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AirMac - Wikipedia

AirMac

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

AirMac(エアマック、日本市場以外ではAirPort)は、アップル社が提供するIEEE 802.11方式による無線LANシステムである。

世界的には「AirPort」の名称で発売されているが、日本では関西電機によりすでに「AirPort」の名称が商標登録されていたことから、日本では「AirMac」の名称で発売されている。なお関西電機との提携により、アイ・オー・データ機器が「AirPort」というブランド名で、無線LAN製品を販売している。

※以下の記述において「AirPort」は日本国内における「AirMac」を指す。

目次

[編集] 概略

1999年7月に発表されたAirPortは無線LANの標準規格であるIEEE 802.11bに基づいており、他のIEEE 802.11b装置と互換性があるとしてWi-Fi AllianceによるWi-Fi の認定を受けている。2003年1月にはIEEE 802.11g仕様に基づく製品ファミリーとして AirPort Extreme が発表され、54Mbps へのスピードアップおよび古い802.11b互換の AirPort 製品との相互運用性が提供された。2004年6月には AirPort Expressモバイルベースステーション が発表され、より小型で安価でありながら AirPort Extremeと同様のIEEE 802.11g仕様に準拠し 、iTunesとの運用で家庭内のオーディオ機器に無線でストリーミング送信する機能が提供されている。2007年1月にはIEEE 802.11nドラフトに基づいた AirPort Extreme が発表され、最大270Mbps へのスピードアップおよびUSB機器の共有機能、従来の AirPort 製品との相互運用性が提供されている。AirPort製品の一般的な用法は、プロトコル(802.11b および 802.11g、802.11nドラフト)と拡張カードおよびベースステーションを参照のこと。

AirPortカードおよびAirPort ExtremeカードはMacintoshにのみ利用できる。しかしすべてのAirPortベースステーションおよびカードは、Wi-Fiの認定を受けたサード・パーティーのベースステーションおよびワイヤレス・カードと互換性がある(それらがIEEE 802.11bまたはIEEE 802.11gIEEE 802.11nドラフトに適合している限り)。この相互接続性により、新旧のMacintoshおよびWindows、そしてLinuxシステムにさえもサービスする何種類かのAirPortベースステーションからなるワイヤレス・ネットワークを見ることは珍しくない。

なお、AirPortカードと AirPort Extremeカードは物理的に互換性がない。AirPort Extremeカードは古いMacに装着できず、AirPortカードは新しいMacには装着できない。AirPortカードの生産終了後はこれが入手困難であるためオークション等で取引したり、Windows向けの市販の無線LANカードを自己責任で装着したりしている。また、USB接続の無線LANクライアントの中にはMacintoshに対応している製品もあり、速度の面(IEEE 802.11g仕様に対応できる)から、こちらを利用する者もいる。

[編集] 歴史

AirPortニューヨークで開催されたMacworld Expoにおいて1999年7月21日に初登場した。最初に提供されたのはAirPortベースステーションに加え、アップル社の新型の iBookノートブック向けオプションの拡張カードが含まれた。AirPortカードは、PowerBookeMaciMac、およびPower Macを含むすべてのアップル社製コンピュータにオプションとしてその後追加された(Xserveにはラックマウントサーバという性格上AirPortカードオプションがない)。初代のAirPortシステムは最大11 Mbpsの転送レートが可能であり、複数のコンピュータの間でインターネット・アクセスの共有とファイル共有を行うためによく使われた。

2003年1月7日、アップル社は802.11g仕様に基づく AirPort Extreme を発表した。AirPort Extremeは最大54 Mbpsのデータ転送が可能で、45メートル範囲まで使え、競合相手となる802.11aとは違い既存の802.11bワイヤレス・ネットワーク・カードおよびベースステーションと完全に下位互換性がある。PowerBookiBook および iMacを含むいくつかのアップル社製コンピュータは、AirPort Extreme カード標準装備で出荷された。AirPort Extreme 発表後、現在まで発表されているすべてのMacは、AirPort Extremeカードのための拡張スロットを備えている。

初代のAirPortカードは2004年6月で生産中止となった。

2004年6月7日、アップル社は802.11g仕様に基づく AirPort Express を発表した。AirPort ExpressはAirPort Extremeと同等の最大54 Mbpsのデータ転送が可能でありながら、手のひらに収まるサイズと低価格化を両立しモバイルベースステーションと形容して発表された。また、デジタルとアナログの複合オーディオ端子を内蔵しており、家庭内のオーディオ機器等に接続し、iTunesと連携して無線でストリーミング送信する機能が追加されている。

2007年1月9日、アップル社は802.11nドラフト仕様に基づくAirPort Extremeを発表した。この新型AirPort Extreme ベースステーションは最大270Mbpsのデータ転送が可能となり、USBインターフェースを備え、プリンタやハードディスクドライブなどのUSB機器を共有する機能が追加されている。

2008年現在、Mac Proを除くすべてのアップル社製コンピュータは、AirPort Extremeカード標準装備で出荷されている。Mac Proもカードのための拡張スロットを備えており、BTOなどにより装着可能である。

[編集] ベースステーション

初代 (グラファイト) AirPort Base Station
初代 (グラファイト) AirPort Base Station

ベースステーションとは、AirPortを利用可能なコンピュータをインターネット、あるいは他のAirPort利用可能なコンピュータ、あるいは有線LAN、あるいはその他の装置へ接続するために使われる、いわゆるアクセスポイントの、AirPort シリーズ製品における通称である。

[編集] AirPort

グラファイトとして知られる初代AirPortベースステーションは、モデムポートおよびイーサネットポートを1つ備えている。これはLucent社製WaveLan PC Cardをベースにしており、組み込み型486プロセッサが使われていた。1999年7月21日に発売された。

デュアル・イーサネットまたはスノーとして知られる第二世代モデルは2001年11月13日に発表された。これは2つ目のイーサネット・ポートが追加され、有線および無線クライアントの両方と有線ネットワーク接続を共有することを可能にした。このモデルはモトローラPowerPC860プロセッサが組み込まれていた。

[編集] AirPort Extreme

AirPort Extreme
AirPort Extreme

AirPortベースステーションは、2003年1月7日の、AirPort Extremeベースステーションの発表[1]後に生産が中止された。最高54Mbps にスピードアップされたワイヤレス接続の提供に加え、外部アンテナ・ポートおよびプリンタ共有用の USB ポートが追加された。

アンテナポートは信号ブーストアンテナの追加を可能にし、USBポートはUSBプリンタの共有を可能にした。 接続されたプリンタはBonjourの"Zero configuration"技術とIPPを通じ、ネットワーク上のすべての有線あるいは無線クライアントが利用できるようにされる。モデムおよび外部アンテナポートのない第2モデルが短期間提供されていたが、これは後述するAirPort Expressの登場後生産中止された。

2004年4月19日、第3モデルが公開された。これはPower over Ethernet (PoE) をサポートし、つり天井の上のエリアのようなエア・ハンドリング・スペースでの安全な利用のための規格 UL2043(プレナム定格)に従っている。3つのモデルすべてが、Wireless Distribution System (WDS) 標準規格に対応する。

2007年1月9日、第4モデルが発表された[1]。筐体デザインが一新され、Mac miniと類似した形状の薄く四角いデザインとなった。ワイヤレス接続に関しては、802.11n規格ドラフトに対応したことにより最大270Mbpsのデータ転送が可能となった(但し、2007年2月現在、国内の法規により帯域幅は仕様上可能な上限の半分に制限されている)。また、従来の AirPort 製品との相互接続も可能である。その他、USB接続のハードディスク共有機能も新たに取り入れられた。

なお、Macのうち、802.11n規格に対応するのはCPUにIntel Core 2 Duo プロセッサを採用する製品(iMacの最下位モデルを除く)とAirMac ExtremeカードのあるMac Proに限られる。また、初期の製品については別途802.11n Enablerが必要となる。802.11n Enablerはベースステーションに同梱されるほか、Appleから1.99ドル(日本では250円)で提供される。

2008年3月20日、Firmware 7.3.1[2]とTime Machine Update[3]により、802.11n対応機種が一見Time Machineへ対応したかに見えるが実際には問題があり、サポート外の利用となる[4]。これまで同様に公式には対応していない[5]

[編集] AirPort Express

AirPort Express ベースステーション
AirPort Express ベースステーション

AirPort Express は2004年6月7日にアップル社より発表された、シンプルかつコンパクトな AirPort Extreme ベースステーションである。AirTunes と呼ばれる新機能を持ち、これは AirPort Extreme ベースステーションに取って代わるものではない。アナログ/光オーディオ・ミニジャック出力、プリンタ共有用のUSBポート、1個のイーサネット・ポートを内蔵する。 AirTunesは、iTunes 音楽プレイヤーを持ちAirPortを利用可能なコンピュータが AirPort Express に接続されたスピーカーへ音楽を配信することを可能にする。

AirPort Express は、WDSブリッジングの利用によって既存の AirPort Extreme ネットワークの範囲を拡張するためにしばしば用いられる ([2])。そしてそれは、インターネットアクセスやファイル共有・プリンタ共有と同じように AirTunes の機能もより遠くの、より多数の有線・無線クライアントに広がる。

USBポートの他の使い方はKeyspan社製USB接続型赤外線リモコンを使用して AirTunes を制御する事である。

2008年3月17日、802.11nドラフト2.0に対応したAirPort Expressが発表された[6]

[編集] セキュリティ

AirPort および AirPort Extreme は、盗聴(あるいは「傍受」「漏洩」)およびネットワークの不正アクセスを防ぐための多様なセキュリティ技術に対応する。有線ネットワークがほとんどの場合物理的に保護できるのと違い、すべての無線ネットワークは本質的に盗聴に対して脆弱である。このため、暗号化は主要な役割を果たす。

一般的に、WEP は「破られた」とみなされている。早くも2001年には WEP プロトコルに穴が見つかっていたが、2005年3月のFBIによる実演はインターネットから自由に入手できるツールを使ってWEPキーを3分間でクラックできることを示した。

WEP の非セキュアへの増大する懸念に応えて、WPA 規格は2003年6月に、より永続的で安全なプロトコルが開発され得るまでの「つなぎの解決策」として利用可能になった。WPA2 あるいは IEEE 802.11i として知られる新しい規格は2004年6月24日に承認され、Advanced Encryption Standard (AES) を用いる。

AirPort ベースステーションの初代製品ファミリーは他の Wi-Fi 製品と同様に 40ビットまたは128ビットの Wired Equivalent Privacy (WEP) を用いている。AirPort Extreme ベースステーション・カードおよび AirPort Express ベースステーションも互換性の観点から WEP を使用することもできる。 AirPort Extreme ベースステーション・カードおよび AirPort Express では Wi-Fi Protected Access (WPA) もサポートしていたが、2005年7月14日からは WPA2 の使用が可能となり、また推奨されている。AirPort カードも当初は WEP のみのサポートであったが、2006年現在は WPA が追加サポートされている。

[編集] 脚注

  1. ^ アップル、802.11n対応の新しいAirMac Extremeを発表
  2. ^ Time Capsule and AirPort Base Station (802.11n) Firmware 7.3.1
  3. ^ Time Machine and AirPort Updates v1.0
  4. ^ Time Machine via AirPort Disk Is Unsupported, Apple Says
  5. ^ Mac OS X 10.5: Time Machine を使って AirMac ディスクにバックアップできない
  6. ^ アップル、802.11n対応の新しいAirMac Expressを発表

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ


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