電流
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電流(でんりゅう) は、荷電粒子(通常は電子であるが正孔・イオンの場合もある)の移動に伴う電荷の流れ、もしくはある面を単位時間に通過する電荷の量のことである。狭義には,電位差によって引き起こされる荷電粒子の流れのことを言う。電子の流れと逆向きが電流の向きと定義されている。電流の大きさの国際単位系での単位はアンペア(A )で、SI基本単位の一つである。量を表す記号は I または J が一般的である 。
時間的に変化しない電流を直流電流(直流)、向きが時間的に変化する電流を交流電流(交流)と呼ぶ。交流の電流値を表す方法としては、通常実効値が使われる。
多くの物質では、電流があまり急激に変化しない場合にオームの法則: 電圧=電流×電気抵抗が成り立つ。 純粋な抵抗負荷を使用し、電圧・電流を実効値で表した場合には、この式は交流でも成立する。
物質に電流が流れると、物質の電気抵抗によって熱(ジュール熱)が発生する。オームの法則が成り立つ場合、単位時間にジュール熱として消費されるエネルギーは電流の2乗と抵抗値に比例する。
遠方の発電所から電力を送電する場合には、電力がジュール熱として消費され、エネルギーのロスが生ずる。同じ電力の送電でも、電圧を上げると電流を減らすことができるので、送電時のエネルギーのロスを減らすことができる。遠距離の送電時には高い電圧を使い、各家庭・事業所の近くで使いやすいレベルまで変圧器で電圧を下げるといったことが容易にできるのが、商用の電力に交流が使われる理由である。