長谷部恭男
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長谷部 恭男(はせべ やすお、1956年10月22日 - )は、日本の法学者。専門は憲法。東京大学教授。旧司法試験第二次試験考査委員(2003年 ~ )。
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[編集] 人物
広島市中区堺町出身。政治思想、法哲学、経済学、社会学などを通じての幅広い学識を駆使して憲法学を全く新しい角度から構築しようとするその学風は、特に若手の憲法学者に大きな影響を与えている。『憲法と平和を問いなおす』のヒットをきっかけに一般にもその名が浸透した。民事訴訟法学者で学習院大学法学部教授の長谷部由起子は妻である。
長谷部の憲法学で特徴的なことのひとつとして、判例理論をあえて「読み替え」ることによる正当化が挙げられる。蟻川恒正の指摘に対して、「シヴィル・ソサイエティ」の維持が目的だと述べた。また、長谷部の議論は「狭義の説明(erklaren)であって、了解(verstehen)」ではなく、「外的説明に終始している」との石川健治の指摘に対しては、「外的と言われようと説得できると思ってい」る、と述べている[1]。
NHK不祥事に際し、副会長と共に「お詫び番組」に出演し、公共放送の重要性を強調したことでも知られる。
[編集] 学歴
[編集] 職歴
[編集] 社会的活動
- 旧司法試験第二次試験考査委員
- 国際憲法学会監査委員
- 法科大学院協会理事
- 朝日新聞社 報道と人権委員会委員
- 国地方係争処理委員会委員
- 取引価格情報の提供制度に関する検討委員会委員
- デジタル時代のNHK懇談会委員
- モバイルコンテンツビジネスの環境整備の方策に関する研究会座長
- インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会構成員
- 通信・放送の総合的な法体系に関する研究会構成員
- 迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会構成員
- 有線放送による放送の再送信に関する研究会構成員
- 公平負担のための受信料体系の現状と課題に関する研究会構成員
- 迷惑通信への対応の在り方に関する研究会構成員
- 郵便・信書便制度の見直しに関する調査研究会構成員
- デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会構成員
- ストリーミング技術等の新技術を用いたコンテンツ流通ビジネスに関する研究会構成員
- IT時代の接続ルールに関する研究会構成員
- 個人信用情報保護・利用の在り方に関する懇談会構成員
[編集] 著書
[編集] 単著
- 『権力への懐疑――憲法学のメタ理論』(日本評論社、1991年) ISBN 4-535-57956-3
- 『テレビの憲法理論――多メディア・多チャンネル時代の放送法制』(弘文堂、1992年) ISBN 4-335-35122-4
- 『憲法』(新世社、1996年/第2版、2001年/第3版、2004年) ISBN 4-915787-67-2 ISBN 4-88384-023-9 ISBN 4-88384-067-0
- 『憲法学のフロンティア』(岩波書店、1999年) ISBN 4-00-022706-8
- 『比較不能な価値の迷路――リベラル・デモクラシーの憲法理論』(東京大学出版会、2000年) ISBN 4-13-031166-2
- 『憲法と平和を問いなおす』(筑摩書房(ちくま新書)、2004年)
- 『憲法とは何か』(岩波書店(岩波新書)、2006年)
- 『Interactive憲法』(有斐閣、2006年)
- 『憲法の理性』(東京大学出版会、2006年)
[編集] 共著
[編集] 編著
- 『リーディングズ現代の憲法』(日本評論社、1995年)
- 『憲法本41――改憲・護憲をいうまえに学んでおくべきこと』(平凡社、2001年)
- 『岩波講座憲法(6)憲法と時間』(岩波書店, 2007年)
[編集] 共編著
- (舟田正之)『放送制度の現代的展開』(有斐閣、2001年)
- (宇賀克也)『法システム(3)情報法』(放送大学教育振興会、2002年)
- (中島徹・赤坂正浩・阪口正二郎・本秀紀)『ケースブック憲法』(弘文堂、2004年)
- (金泰昌)『公共哲学(12)法律から考える公共性』(東京大学出版会、2004年)
- (ダニエル・フット)『融ける境 超える法(4)メディアと制度』(東京大学出版会、2005年)
- (堀部政男)『メディア判例百選』(有斐閣、別冊ジュリスト、2005年) ISBN 4-641-11479-X
- (橘木俊詔・今田高俊・益永茂樹)『リスク学入門(全5巻)』(岩波書店, 2007年)
[編集] 共訳書
- J・ウォルドロン(愛敬浩二・谷口功一)『立法の復権――議会主義の政治哲学』(岩波書店、2003年) ISBN 4-00-025557-6
[編集] 脚注
- ^ 法律時報69巻6号56-58頁