PL学園対横浜延長17回
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PL学園対横浜延長17回(ピーエルがくえんたいよこはまえんちょう17かい)とは、1998年8月20日に甲子園球場で行われた第80回全国高等学校野球選手権大会準々決勝第1試合で行われた南大阪代表・PL学園VS東神奈川代表・横浜との試合である。
この年、横浜は春のセンバツ大会の優勝チームであり、史上5校目の春夏連覇がかかっていた。また、この両チームはセンバツでも1度対戦しておりこの時は横浜が3-2で勝利している。PL学園が選抜での敗戦の雪辱を果たせるか、もしくは横浜が連勝するか、注目を集めていた。 名勝負としては松山商業対三沢延長決勝延長18回引き分け再試合、駒大苫小牧対早稲田実業決勝延長15回引き分け再試合に匹敵する物とされている。
[編集] 試合経過
先攻横浜、後攻PLで8時30分試合開始。
イニング | 表/裏 | 経過 |
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1回 | 表 | 三者凡退。 |
裏 | 2アウトからフォアボールで出塁するも無得点。 | |
2回 | 表 | 三者凡退 |
裏 | 先頭の大西のヒットと送りバントがフィルダースチョイスとなり1・2塁、バントで送った後犠牲フライで先制。(P 1-0 横) さらに松丸のタームリーツーベースで2点目。ボークで3塁に進んだ後、田中のタイムリーで3点目。その後井関のヒットで再び2塁に進むが3アウト。 しかしこの回PL学園が3点を先制。この時、横浜ではブルペンが早くも動いていた(P 3-0 横)。 |
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3回 | 表 | 1アウト後フォアボールで出て送るが無得点。 |
裏 | 先頭がフォアボールで出て送るが無得点。 | |
4回 | 表 | 先頭の加藤のツーベースで出て、2アウト後小山の2ランホームランで横浜が2点返す。(P 3-2 横) |
裏 | 1アウト後松丸、田中一、井関の連打でPL学園が1点追加。(P 4-2 横) | |
5回 | 表 | 先頭の斎藤と佐藤の連打の後、松本の2点タイムリーで横浜が同点に追いつく。(P 4-4 横) さらにファーストゴロの間に3塁に進んだ後、サードゴロの間にホームを狙うもタッチアウト。ワイルドピッチで再び2塁に進むが逆転はならず。 |
裏 | 三者凡退。 | |
6回 | 表 | 先頭の小山がヒットで出るがバントがキャッチャーフライでダブルプレー、三人で攻撃終了。 |
裏 | 三者凡退。 | |
7回 | 表 | 三者凡退。この回からPL学園は上重が登板。 |
裏 | 1アウト後フォアボールと大西のヒット、三垣のタイムリーでPL学園が勝ち越し。(P 5-4 横) | |
8回 | 表 | 先頭の加藤がヒットで出て、2アウト後盗塁で2塁に進み、小山のタイムリーツーベースで横浜が同点に追いつく。 この時イレギュラーバンドした球がPLの捕手・石橋の顔面に当たり、田中に交代する。(P 5-5 横)。 |
裏 | 1アウト後デッドボールとヒットでランナーをためるが無得点。 | |
9回 | 表 | 三者凡退。 |
裏 | 先頭の古畑がフォアボールで出るが牽制で刺され、三人で攻撃終了、延長戦へ。 | |
10回 | 表 | 先頭の打球がショートのエラーとなり2塁を狙うが好返球でアウト、三者凡退。 |
裏 | 2アウトからフォアボールで出るが無得点。 | |
11回 | 表 | 先頭の松坂がヒットで出て送り、柴のタイムリーで横浜が勝ち越し、初めて横浜がリードする。(P 5-6 横) |
裏 | 先頭の平石がヒットで出て送り、2アウトから大西のタイムリーでPL学園が同点に追いつく。(P 6-6 横) | |
12回 | 表 | 三者凡退。 |
裏 | 三者凡退。 | |
13回 | 表 | 1アウト後松坂、小山の連打でランナーをためるが後続が凡退。 |
裏 | 三者凡退。 | |
14回 | 表 | 先頭の佐藤がヒットで出て送るが、セカンドライナーで2塁ランナー佐藤が飛び出しダブルプレー。 |
裏 | 三者凡退。 | |
15回 | 表 | 先頭の加藤がデッドボールで出るが、バントがフライになり1塁ランナー加藤が飛び出しダブルプレー。 松坂のヒットで再び出塁し、小山のツーベースで3塁まで進めるが無得点。 |
裏 | 好調松坂に4イニング連続の三者凡退。 | |
16回 | 表 | 先頭の常盤が出て送り、松本のヒット、小池の内野安打で満塁に。 ショートゴロの間にホームイン、横浜が延長に入って2度目の勝ち越し。(P 6-7 横) |
裏 | 先頭の田中一の内野安打で5イニングぶりに出塁して送り、ワイルドピッチで3塁に進む。 ショートゴロの間にホームを狙い、バッター本橋のヘッドスライディングでバランスを崩した1塁手後藤のホームへの送球が逸れて田中(一)がホームイン。 本橋はアウトとなるが得点は認められPL学園が再び同点。この段階で大会委員会では再試合を用意していた[要出典](P 7-7 横)。 |
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17回 | 表 | PLのレフト・田中(一)がダイビングで外野フェンスにぶつかりながら好捕して2アウト。 しかし次打者が本橋の悪送球で出塁し、常盤の値千金の2ランホームランで横浜が2点を勝ち越し。(P 7-9 横) |
裏 | 三者凡退で試合終了。最後の打者田中(雅)を見逃しの三振に抑え松坂は17回、250球を1人で投げ切った。ガッツポーズの余裕なし。試合終了12時7分。(P 7-9 横) |
この戦いは翌年の1999年の第81回大会直前企画としてオールナイトで改めて放送された。
また、NHKにおいてもこの試合の特集番組が組まれ、朝日文庫より「ドキュメント横浜vs.PL学園」(ISBN 978-4022613073)が出版されている。
この試合の球審を担当した岡本良一氏は「いつもなら試合終了後、勝った学校の校歌演奏時にその試合でのプレイ風景が浮かぶが、あの時は全く浮かび上がらなかった。皆放心状態で審判をしていたのでしょう。」と述懐している。
試合終了後には、敗者であるはずのPL学園ナインに笑顔があり、勝った側の小山捕手が号泣する場面が見られた。
横浜 9 - 7 PL学園(43000人)
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | R |
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横浜 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 9 |
PL学園 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 7 |
[横浜]
[PL学園]
主な控え(横)袴塚健次、斉藤弘樹、山中茂雄、鳥海健次郎(P)浜田大、福島寿雄、倉本一博、足立和也