Simutrans
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ジャンル | シミュレーションゲーム |
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対応機種 | BeOS, Linux, Mac OS X, Windows |
開発元 | Hansjo"rg Malthaner (initial, left in 2004) Markus Pristovsek "Prissi" (current head of development) |
バージョン |
Latest: 0.99.17.1 (All Operating Systems except Intel Mac) |
メディア | ダウンロード |
Simutrans(シムトランス)はフリーの(オープンソースではない)シミュレーションゲーム。Windows、BeOS、Linux用に開発されている、各種交通機関を運営し安定した経営を目指すことを目標とする経営シミュレーションゲームである。
ハンスイゥルク・マルトハナー (Hansjörg Malthaner 愛称: Hajo) によって1997年より製作が始まった。マルトハナーが退いた2004年12月以降は、マルクス・プリストフゼク (Markus Pristovsek 愛称: prissi) を中心とする開発チームがプログラムを引き継いでいる。さまざまな新機能の追加やバグフィックスを精力的に行っており、更新版が頻繁にリリースされる。ソースコードは公開されていないが、以下に述べるように翻訳やアドオン、シナリオは、ユーザーも作成したり開発に参加することができる。
目次 |
[編集] 概要
プレイヤーはゲーム開始時にマップを作成し、町や工場の需要に応じた各種交通機関を建設して、旅客や貨物を輸送し、利益を得ていく。MicroProseより発売されたトランスポートタイクーンに似たゲーム。マップ作成時には起伏や街の数などの様々な設定を変更できるため、自分好みのマップを作成することができる。
ゲーム内で使用できる交通機関は、鉄道、路面電車、モノレール、リニアモーターカー、新交通、自動車、船舶、飛行機がある。旅客、貨物、郵便を輸送することができ、その収入によって利益を得ることができる。ただ、闇雲に建設していけばよいわけではなく、黒字となるように建設、運営していかなければならない。赤字が3ヶ月以上続くと破産してしまうので注意が必要である。
不完全ながらも年月の概念があり、指定された年月になると新しい乗り物が登場する。ただし、最初から登場させるように設定した場合と、アドオン側で登場年月を指定していない場合については最初から登場する。古い車両のまま運行していると、収入が減ってしまうという仕組みになっている。
プレイヤーカラー(車両の色に反映されたりする)によって分けられた6つまでのコンピュータプレイヤーと競うことができるが、AIはまだ発展途上である。プレイヤーカラーは10種類から選択でき、configからRGBで指定することも可能である。
Simutransは多言語化されており、現在世界約15言語に翻訳されている。最近はUnicodeの対応によって漢字の表示もできるようになり、完璧な日本語化が可能となった。古いバージョンでは別途日本語化ファイルが必要なものもある。日本語に関しては、ゲームの基本的な部分はほぼ完全に翻訳されているが、ゲーム内の一つ一つの建物に関するユーモアあふれる逸話の翻訳はまだ完成していない。SimuTranslator と呼ばれるCGIを利用したウェブサイト上でゲーム内に登場するほぼ全てのテキストが編集可能で、アカウントを取得すれば誰もが翻訳作業に参加できる。
SimutransはHansjörg Malthanerによって作られたが、これはオープンなプロジェクトである。たとえば、様々なプログラマがバグ修正や新機能追加を手伝っている。全てのプレイヤーはバグの報告やアドオン(これを入れるとゲーム内に好きな乗り物や建物を追加できる。国内の鉄道車両は90%以上が網羅されている)の製作を通して、ゲームの開発に貢献することが可能であり、そのことが世界中の輸送シミュレーションゲームプレイヤーの間でよりこのゲームを普及させることになる。
[編集] Simutransの種類
[編集] 開発版と安定版
Simutransには開発版と安定版がある。
開発版はさまざまな新機能が搭載されているバージョンのこと。新機能の実装に伴い、未知のバグがある可能性がある。 プレイしている途中にエラーを起こすこともあるが、新機能をプレイしたいという人は、開発版を選ぶと良い。毎月3日に最新の開発版が出てくる。2007年12月20日現在の最新の開発版は99.17。
安定版は比較的バグが少ないとされたバージョンのことで、現在は99.17.1が安定版とされている。 初めてプレイする場合や、新機能が無くともエラーが出ない方がよい人は、この安定版を選ぶと良い。また、現在の安定版の前の安定版はなおバグが少ないとされている。
[編集] pak64版とpak128版
pak64版とpak128版の二種類があるが、これは画像のサイズの違いによるものである。 pak64版よりpak128版の方が画像が大きく、車両や建物がよりリアルに描かれている。 pak128版は、pak64版に比べてパソコンが高性能である必要があるが、3・4年以内のパソコンであればpak128版は十分動作すると言われている。また、両方のpakを導入することも可能で、導入した場合、pakファイルが検索され起動時に選べるようになる。
安定版では、pak128版の方がゲームバランスがシビアであるため、初めてプレイする場合はpak64版を選ぶと良い。 開発版では、pak64版のゲームバランスも変更されたため、違いは画像のサイズが主となった。そのかわりに初心者モードが搭載されている。
pak64版の方が先にできたため、アドオンはpak128版よりも充実している。とはいえ最近では、pak128版のアドオンも増えてきていて、今ではpak64版にはないアドオンもある。
[編集] アドオン
このゲームでは、建物や列車、自動車など様々なものがアドオンとして組み込まれている。 サイトには様々なアドオンが置いてあり、自分の好きなものをダウンロードし追加することができる。 また、アドオンは誰にでも作れるため、自分のほしいアドオンがなかった場合は自分で作ることもできる。
[編集] シナリオ
安定版を選択した場合は、公式に配布されている以下のシナリオを好みにより導入することができる。 これらはいずれもsimubase(基本シナリオ)ファイルを導入後それに追加・上書きする形で導入し、これらは全て同時に導入しても差し支えない。
- food64pak(食料生産パック)
- パンや缶詰など食料品を原料から生産・加工・販売する産業チェーンを追加するシナリオ。
- waste64pak(ごみ処理パック)
- 都市・町からゴミ焼却施設へゴミを輸送する産業チェーンを追加するシナリオ。
- japan64pak(日本パック)
- 車両や建物などが日本風にアレンジされるシナリオ。日本で公開され最適化されたアドオンを一部含み、アドオン導入によるリスクを回避した上で日本風にしたい場合に最適。ただ、「油田」など一部産業施設のサイズ・性能が変わるなど、プレイ感も若干変化する。
これら以外にも、非公式に製作されたシナリオも存在する。
[編集] 日本でのイベント
[編集] 対戦型Simutrans
複数人が参加し、セーブデータをやりとりして遊ぶイベント。
決められた一定の期間プレイし、そのデータを次の人へ渡して進めていく。 他社の競合路線と乗客の奪い合いをしたり、直通運転を行い協力したりと、一人ではできないことが楽しめる。 すべて思い通りにいかないこともあり、一人でプレイするとはまた違ったおもしろさがある。
[編集] Simutrans セーブデータ審査会
決められたマップでプレイし、そのセーブデータを審査、投票してもらうイベント。