 1回:1980年(.454)
- ゴールドグラブ賞 1回:1985年
- シルバースラッガー賞 3回:1980年、1985年(三塁手部門)、1988年(一塁手部門)
- ハッチ賞 1回:1980年
- MLBオールスターゲーム選出 13回:1976年-1988年
- 野球殿堂入り:1999年
- 通算二塁打:665(歴代6位)
[編集] 年度別打撃成績
年 度 |
チ 丨 ム |
試 合 |
打 数 |
得 点 |
安 打 |
二 塁 打 |
三 塁 打 |
本 塁 打 |
打 点 |
盗 塁 |
盗 塁 死 |
四 球 |
三 振 |
打 率 |
出 塁 率 |
長 打 率 |
塁 打 |
犠 打 |
犠 飛 |
敬 遠 |
死 球 |
併 殺 打 |
O P S |
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1973 | KC | 13 | 40 | 2 | 5 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | .125 | .125 | .175 | 7 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.300 |
1974 | KC | 133 | 457 | 49 | 129 | 21 | 5 | 2 | 47 | 8 | 5 | 21 | 38 | .282 | .313 | .363 | 166 | 6 | 2 | 3 | 0 | 9 | 0.676 |
1975 | KC | 159 | 634 | 84 | 195 | 35 | 13 | 11 | 89 | 13 | 10 | 46 | 49 | .308 | .353 | .456 | 289 | 9 | 6 | 6 | 2 | 8 | 0.809 |
1976 | KC | 159 | 645 | 94 | 215 | 34 | 14 | 7 | 67 | 21 | 11 | 49 | 36 | .333 | .377 | .462 | 298 | 2 | 8 | 4 | 1 | 8 | 0.839 |
1977 | KC | 139 | 564 | 105 | 176 | 32 | 13 | 22 | 88 | 14 | 12 | 55 | 24 | .312 | .373 | .532 | 300 | 3 | 3 | 9 | 2 | 12 | 0.905 |
1978 | KC | 128 | 510 | 79 | 150 | 45 | 8 | 9 | 62 | 23 | 7 | 39 | 35 | .294 | .342 | .467 | 238 | 3 | 5 | 6 | 1 | 6 | 0.809 |
1979 | KC | 154 | 645 | 119 | 212 | 42 | 20 | 23 | 107 | 17 | 10 | 51 | 36 | .329 | .376 | .563 | 363 | 1 | 4 | 14 | 0 | 8 | 0.939 |
1980 | KC | 117 | 449 | 87 | 175 | 33 | 9 | 24 | 118 | 15 | 6 | 58 | 22 | .390 | .454 | .664 | 298 | 0 | 7 | 16 | 1 | 11 | 1.118 |
1981 | KC | 89 | 347 | 42 | 109 | 27 | 7 | 6 | 43 | 14 | 6 | 27 | 23 | .314 | .361 | .484 | 168 | 0 | 4 | 7 | 1 | 7 | 0.845 |
1982 | KC | 144 | 552 | 101 | 166 | 32 | 9 | 21 | 82 | 6 | 1 | 71 | 51 | .301 | .378 | .505 | 279 | 0 | 5 | 14 | 1 | 12 | 0.883 |
1983 | KC | 123 | 464 | 90 | 144 | 38 | 2 | 25 | 93 | 0 | 1 | 57 | 39 | .310 | .385 | .563 | 261 | 0 | 3 | 13 | 1 | 9 | 0.948 |
1984 | KC | 104 | 377 | 42 | 107 | 21 | 3 | 13 | 69 | 0 | 2 | 38 | 37 | .284 | .344 | .459 | 173 | 0 | 7 | 6 | 0 | 11 | 0.803 |
1985 | KC | 155 | 550 | 108 | 184 | 38 | 5 | 30 | 112 | 9 | 1 | 103 | 49 | .335 | .436 | .585 | 322 | 0 | 9 | 31 | 3 | 12 | 1.021 |
1986 | KC | 124 | 441 | 70 | 128 | 28 | 4 | 16 | 73 | 1 | 2 | 80 | 45 | .290 | .401 | .481 | 212 | 0 | 4 | 18 | 4 | 6 | 0.882 |
1987 | KC | 115 | 427 | 71 | 124 | 18 | 2 | 22 | 78 | 6 | 3 | 72 | 47 | .290 | .388 | .496 | 212 | 0 | 8 | 14 | 1 | 10 | 0.884 |
1988 | KC | 157 | 589 | 90 | 180 | 42 | 3 | 24 | 103 | 14 | 3 | 82 | 51 | .306 | .389 | .509 | 300 | 0 | 7 | 15 | 3 | 15 | 0.898 |
1989 | KC | 124 | 457 | 67 | 129 | 26 | 3 | 12 | 80 | 14 | 4 | 59 | 47 | .282 | .362 | .431 | 197 | 0 | 9 | 14 | 3 | 18 | 0.793 |
1990 | KC | 142 | 544 | 82 | 179 | 45 | 7 | 14 | 87 | 9 | 2 | 56 | 63 | .329 | .387 | .515 | 280 | 0 | 7 | 14 | 0 | 18 | 0.902 |
1991 | KC | 131 | 505 | 77 | 129 | 40 | 2 | 10 | 61 | 2 | 0 | 58 | 75 | .255 | .327 | .402 | 203 | 1 | 8 | 10 | 0 | 20 | 0.729 |
1992 | KC | 152 | 592 | 55 | 169 | 35 | 5 | 7 | 61 | 8 | 6 | 35 | 69 | .285 | .330 | .397 | 235 | 0 | 4 | 6 | 6 | 15 | 0.727 |
1993 | KC | 145 | 560 | 69 | 149 | 31 | 3 | 19 | 75 | 7 | 5 | 39 | 67 | .266 | .312 | .434 | 243 | 0 | 10 | 9 | 3 | 20 | 0.746 |
通算 | 21年 | 2707 | 10349 | 1583 | 3154 | 665 | 137 | 317 | 1595 | 201 | 97 | 1096 | 908 | .305 | .369 | .487 | 5044 | 26 | 120 | 229 | 33 | 235 | 0.856 |
- 太字はリーグ1位。
[編集] 出典・外部リンク
- ブルース・ナッシュ、アラン・ズーロ『アメリカ野球珍事件珍記録大全』東京書籍、1991年
- National Baseball Hall of Fameの紹介(英語)
- 選手の通算成績と情報 Baseball-Reference、The Baseball Cube
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ピート・ローズ | タイ・カッブ | ハンク・アーロン | スタン・ミュージアル | トリス・スピーカー | カール・ヤストレムスキー | キャップ・アンソン |
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1 バディ・ビアンカラナ / 2 オニキス・コンセプシオン / 3 ホルヘ・オルタ / 4 グレッグ・プライヤー / 5 ジョージ・ブレット / 6 ウィリー・ウィルソン / 8 ジム・サンドバーグ / 9 ディーン・オーゲ / 11 ハル・マクレー / 12 ジョン・ワーザン / 15 パット・シェリダン / 20 フランク・ホワイト / 21 ロニー・スミス / 24 ダリル・モトリー / 25 ダニー・ジャクソン / 27 ジョー・ベックウィズ / 29 ダン・クイゼンベリー / 31 ブレット・セイバーヘイゲン / 35 リン・ジョーンズ / 37 チャーリー・リーブラント / 40 バド・ブラック / 45 スティーブ・バルボニ 監督 ディック・ハウザー |