JIN-仁-
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JIN-仁- | |
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ジャンル | 青年漫画、医療漫画 |
漫画 | |
作者 | 村上もとか |
出版社 | 集英社 |
掲載誌 | スーパージャンプ |
発表期間 | 2000年第9号 - 連載中 |
巻数 | 現在11巻 |
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目次 |
[編集] 概要
「スーパージャンプ」2000年9号より連載開始。当初は半年1回の頻度で2〜3話連続掲載されるシリーズ連載形式だったが、2006年13号より毎号連載となった。2008年5月現在も連載中(単行本の既刊は11冊)。
現代から幕末の日本にタイムスリップした脳外科医・南方仁が、過去の人間の運命を変えていることを自覚しつつも、20世紀末の医療技術を用いて江戸の人々を救おうと努力する。抗生物質や近代的な医療器具の無い時代に出来ること出来ないことの線引きをうまく考えた歴史SF作品。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 登場人物
[編集] 主な登場人物
- 南方 仁(みなかた じん)
- 東都大学附属病院脳外科医局長。34歳(2000年当時)。頭蓋骨内に奇形腫瘍を持っていた謎の男との接触により文久2年の江戸にタイムスリップ。歴史を変えることになると自覚しつつも、医者としての使命感から江戸の人々を近代医療で救う。西洋医学所と虎狼痢の対策を行ったり、原始的な方法によるペニシリンの抽出・精製を行うなど幕末の医療技術を飛躍的に進歩させる。緒方洪庵死後、医学所と距離を置き仁友堂を開業した。
- 橘 咲(たちばな さき)
- 旗本橘家の娘。兄・恭太郎の命を救った仁に興味を持つ。やがて麻疹にかかり仁に命を救われたのを機に看護婦となり、虎狼痢にかかった仁を救うなど、彼の右腕としてなくてはならない存在になる。野風の手術を守るために縁談を破棄したため栄から勘当され、仁友堂に身を寄せる。
- 橘 恭太郎(たちばな きょうたろう)
- 咲の兄。安政の虎狼痢で亡くなった父の跡を継ぐ。微禄(150石の小普請組)ながら勝海舟に洋学を学ぶなど向上心が高い。そのため攘夷派浪人に襲われるが、タイムスリップしてきた仁の近代医療により命を救われる。
- 橘 栄(たちばな えい)
- 恭太郎と咲の母。典型的な武家の未亡人だが、子供達を救った仁に信頼を寄せている。
- 坂本龍馬
- 勝を通じて仁と知りあう。当初は仁の正体を訝るが、すぐに打ち解け親友となる。
- 野風(のかぜ)
- 吉原の鈴屋彦三郎抱えの呼び出し花魁。鈴屋の命を救った仁に心酔するも、彼の心に咲がいることを悟り身を引く。さる大名の隠居に落籍される予定だったが、乳癌の手術により破談となる。術後は吉原を出て仁友堂の雑用をこなしていたが、仁が投獄された際にツル(牢屋で慣例化されていた賄賂)を工面するため、フランス人貿易商に身を売り仁友堂を去る。
[編集] 市井の人々
- 喜市(きいち)
- 仁が外出先から帰る途中、枝豆とゆで卵を売っていた喜市と母タエに出会ったのがきっかけ。喜市の母が頭を馬に割られたのを仁が治療した。現在は小豆問屋の丁稚小僧として働いている。
- 茜(あかね)
- 浅草の茶屋の看板娘。餡子を作っているときに大やけどを負うが、仁が治療した。
- 浜口儀兵衛(梧陵)
- 江戸で醤油工場を経営する実業家。緒方洪庵の遺志を継ぎ、醤油倉を使って醤油職人にペニシリン精製をさせるなど仁に協力する。
- 澤村田之助
- 江戸で人気の歌舞伎役者(女形)。なじみの花魁・初音が堕胎に伴う敗血症に倒れた際、仁による治療のための資金提供を当初は渋るが、最終的には提供し、田之助の名を上げる結果となる。その後は次第に親しくなり、仁とは持ちつ持たれつの間柄になっている。早くも鉛中毒の兆候が現れているが、上等な白粉ほど鉛含有量が高いことを知らずに愛用している。
- 新門辰五郎
- 江戸火消し「を組」を束ねる人物。千吉を仁に救ってもらったことでが縁で、仁友堂の建設など協力するようになる。一介の町人ながら徳川慶喜と親交があったことでも知られる。
- 千吉(せんきち)
- 「を組」の町火消し。消火活動中に煙を吸い気道熱傷に倒れるが、仁に命を救われる。お駒とは幼なじみ。
- 桜川雲泉(さくらがわ うんせん)
- 美人画を描かせたら当代一の浮世絵師だったが、手根管症候群を患ったことで酒におぼれ身を崩していた。手術の麻酔の際、現代の東京を幻視する。
- お志津(おしづ)
- 雲泉の娘。仁の執刀で父が立ち直ったため、近所の足袋屋に嫁いだ。
- お駒(おこま)
- 浅草田町の町娘。巾着切り(スリ)でもある。銭湯での喧嘩で後頭部を負傷した際に仁の治療を受ける。同時に右手人差指の腱が切れていたことがのちに判明し、仁の治療を受ける。完治後にスリを再開するが、咲の優しさに触れて改心する。
[編集] 医師
- 緒方洪庵
- 西洋医学所頭取。仁の医療技術が江戸に広まるよう協力する。仁の正体(未来から来たこと)を半ば見抜いていたが、その秘密を他人に漏らさぬままこの世を去った。
- 伊東玄朴
- 西洋医学所取締役。緒方同様、仁の医療技術を認めていたが、伊東失脚後の医学所内部抗争が仁を医学所から遠ざけることになる。
- 山田順庵
- 西洋医学所勤の蘭方医。初対面時には仁に対する懐疑を表明し挑戦的な態度を崩さなかったものの、虎狼痢で命を救われてからは仁に心服。主にペニシリン精製の陣頭指揮を行っている。
- 松本良順
- 緒方洪庵の遺志を継ぎ、仁に協力する。
- 福田玄孝
- 奥医師(漢方医)。胃潰瘍で倒れるが仁の手術で一命をとりとめる。のち、奥医師を辞して仁友堂の内科医となる。多紀に内情を伝えるスパイでもあるが仁の能力と人格を高く評価しており、後に多紀元琰から、仁を医学館側に取り込もうとする策を知らされて喜び、全面的な協力を誓う。
- 多紀元琰
- 奥医師(漢方医)。医学館督事。仁の手術を目の当たりにしたことで、彼の持つ近代医療に驚愕し危険視するも、仁の存在が漢方医だけでなく当時の蘭方医の脅威になると感じ、福田をスパイとして仁友堂に送る。
- 福田から得た情報により、仁の医学がはるか未来の発達したものであることを感じ取った多紀は、医学館が次の時代に適応・延命できるよう、仁とのさらなる接近を模索。そんな折、和宮毒殺未遂騒動の容疑者となった仁の無実を証明し、貸しを作った。
- 佐分利祐輔
- 華岡流の若き医師。経験を積むための総嫁の検診が悪評を呼んでしまい、軍艦の船医に転ずる。事故による気胸を仁に救われたのが縁で仁友堂に移籍。全身麻酔の技術で仁に貢献する。
- 三隅俊斉
- さる御家門の藩医(蘭方医)。野風の癌を見抜けず、仁によって面目を潰されたことを恨んでいる。外見は柔和だが、裏では仁への恨みを晴らす為に悪侍に仁友堂を襲撃させたり、砒素による和宮毒殺未遂騒動を引き起こした。毒殺未遂騒動では無関係な婦女子まで投獄や自殺へ追いやっても平然と笑っているなど冷酷卑劣な凶人でもある。
[編集] 武士その他
- 勝海舟
- 市井の噂や恭太郎との繋がりから仁と知己を得る。その後、神戸海軍操練所の設立で江戸を離れるが、要所で重要人物と仁との縁を取り持つ。
- 佐久間象山
- 作中では少年時代にタイムスリップで現代に行ったことがあり、それ以来、熱心に勉学に励むようになった。
- 京で攘夷志士らに斬られたがしばらくは絶命せず、召喚された仁の治療を受ける。すでに手遅れだったが、手術中に現代の情景を妄想し仁を驚かせ、かつて行った未来にこの時代が近づけることを仁に託して息絶えた。
- 三浦啓之助
- 象山の息子で当時は新選組に所属。
- 沖田総司
- 禁門の変で敗走した長州兵を追って、治療中の仁の元へ攻め込んでくるが、人を斬ることよりも生き返らせることは難しいと言い残し去っていく。
- 近藤勇
- 沖田からの報告により仁を呼び出すが、医者として患者の元へ戻りたいという仁の意志に感服する。
- 西郷隆盛
- 新選組より戻された仁を奇妙な腹痛を治療してもらうために呼び出す。原因は虫垂炎と判明するが、開腹手術を武士の恥と思い躊躇する。
- 一橋慶喜
- 新門辰五郎らを介して仁と知己を得る。
- 和宮
- 大奥女中の噂話から澤村田之助に興味を持っていたため、松本良順や仁の仲介でお忍びの芝居見物を行った。併せて、仁が脚気対策の食餌療法を試みるが、毒殺未遂騒動が起きてしまう。