イコライザー (音響機器)
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音響機器においてイコライザー(Equalizer)とは、音声信号の周波数特性を変更する音響機器。イコライザーを用いることによって、特定の音域の音声信号を強調したり、逆に減少させたりする事が出来、全体的に音質を平均化させたり、音像を明確にするため使用することができる。また、マイクロフォンやスピーカーの周波数特性を補正するために用いられる場合もある。
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[編集] イコライザーの種類と原理
イコライザーの種類はパラメトリックイコライザー、グラフィックイコラーザーがある。パラメトリックイコライザーは動かす中心周波数のレベルと、Qファクター(中心周波数の山を変化させることができる。Q値は数値が1.0とかは山が広く、7.1とかになると急激な山になり調整したいバンドの幅が選択できます。)がありバンド数(動かせる周波数の数)は機材によって異なる。グラフィックイコライザーは可聴帯域の分割として使用されている。一般的に使用される分割バンド数は7バンド、13バンド、31バンドのように区切られ、オクターブ単位で帯域分割されている。イコライザーはカーオーディオやオーディオ機器PAなどに多く使用されている。
[編集] オーディオ機器のイコライザー
ラジカセ、ミニコンポ、携帯音楽プレーヤー等のゼネラルオーディオからHi-Fiオーディオシステム、さらにはAVアンプ等にいたるまで、音声を再生する装置にイコライザーは広く使用されている。このようなシステムで使われるイコライザーは、録音ソースを好みの再生周波数特性で再生するためにもちいられる。Hi-Fiオーディオでは、ルームアコースティックまで含めたフラットな周波数特性を実現する用途で用いられる事が多いが、これもフラットな周波数特性を好むからであって、一般的な機器における使用法と本質的な違いはない。
最もシンプルなイコライザーは、おそらくゼネラルオーディオ機器などでよく見られる、バスブースト機能であろう。これは、低域の音量を持ち上げて、イヤホンや小型スピーカーを再生装置とする事による低域不足を補い、量感を増し、ビートを強調する等の効果がある。より自由にコントロール可能なイコライザーとして、高域および低域を多段階あるいは無段階に増強あるいは低減させる機能を持つトーンコントロールもある。さらにより複雑なものは、再生周波数帯域をより多くの帯域に区切って個別にコントロールする機能を備え、グラフィックイコライザーと呼ばれる。
ゼネラルオーディオにおいては、いくつかのプリセットされた周波数特性を切り替える事のみが可能で、自由なコントロールは出来ないようになっているものも多い。あるいは、プリセットとは独立して低音のみをコントロール可能にしたものなどもある。
パソコンなどで使われる再生ソフトにも、イコライザーの機能を搭載したものがある。
なお、ゼネラルオーディオにおいて、イコライザーやEQと表現される機能などで、リバーブなどの空間系エフェクトを切り替えられるものがあるが、これは本来のイコライザーの定義からは外れるものである。
前述のイコライザーは、電気回路の周波数伝達特性や、ソフトウエア上での信号処理を通じて周波数特性を変化させる効果を得る物であるが、実際の音波の通り道自体に幾何学的な構造物を取り付けることによって空間の音波伝達の周波数特性を変えるような装置を製作する事ができ、このような装置もまたイコラーザーの範疇に入るものである。たとえば、マイクやスピーカーのダイアフラムの近くにそのような幾何学的構造体を置くことによって、ダイアフラムそれ自体の持つ周波数特性を補正するといった事が行われている。
[編集] 電気楽器のイコライザー
グラフィックイコライザーやパラメトリックイコライザーが主流。
- 特定の周波数を強調する。
- (特定の音域を)カットする。
- 全体的に音質を平均化させたり、音像を明確にする。
などの使用法があるが、まれに、ブースターのようにブーストして歪ませたり、他のギターの音をシミュレートするなどの音質そのものを変化させる場合にも用いるケースもある。ギターやベースギター、シンセサイザーに内蔵されている「トーン・コントロール」の多くも、元来の単なる高音・中音・低音の強弱操作レベルを超え、「イコライザー」といってもいいくらいの繊細でコントラストのある変化をつけられる機種や、簡単なグラフィックイコライザー内蔵の機種も多い。
[編集] DJ機器のイコライザー
電気楽器のイコライザーとほぼ同じだが、ある周波数を境にそれ以上やそれ以下の帯域を極端にカットするものはフィルターもしくはアイソレーターと呼ばれることがある。カットする境目の周波数自体を急激かつ極端に変えたり、ドラムやベースをカットして全く別のリズムセクションを合成したりするなど、楽曲の構成自体に影響を与えるような使い方をされることも多い。