鈴吹太郎
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鈴吹太郎(すずふき たろう、本名:中島純一郎)は主にテーブルトークRPGを手がける日本のゲームデザイナー、ライター。
鈴吹というペンネームは『RPGマガジン』誌に1991年から連載されていた本邦未訳RPG『ペンドラゴン(Pendragon)』のリプレイに登場していたサクソン人の女戦士ブロウベルを演じていたことにちなむ(ブロウ=blow=吹く、ベル=bell=鈴)。よく「すずぶき」と読まれることもあるが、「すずふき」が正しい読みである。
ゲームデザイナー業以外にも、テーブルトークRPGを主に製作する F.E.A.R.及びゲーム・フィールドを創設し、その社長も務めるが、社長としては鈴吹ではなく本名の中島純一郎を名乗っている。
また、ゲームクリエイター養成学校であるデジタルエンタテインメントアカデミーで講師を務めており、後進のゲームクリエイター育成にも関わっている。教え子には小浜智などがいる。
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[編集] 経歴
元々は医者を志しており慶應義塾大学医学部に入学。大学在学中に、ダンジョンズ&ドラゴンズの翻訳(新和版)などを通じて当時ブームになりつつあったテーブルトークRPGを知り、とあるゲームサークル(後の怪兵隊)の門戸を叩く(本人いわく「自分の年齢に近い他の同業者に比べるとゲームを始めたのはかなり遅咲き」ということ)。このサークルが相当にヘビーゲーマーの集まりだったらしく、短期間でテーブルトークRPGのノウハウを叩き込まれる。
その後、緑内障を併発し医者の道を断念。学習塾経営者兼講師を営みながらゲームライターの仕事をこなすという異色の経歴を歩む。
ゲーム業界での仕事が増え、『イースTRPG』などゲームデザインの仕事も手がけるようになっていくうちに、自分の会社を持ちたいと考えるようになる。そして1993年に経営していた学習塾を畳み、テーブルトークRPG製作会社である F.E.A.R.を設立。当時活躍していたフリーのTRPGライターの多くがここに所属することになった。
1997年にはテーブルトークRPGの販売会社であるゲーム・フィールドを設立。1990年代後半の「テーブルトークRPG冬の時代」を乗り越え、現在でも多数のテーブルトークRPGの出版を続けている。
2000年頃からはデジタルエンタテインメントアカデミーで教鞭をとっており、学習塾講師であった経歴が生かされている。
[編集] 作風
ゲームデザイナーとしての代表作はトーキョーN◎VA、ブレイド・オブ・アルカナなど。キャラクターの生き様(スタイル)の表現にこだわり、根強いファン層を持つ作品が多い。そのゲームデザイン思想についても、まとまった形の論考を示している。例えば、変形ダイスやチット、アーマークラスといった「直感的」に分かりやすいゲーム表現と、プレイヤーがある種の発見をし続けられる要素であるところの“気付き”の概念(「想到性」と鈴吹は表現する。具体的には「コンボ」要素など)の両輪の重要性を説いたり、プレイヤーに対してゲーム中与えたストレスを一定の段階で吐き出させることで快楽を与える(カタルシス)というストレス&カタルシスのゲーム構造の分析は巧みであり、F.E.A.R.のゲームにもその影響は色濃く反映されている。
[編集] リプレイキャラクター
- セブン=フォートレスリプレイ リーンの闇砦(ファラウス)
- ナイトウィザードリプレイ 紅き月の巫女(ナイトメア)
- ナイトウィザードリプレイ 幼年期の終わり~HUMAN SYSTEM~(サプリメント「ロンギヌス」収録:流鏑馬真魅)
- アルシャード ffリプレイ オーディンの槍(リナ・ザウルクス)
- アルシャードガイアリプレイ 明日(みらい)へのプロファイル(クアドラ)
- ダブルクロスリプレイオリジン 偽りの仮面(大宙ヒカル)
[編集] 参考文献
- ゲーマーズ・フィールド別冊02『鈴吹太郎の挑戦』 ゲーム・フィールド、2001年。