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S-3 (航空機) - Wikipedia

S-3 (航空機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

S-3 ヴァイキング

空母エイブラハム・リンカーンから発艦するS-3B ヴァイキング

空母エイブラハム・リンカーンから発艦するS-3B ヴァイキング

S-3アメリカ合衆国航空機メーカーロッキード社(現・ロッキード・マーチン社)が開発した艦上対潜哨戒機。愛称はヴァイキングViking)。S-3Aと改良型のS-3Bがあり、後者は前者よりも優れた計器や兵器システムを搭載している。

目次

[編集] 概要

S-2トラッカーの後継として開発され、1969年にロッキード社が製造契約を獲得したが、ロッキード社は艦上機の経験が浅かったためF-8 クルセーダーA-7コルセアIIなどで艦上機の経験が深かったヴォート社(LTV社)を従契約社として開発が行われた。その為、実際の開発/生産はヴォート社が主体となって行なわれ、主契約社のロッキード社は胴体の製造と航空電子システムの統合、最終組立を行ったにすぎない。初飛行は1972年1月21日。

MADセンサーを展開するS-3A
MADセンサーを展開するS-3A

機体形状は、単垂直尾翼で、高翼配置の主翼を持つ。主翼前縁は浅い15度の後退角を持つが、後縁には角度が付けられていない。エンジンは主翼下にポッド式に装備している。航空母艦という限られたスペースに搭載する機体の為、主翼や尾翼は大きく折り畳むことができ、主翼は上方に垂直尾翼は側方に折り曲げるようになっている。MAD(磁気異常探知)センサーのセンサーブームは尾部にあり、胴体内引き込み式になっている。胴体内の兵装庫に魚雷爆雷を搭載できる他、翼下のエンジン外側のパイロンにも空対艦ミサイルや対地、対潜用の各種爆弾を搭載でき、増加燃料タンクの他に”バディシステム”と呼ばれる空中給油装置を搭載しての空中給油能力を持つ。乗員は4名であり、操縦士、副操縦士兼センサー員、音響センサー員、戦術調整士となっている。座席配置は並列座席の2列配置である。派生型としてSIGINT(信号情報収集)機型のES-3A、艦上輸送機型のUS-3Aがある(両型とも現在は退役済)。

空母ニミッツから飛び立つS-3
空母ニミッツから飛び立つS-3

S-3Aは1974年から部隊配備が開始され、1975年以降S-2トラッカーの後継として配備が行われた。1978年8月に配備を完了している。また、16機のS-3Aが電子戦に対応するためにES-3に改装された。2009年までに全機退役予定。

2003年5月1日カリフォルニア州サンディエゴ沖の太平洋に浮かぶ空母エイブラハム・リンカーンジョージ・ウォーカー・ブッシュ大統領が訪問する際に、乗機として第35対潜飛行隊(VS-35)のS-3が使用され、この機はアメリカ海軍史上初めて大統領座乗機に付与される”ネイビーワン”のコールサインで呼ばれたアメリカ海軍航空隊機となった。

掃除機の吸出し音のような独特のエンジン音から、海軍の将兵により“フーバー”のあだ名がつけられた(*フーバー(hoover)とは、アメリカの有名な電気掃除機のメーカーの名前、英語で"hoover"と言えば電気掃除機の事を指す)。

冷戦が終わると、ソ連の原潜を探し出し攻撃する任務を主目的に作られた本機の対潜哨戒任務が解かれ、艦載機への空中給油任務と副次的な攻撃任務に就いていたが、F/A-18E/F戦闘攻撃機の配備が進みS-3は逐次退役している。

[編集] 海上自衛隊のS-3導入計画

海上自衛隊は第四次防衛力整備計画(四次防)に於いて近距離、浅海面での対潜哨戒を行う為にロッキード社のS-3対潜哨戒機の導入を計画したが、オイルショックによる四次防自体の規模縮小によって導入計画は見送られた。

[編集] 各型

ES-3A
ES-3A
US-3A
US-3A
  • S-3A:初期量産型。187機製造。
  • S-3B:1984年A型より改修。主に電子機器の更新。逆合成開口レーダーAPS-137の搭載、AGM-84の運用能力追加など。119機改修。
  • KS-3A:空中給油機型。1機のみ、試作改修。
  • US-3A:艦上輸送機(COD)型。6機改修。
  • ES-3A:SIGINT(信号情報収集)機。”シー・シャドウ”とも呼ばれる。

[編集] 主要諸元

S-3の三面図
S-3の三面図

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ


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