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黒板勝美 - Wikipedia

黒板勝美

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

黒板 勝美(くろいた かつみ、明治7年(1874年9月3日-昭和21年(1946年12月21日)は、日本歴史学者東京帝国大学名誉教授文学博士。専門は、日本古代史、日本古文書学。号は虚心。

目次

[編集] 略伝・人物

明治7年9月3日、旧大村藩士族黒板要平の長男として、長崎県彼杵郡下波佐見村(現在の長崎県東彼杵郡波佐見町)に生まれる。長崎県立大村高等学校の前身である旧制大村中学校・熊本大学の前身である旧制第五高等学校を経た後、明治29年(1896年)に、帝国大学文科大学国史学科卒業し、帝国大学大学院に入学。同時に経済雑誌社に入り、田口卯吉の下で『国史大系』の校訂に従事した。

明治34年(1901年)、東京帝国大学史料編纂員となり、翌年、東京帝国大学文科大学講師を嘱託され、明治38年(1905年)、史料編纂官兼東京帝国大学助教授となった。同年、「日本古文書様式論」により東京帝国大学より文学博士の学位を授与された。

明治41年(1908年)から2年間、私費で学術研究のために欧米各国に出張し、大正8年(1919年)、史料編纂官兼東京帝国大学教授に就任した。翌大正9年、史料編纂官を退任し、東京帝国大学教授専任となる。

昭和10年(1935年)、東京帝国大学教授を退官。同大学名誉教授の称号を受く。翌昭和11年、史跡調査の途中、群馬県高崎市で倒れ、10年間の闘病生活の末、昭和21年12月21日、東京都渋谷区の自宅で死去した。享年73。

東京帝国大学で34年教鞭をふるい、多くの後進を育てるとともに古文書学の体系化にあたった。そのことは、正倉院文書の調査の開始や、東寺金剛峯寺等の古文書の整理や、史料編纂掛の『大日本古文書』の編纂を主宰したことにあらわれている。また、『国史大系』『続国史大系』『国史大系六国史』『国史大系類聚国史』に次いで、昭和4年(1929年)から『新訂増補国史大系』の編纂に着手し、日本史研究の基礎史料たる古典籍の普及に努めた。

ほかに、学者としての業績は多岐に亙り、古社寺保存会・史蹟名勝天然記念物調査会・国宝保存会・重要美術品等調査委員会・朝鮮総督府宝物古蹟名勝天然紀念物保存会・法隆寺国宝保存会等の委員を務め、文化財の保存に尽力した。また、昭和9年(1934年)、独力で日本古文化研究所を創設してその所長となり、藤原京跡の発掘調査を指導し、藤原京朝堂院の規模を明らかにした。昭和11年には、「国史館」と仮称される国立の歴史博物館と研究室を兼ねた機関の設立の構想が具体化されたが、黒板の病、そして死去によってこの構想は実現することはなかった。

皇室関係の業績を記すと、大正13年(1924年)に、臨時御歴代史実考査委員会の委員となって、長慶天皇の即位を明らかにし、同年、臨時東山御文庫取調掛の嘱託となり、御物の整理をした。また、社会的事業に目を向けると、聖徳太子奉賛会や吉野神宮奉賛会の設立、さらには、明治39年(1906年)に日本エスペラント協会を設立し、欧米留学中の明治41年(1908年)には、ドレスデンで開催された世界エスペラント大会に初めての日本代表として参加するなど、エスペラントの普及に力を注いだ。

黒板の性格について、門下の坂本太郎は、「一見豪放であるとともに一面細心であり、活動の場は体制側にあることが多かったが、性格としては在野的な傾向が強かった」(『国史大辞典』第4巻)とし、黒板の同僚であった辻善之助によると、「(黒板)博士の資質は「放膽にして濶達」、学風もまた同様で、その所説は国史の大局を捉えるものが多い。…(中略)…ところが多大の力を傾注した『国史大系』や『大日本古記録』の校訂事業では、博士は「極めて細心周密」であって、「時に稍神経質的」に見える位である」(辻善之助「思ひ出づるまゝ」)としている。

[編集] 巡る人々

[編集] 縁戚関係

[編集] 交友関係

[編集] 門下生

[編集] 主要著書

  • Esperanto-japana vortaro Tokio: Yuraksya 1906年
  • 『国史の研究』 文会堂 1908年
  • 『西遊二年欧米文明記』 文会堂書店 1911年
  • Plena Esperanto-japana vortaro Tokio: Japana Esperanta Societo 1914年
  • 『国体新論』 博文堂 1925年
  • 『更訂国史の研究』(全3巻) 岩波書店 1931年-1936年
  • 『義経伝』 創元社 1939年
  • 『虚心文集』(全8巻) 吉川弘文館 1939年-1940年
  • 『黒板勝美先生遺文』 黒板勝美先生生誕百年記念会 1974年


[編集] 参考文献

  • 『古文化の保存と研究』 吉川弘文館 1953年
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