Reason (ソフトウェア)
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Reason(リーズン)はWindows PCとMacintosh用のソフトウェア・シンセサイザーのひとつ。スウェーデンのPropellerhead社によって開発された。
なお、表記は製品ロゴや日本語版マニュアルでは大文字となっているが、Webサイトなどの文章中やアプリケーションのファイル名などは2文字目以降は小文字となっていることも多いなど、揺らぎがある。本稿では特記のない限り「Reason」とする。
Reason、ReCycle!、ReBirthを含めた「R3」というパッケージもあった。
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[編集] 概要・機能
複数のシンセサイザー・ドラムマシン・サンプラー・エフェクター類・シーケンサー等を内包し、組み合わせをソフト内での配線変更により自由に変更できるという、非常に柔軟な構造になっている。ハードウェアシンセサイザーなどを組み込んだラックを模したユーザーインターフェイスが特徴で、Tabキーを押すとラックが反転し、ラック背面に回ることができる。ここでパッチワークが可能。各デバイスの入出力を相互に組み合わせ、デバイスの機能を拡張したかのような使い方もできる。
強力なシーケンス環境や音源・エフェクト等を持っているため、これのみでの音楽製作ができ、これらのデバイスを無制限に追加できる(当然だが、演奏できるデバイス数はCPUパワーに左右される)。また、MIDIやReWireに対応しているハードウェアやソフトウェアの外部音源としても使用できる。ただ、このソフトはいわゆるDAWではない。よって外部へのMIDI出力や外部からのリアルタイムなオーディオ入力はサポートされていない。そして、ReWireのマスターとして動作させることも基本的にはできない。唯一の例外は同社によって開発されたReBirth RB-338だけである。Reason側で専用の入力手段を持ち、Reasonをマスターとしての同期が比較的簡単にできる。
Reasonの特徴の一つとして、ユーザー同士での曲データの共有がしやすい事が挙げられる。これはReason内に他のソフト音源を追加する事ができない(ReBirth除く)Reasonのクローズドな特性が故である。ユーザーであれば誰でも同志が作った曲を参考・アレンジ等出来、なおかつ曲のデータを他ユーザーが変える事ができないような形でのデータ共有も可能である。これがReasonの根強い人気のひとつとなっている。
[編集] ラック
デバイス名の表記はReason 4.0日本語版マニュアル目次およびデバイス作成時のメニューによるが、表記にゆれがあるものもある。
[編集] オーディオ・シーケンス関係
- REASON Hardware Device
- 最終的にオーディオ信号を出力するデバイス。ReWireやMIDIの状況なども表示する。
- Combinator (コンビネーター)
- 複数のデバイスを組み合わせた複合デバイスを構築できるデバイス。構築したものはパッチとして保存できる。
- Mixer (ミキサー)
- 一般的なミキサー。カスケード接続もできる。
- Line Mixer 6:2 (ラインミキサー)
- 簡単なラインミキサー。
- Redrum (ドラムマシン)
- ドラムマシン。再生させたままでパターンの切り替えをオートメーションさせることも作ったパターンをシーケンサーに流し込んで個別に音をコントロールすることもできる。
- SubTractor (アナログシンセサイザー)
- ポリフォニックシンセサイザー。一般的なアナログシンセサイザーを模している。
- Thor Polysonic Synthesyzer (ポリソニックシンセサイザー)
- ポリフォニックシンセサイザー。オシレーターやフィルターなどがモジュール化されており、柔軟な構造になっている。また内部に独自の簡単なステップシーケンサーも備えている。
- Malström Synthesizer (グレインテーブル シンセサイザー)
- 開発元がグレインテーブルシンセシスと呼ぶ方式のポリフォニックシンセサイザー。
- NN-19 Sampler (デジタルサンプラー)
- サンプラー。
- NN-XT Sampler (アドバンストサンプラー)
- サンプラー。NN-19より高機能。
- Dr.REX Loop Player (ループプレーヤー)
- ループプレーヤー。ReCycle!で作ったループを編集・再生できる。
- Matrix Pattern Sequencer (パターンシーケンサー)
- パターンシーケンサー。
- RPG-8 (モノフォニックアルペジエイター)
- アルペジエイター。分散和音をプログラムできる。
- ReBirth Input Machine (インプットマシーン)
- ReBirth RB-338入力用デバイス。
- BV512 Vocoder (デジタルボコーダー)
- ボコーダー。グラフィックイコライザーとして動作するモードも備える。
[編集] エフェクト関係
「MClass」と冠されているものはマスタリング用を意図しているが、単体の音源に対しても使える。
- MClass Equalizer (イコライザー)
- イコライザー。パラメトリック2バンド、ハイ及びローのシェルビング、ローカットスイッチを備える。
- MClass Stereo Imager (ステレオイメージャー)
- マスタリング用の定位コントロールデバイス。ただし、このデバイスではモノラル信号からステレオ信号を作ることはできない。
- MClass Compressor (コンプレッサー)
- コンプレッサー。サイドチェインも可能。
- MClass Maximizer (マキシマイザー)
- マキシマイザー。特殊なリミッター。
- Scream 4 Sound Destruction Unit (サウンドディストラクションユニット)
- 高機能ディストーション。CVを入力できるパラメータが多く、フランジャーやフェイザーやワウのような効果を得ることもできる。
- RV7000 (アドバンストリバーブ)
- リバーブ。RV-7より高機能。マルチタップディレイとしても使える。
- RV-7 (デジタルリバーブ)
- リバーブ。
- DDL-1 (デジタルディレイライン)
- ディレイ。
- D-11 (フォールドバック ディストーション)
- ディストーション。
- ECF-41 (エンベロープフィルター)
- フィルター。
- CF-101 (コーラス / フランジャー)
- コーラス / フランジャー。
- PH-90 (フェイザー)
- フェイザー。
- UN-16 Unison (ユニゾン)
- コーラスのようなデバイス。同じ音を重ねてデチューン効果を得ることに特化している。
- COMP-01 (コンプレッサー / リミッター)
- コンプレッサー / リミッター。
- PEQ-2 (2 Band パラメトリックEQ)
- パラメトリックイコライザ−。
- Spider Audio (マージャー / スプリッター)
- Spider CV (マージャー / スプリッター)
- それぞれ、オーディオ信号やCV / Gate信号をマージ / スプリットするデバイス。
[編集] シーケンサー
総合的なシーケンス画面を持ち、各デバイスの状況を表示できたり、その画面から各デバイスを制御する情報を入力できたりする。
[編集] トランスポートパネル
ラックとシーケンサー両方の画面の下部にある。CPUの使用状況・オーディオ信号の過大入力・録音や再生などの開始/停止・テンポ情報など、ある時点でのその曲全体に関わる情報を表示・制御する。後述のReGroove Mixerもここに表示される。
[編集] ReGroove Mixer
音量ではなく、グルーヴの量や種類をトラックごとにリアルタイムに変更でき、適用したものはパッチとして保存できる。合計32チャンネル使用できる。
[編集] 各バージョン履歴
[編集] Windows版
- 1.0
- 1999年$399(US)
- 1.0.1
- 2000年無償アップデート(ダウンロード)
- 2.0
- 2002年NN-XT Sampler、Malström Graintable Synthesizerの追加。シーケンサーにErase Tool、Line Toolの追加。
- 2.5
- 2003年無償アップデート。BV512 Vocoder、Scream4 Sound Distruction Unit、RV7000 Advanced Reverb、UN-16 Unison、Spider Audio Merger & Splitter、Spider CV Merger & Splitterの追加。無償で大量のモジュール追加が一部の顧客に好印象を与えたため、3.0リリース後、3.5のリリースに期待を寄せる発言がネット上で散見された。
- 3.0
- 2005年Combinator、MClass effects(Equalizer, Stereo Imager, Compressor, Maximizer)、Line Mixer 6:2の追加。Browserの大幅な仕様変更。
- 4.0
- 2007年Thor Polysonic Synthesyzer、ReGroove Mixerの追加。シーケンサーの大幅な仕様変更。
[編集] Macintosh版
- 1.0
- 1999年$399(US)
- 1.0.1
- 2000年無償アップデート(ダウンロード)
- 2.0
- 2002年NN-XT Sampler、Malström Graintable Synthesizerの追加。シーケンサーにErase Tool、Line Toolの追加。
- 2.5
- 2003年無償アップデート。BV512 Vocoder、Scream4 Sound Distruction Unit、RV7000 Advanced Reverb、UN-16 Unison、Spider Audio Merger & Splitter、Spider CV Merger & Splitterの追加。無償で大量のモジュール追加が一部の顧客に好印象を与えたため、3.0リリース後、3.5のリリースに期待を寄せる発言がネット上で散見された。
- 3.0
- 2005年Combinator、MClass effects(Equalizer, Stereo Imager, Compressor, Maximizer)、Line Mixer 6:2の追加。Browserの大幅な仕様変更。
- 4.0
- 2007年Thor Polysonic Synthesyzer、ReGroove Mixerの追加。シーケンサーの大幅な仕様変更。
[編集] 関連項目
- プロペラヘッド・ソフトウェア
- MIDI
- ASIO
- ReWire
- シンセサイザー
- ソフトウェア・シンセサイザー
- DTM
- DAW
- ミュージックシーケンサー
- ReBirth RB-338
- Jeskola Buzz