SPEEDO
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
SPEEDO(発音: スピードゥ)は、英国に本拠を置く世界的なスポーツ衣料メーカー、およびブランドである。特に競泳水着では有名で、マイケル・フェルプスなど多くの水泳選手と契約を結んでいる。日本では長年ミズノが製造・販売のライセンス契約を結んでいたが、2007年5月末をもって契約を終了。以後は三井物産が日本国内でのライセンスを取得し、ゴールドウインが三井物産から受託する形で競泳用水着や衣料品などの開発・販売を担当している。
目次 |
[編集] 歴史
オーストラリア・シドニー近郊のボンダイビーチにて創業。その後イギリスのペントラント社が買収し、スピードインターナショナルとなる。
ミズノは長年にわたり、アジアでの「SPEEDO」ブランド商品の企画・製造・販売を許されたライセンシーであった。1965年に業務提携を結び、以後デサントが同様にアジア・北太平洋地域のライセンシーとなっている「arena(アリーナ)」ブランドグループと激しい競争を繰り広げてきた。近年では日本の高い技術力を買われ、アジアのみならず全世界の「SPEEDO」ブランドグループにおける先端技術開発の役割を担い、サメの肌にヒントを得た「ファストスキン」シリーズを開発、全世界のブランドグループ参加各社に供給してきた。[1]
ミズノは2006年に創業100周年を迎えたのを機に、「自社ブランドによる世界戦略を強化する」という方針を明確にしたためSPEEDO社とのライセンス契約との更新を行わなかった。その後ミズノはスピード社との契約終了後、自社ブランド(「ミズノスイム」)による製品を製造・販売している。一方SPEEDO社は新たに三井物産とライセンス契約を締結し、三井陣営はスピード社との契約発効後、2008年シーズンに向けて直ちに新製品の発売を開始した。
ミズノ時代は北島康介や寺川綾ら日本のトップ選手とも契約していたが、それらの契約はミズノに引き継がれた。一方でミズノが開発にかかわった「ファストスキン」などの諸権利はブランドの関係で三井物産陣営に引き継がれた(ミズノは使えなくなった)。
[編集] 日本における課題
日本国内における課題は山積みである。主なものは以下の通り。
- ライセンシー移動に伴う販路拡大
- 日本水泳連盟(水連)公認の獲得
ミズノがライセンシーの時代は当然のごとくミズノの販路を使って販売されていたため、日本中に普及していた。ゴールドウインは営業規模や販路がミズノに比べて小さく、ライセンシー異動により取扱店舗が大幅に減少した。
また日本水連の公認が得られるかどうかも、日本国内で販売するにあたっては重要な要素となる。国際水泳連盟の基準に適合していれば公式大会で使用できるが、日本代表チームの水着は公認メーカー[2]の製品から採用されるため、実質的には日本国内の各選手も公認メーカーの水着を着用して大会に出場しているのが現状である。この公認メーカーの地位は「SPEEDO」のライセンシー異動後も引き続きミズノに与えられたため、当初は「SPEEDO」が日本代表選手の水着として採用される可能性はないとされていたが、次項により状況が一変した。
[編集] LZR RACER着用選手による世界記録連発
2008年の北京オリンピックシーズンに向けて投入された新水着「LZR RACER(レーザー・レーサー)」を着用した選手が、次々と世界記録を更新した(2008年4月下旬現在、短水路を含め計35以上)。日本でも6月ジャパンオープンでこの水着により15個の日本新記録、1個の世界新記録が生まれている。一部では自己記録を4秒以上も縮めた選手もいる。
LZR RACERはアメリカ航空宇宙局・大学や専門家の協力を得て開発されたもので、縫い目が無いのが特徴で抵抗が軽減され、撥水性にも優れる。
しかし「SPEEDO」と契約していない国などから、浮力との関係を問題視する声が相次ぎ、国際水泳連盟が調査を表明。結果「優位性の科学的根拠は無く規則にも違反していない」との結論だった。
2008年5月時点では日本水連は前述の通り「SPEEDO」と契約しておらず、日本代表選手は北京オリンピックでは着用できず、日本水連は「契約した3社に今後も改良を求める」との立場だった。各社はこれを受け、5月30日に改良型の水着を発表。公式大会などで選手が試用して比較を行ったうえで、日本水連は6月10日に「SPEEDO」水着など、日本水連契約外でも国際水連公認であれば使用を認めることを決めた。