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DML30系エンジン - Wikipedia

DML30系エンジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

DML30系エンジン(DML30けいエンジン)は、日本国有鉄道(→JRグループに継承)の気動車用として開発されたディーゼルエンジンである。

キハ183系用DML30HSI形 (440PS/1600rpm)
キハ183系用DML30HSI形 (440PS/1600rpm)

目次

概要

水平対向12気筒[1]、連続定格出力は440 - 660PSのエンジンである。主に高速、高出力を要求される特急形車両急行形車両に使用される。

型式名のDMはDiesel Motorの略、Lは12気筒を意味し(Aを1、Bを2…の意味に置き換えると12はL)、30は総排気量リットル)である。末尾のHは横型機関 (Horizontal) を、Sはターボチャージャーを意味し、それに続くアルファベットは改良順にA、B…となる。

国鉄の気動車用エンジンは、大別するとDMH17系と、このDML30系(大出力形)/DMF15系(小出力形)エンジンに分けられる。後者のDMF15系は、このDML30系エンジンの片方のバンクだけを取り出した形のものであり、両者は部品に互換性を持つ。

開発経緯

キハ60系でのDMF31HSAとDW1液体変速機の失敗を受けて1963年(昭和38年)に試作された直列6気筒の横型エンジンであるDMF15HS (240PS/1600rpm) を基本とし、翌1964年にこれをバンク角180度のV型12気筒に組み替えたDML30HSをルーツとする。

姉妹機種であるDMF15系と同様、本形式の設計は予燃焼室式を採用したことを含め、DMH17系エンジンの設計に大きく依存する形で開発されている。結果的に気動車用としては失敗に終わったDMF31系エンジンが、シリンダ径も行程も共に過大で横置き搭載するには問題が多かったことを教訓として、DMH17系と同じ行程でシリンダ径を10mm拡大、バンク角180度のV型12気筒としたうえで過給を行うことで所定の性能を確保する設計[2]とされた。

もっとも、この時点では国鉄はDMH17系に代わるエンジンは300PS級のDMF15系が妥当なのか、それとも500PS級のDML30系が妥当なのか、どちらとも決めかねていた。そこで実際にこれらの機関を搭載した車両を試作し、長期試験を実施することとした。それがキハ90系である。1966年(昭和41年)、300PSのDMF15HZAを搭載したキハ90形と、500PSのDML30HSAを搭載したキハ91形が各1両製造され、千葉地区など各地で性能試験が行われた。その結果をふまえて、翌年には営業列車での長期実用試験を行うため、DML30HSBを搭載したキハ91形量産試作車7両と、走行用エンジンを搭載しないキサロ91形が3両製造され、急行「しなの」などで試験が開始された。

これらでの試験の結果、今後の優等列車用国鉄気動車では500PS級機関を1基搭載することになり、食堂車を除く全車に500PS級のDML30HSCエンジンを装備したキハ181系を製造、1968年(昭和43年)10月1日のダイヤ改正から特急に格上げされた「しなの」で営業運転を開始した。

問題点

こうして本格的な量産にゴーサインが出された本系列であるが、その設計は様々な問題点を内包していた。

そもそも、本系列の基本設計が行われた1960年代初頭には、ヨーロッパ、特にドイツを中心とする各国の有力エンジンメーカーは1954年のMAN社以降、経済性を重視してトラック用ディーゼルエンジンの直噴化を順次進めており、日本でも1958年頃からいすゞ自動車がトラック用ディーゼルエンジンのための直噴方式の研究をスタートさせ、少し遅れて日野自動車もこれに続いていた[3]。また、アメリカでは最大手のカミンズ社が直噴一本槍[4]であり、次位のデトロイトディーゼルもこれに倣ったため、1960年代後半には、少なくとも気動車用とサイズや出力が近似のトラック用に限れば世界的な趨勢として直噴方式が既に一般化しつつあり、またこの時期に設計されたトラック用副燃焼室式あるいは予燃焼室式機関の多くは、将来の直噴化を念頭に置いて設計されていた[5]

このような世界の同級ディーゼル機関の開発趨勢に背を向け、旧弊な予燃焼室式を何ら対策を講じることもないまま無批判にDMH17系から継承した結果、本系列[6]における機関発熱は当初の想定を超える過大なものとなった。

予燃焼室式が戦前のDMH17初号機設計の時点で採用されたのは、当時の国情から低質油の使用が可能であること、予燃焼室内での噴射燃料の燃焼が緩やかで低圧力に耐えるだけで済んで予燃焼室や気筒部の設計製造が比較的容易であったこと、それに騒音・振動の点で有利であったことなどの理由による。つまり、戦前の選択理由のうち、少なくとも2点については本系列が開発された時期には積極的な選択理由となり得ない状況となっていた。また、国内にはこの当時、民間にもまだ10リッター超クラスの直噴ディーゼルによる高過給ターボ車はなかった[7]

しかも、予燃焼室式は前述の利点の一方で絞り損失が大きく冷却効率が悪く、ひいては熱効率が悪い、という弱点があり、DMH17クラスまでの低出力小型機関であれば、それでもメリットの陰に隠れて目立たないが、大出力機関ではこの熱効率の悪さが深刻な問題になりやすい。DMF15HZAとDML30HSAが競争試作された際に、前者がインタークーラー付加で1気筒あたりの出力50PSを達成していたのに対し、後者が1気筒あたり約42PSに留められたのも、排熱の総量が過大で排気管過熱による発火といった問題に対する解決策が見出し難かったためである。

DML30系機関搭載車、中でも特に深刻な状況を呈したキハ90・181系における機関の不具合頻発は、予燃焼室の設計や工作精度の管理不十分、常用速度域の大半を変速段が占める専用変速機の特性、それに性能の不十分な自然放熱式冷却器[8]の採用、といった事情から特に極端な形で顕在化したものである。本系列の製造上の品質管理の問題は、充分な管理・調整が期待できた試作機の段階では特に目立った不具合が発生しなかったために見過ごされたが、量産段階では設計陣の想定を上回る品質のばらつきが発生し、それらが過酷な使用状況にさらされた結果、一気に表面化したものであった。

この問題は予燃焼室式を採用した各機種では根本的には完治せず、後年、検査を担当する国鉄工場で燃料噴射量を一定レベルに調整(実質的にはデチューンであった)することと、強制通風式補助冷却器の追加で一応の解決が図られた。更にはキハ66・67系以降の後発車種では強制通風式の冷却器を全車に標準搭載すると共に、機関出力を一律12%ダウンの440PSとすることで信頼性の確保を図る方策が採られている[9]。なお、このキハ66・67系では騒音が著しく車内で会話できないほどであったことが新聞紙上で取り上げられており、本系列では本来予燃焼室式のメリットであったはずの低騒音・低振動さえ満足に実現されておらず、少なくとも同系列では機関設計にあたって予燃焼室式を積極的に採用する理由は事実上皆無であったことになる。

こうして本系列は、改良、あるいは信頼性向上を目的とした出力ダウンや、その後の高出力化要求に対応するための電子制御・直噴化等、適宜情勢にあわせた変更を重ねられたが、その機械的信頼性の低さや整備の面倒な多気筒エンジンであることから当初の目的であったDMH17系機関を全面的に置き換えるには至らず、他に適切な代替エンジンが開発されなかった[10]ことから1990年代まで製造が継続されたものの、その製造実績は少数に留まった。

液体変速機

液体変速機はすべて1段3要素であり、逆転機を内蔵している。DW4系をルーツとし、DW9系、DW12系へと改良された。

最初に造られたDW4系は自動クラッチである。DW4Cは爪クラッチ、DW4Eは湿式多板クラッチ(キハ181系#変速機も参照せよ)。また、逆転機の切り換え時には出力軸を揺動させる。DW4系を装備したキハ181系では、液体変速機と台車を結ぶ推進軸の他に、反力を吸収するための軸を装備する。

DW9系は、DW4系を手動クラッチに変更したもの。キハ183系で使用されるDW9Aは軽量・耐寒形。

DW12系はDW9系を改良したもので、ダイナミックブレーキを装備するための準備がしてあり、また、よりコンパクトになっている。DW12Aは、エンジン出力増大にともなう回転数増大のため、減速比が変更されたもの。

なお、液体変速機は暫時改良されているため、のちに製造時と異なるものに交換されている場合がある。

諸元

共通項目

  • 形式:水平対向12気筒4ストロークディーゼルエンジン
  • シリンダ径×行程(mm):140×160
  • 排気量:29,541cc
  • 燃焼順序:A1→B5→A4→B1→A2→B4→A6→B2→A3→B6→A5→B3
  • 過給の有無:有

主な共通項目

  • 1気筒あたり4バルブ。DML30HSJ以降、1気筒あたり2バルブ。
  • 予燃焼室式。DML30HSJ以降、直噴式。

諸元一覧

主な搭載車種 圧縮比 定格出力 (PS/rpm) 最大出力 (PS/rpm) 組み合わされる液体変速機 長さ×幅×高さ (mm) 乾燥重量 (kg) 備考
DML30HS 試作 500/1600 DW4
DML30HSA キハ91 1 500/1600 DW4A
DML30HSB キハ91 2~8 500/1600 590/2000 DW4B
DML30HSC キハ180 500/1600 590/2000 DW4C、DW4D、DW4E クランク軸一体化
DML30HSD キハ65 500/1600 590/2000 DW4D
DML30HSE キハ181 500/1600 590/2000 DW4E
DML30HSF キヤ191 425/1600 DW4F
DML30HSH キハ66 440/1600 DW9 安定性重視・保守費軽減のため出力ダウン、ガスケット吹き抜け対策
DML30HSI キハ182 440/1600 DW9A HSHの耐寒形
DML30HSJ キハ182-500 550/2000 DW12 直噴・電子ガバナ化
DML30HZ キハ182-550 660/2000 DW12A インタークーラ追加

DML30系を搭載している車両

脚注

  1. ^ クランク軸への対向シリンダーのコネクティングロッドの組み付け方から判断する限り、厳密には水平対向ではなく、バンク角180度のV型エンジンである。
  2. ^ 過給については、DMH17系でも同時期にDMH17Sとして過給器付加で定格出力250PSを達成したモデルが開発されており、同一行程・同程度の定格回転数という条件にDMH17系での過給時の性能増加を加えて考慮すると、本形式の設計は根本的な部分ではDMH17系と何ら変わっていなかったことが見て取れる。
  3. ^ いすゞ(D920)、日野(EA100)の両社共に直噴エンジンの市販化は1967年。
  4. ^ 例えば台湾鉄路管理局へ1967年に納入されたDR2700形東急車輌製造製)はカミンズの標準品の一つであるHR-6系エンジン(直列6気筒、直噴、排気量12.2l)のバリエーションモデルであるNHHRTO-6-B1(出力335PS)を搭載し、またこれより四半世紀以上経過してから日本のJR各社が大量採用したNTA855シリーズ(直列6気筒、直噴、排気量14l)も、この時期には既に量産されていた。
  5. ^ これに対しシリンダ径が小さく高回転数が要求される乗用車用ディーゼルエンジンの直噴化は大きく遅れ、電子制御や高圧噴射などの技術が実用化された1980年代を待つ必要があった。
  6. ^ 直噴化された一部の後期モデルを除く。
  7. ^ シリンダーブロック、及びシリンダーヘッドが、高圧縮比化での高過給に耐えられず、変形してしまう為である。これはガソリンエンジンでも同じで、ターボ車は総じて圧縮比が低く設定されている。直噴式ディーゼルのメリットのひとつは高圧縮比の実現であるから、圧縮比を下げねばならない時点で直噴式を敢えて採用しようとするメーカーはなかった。日本初の直噴ディーゼルターボエンジンは日産ディーゼル工業のPD6(T)で、1971年の事である。
  8. ^ ファン駆動による振動や騒音がなく、かつ低コストであるとしてキハ90系で採用され、同系の試験期間中に既に低速かつ機関最大出力での動作を要求される上り連続急勾配区間、特に長大トンネル区間で排気管発火に至る致命的なオーバーヒートの危険性があることが露見しており、対策として屋根上に補助送風ファンを搭載するという、当初の設計コンセプトと完全に矛盾する追加装備さえ搭載されたにもかかわらず、キハ181系ではこのシステムがほとんど無批判に継承されていた。
  9. ^ この対策は姉妹機種であるDMF15系にも適用された。もっともキハ66・67系ではこれらは根本的な解決策とはならず後半はオーバーヒートトラブルが頻発、冷却系に強制循環ポンプを付加するなどの対策が採られたが、最終的には製造後20年を前に新型直噴機関への機関換装という形で抜本的な解決が図られる結果となった。
  10. ^ オイルショックによる電化の急速な進展もあって、1970年代以降は気動車の新製需要が激減しており、大出力機関の新規開発コストに見合うメリットが得られなかった。



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