道仁会
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道仁会(どうじんかい)は、福岡県久留米市通東町に本拠を置く日本の指定暴力団。活動地域は主に九州北部。構成員は2007年9月現在で約780人(準構成員を含めると時期不明で1500人)に達し、福岡、佐賀、熊本、長崎、山口 の5県に勢力を有している。
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[編集] 歴史
初代会長の古賀磯次が一代で築き上げた戦闘意欲が高い組織で、極めて反権力、反警察の色彩が強い。1965年に前身である古賀一家(こがいっか)を源流としており、1971年に「道仁会」と名を変えた。1981年には大牟田の馬場一家と「第1次馬場一家抗争」、1982年には久留米市内の向山一家と10回近い発砲事件を起こし、1983年には「第2次馬場一家抗争」と呼ばれる20数回にわたる銃撃戦を繰り返し各地域の団体を傘下に収めてきた。
道仁会の名が全国に轟いたのは1986年7月から翌87年2月まで繰り広げられた「山道抗争」である。組員の移籍問題のこじれから発生したこの抗争では山口組系稲葉一家 との対立から後に山口組直系の伊豆組が参戦し、全面戦争となり、77件の事件で死者9人を出した。
1992年1月に幹事長・松尾誠次郎が2代目を継承し、更に組織力を強化、磐石の体制を構えた。1992年12月14日、福岡県公安委員会から指定暴力団に指定された。傘下組織は5県にまたがり、準構成員も含めると1000人を超える九州最大の指定暴力団になった。
2006年5月に松尾誠次郎が突如引退を発表。後継会長の人事を巡り、最大傘下組織の三代目村上一家(本部・福岡県大牟田市、約200人)、永石組、鶴丸組、高柳組が反発し、2006年5月21日には抗争に発展した。本部事務所(久留米市通東町)が旧ソ連の自動小銃(AK47の改造銃)で銃撃され、市内の系列事務所付近では手投げ弾が爆発、暴力団と関係ない商店が破壊された。 その後、2006年6月11日に村上一家、永石組、鶴丸組、高柳組は道仁会を離脱し、2006年7月19日に脱退したそれらの組で、福岡県大牟田市において九州誠道会を発足させた。
[編集] 九州誠道会・道仁会の抗争関連事件
2007年6月13日午後5時ごろ、佐賀郡久保田町久富の福所江川の船着き場で、鶴丸善治・九州誠道会鶴丸組組長が左胸など数カ所を刺された死体で発見された。
同年6月19日午前、九州誠道会系忠真会の入江秀則会長代行が、熊本市の自宅で銃撃され死亡。11月12日に道仁会系組幹部ら10名が逮捕。
同年7月、福岡県警は久留米市のマンション一室から拳銃4丁と実弾33発、道仁会系組事務所25か所に印を付けた地図を押収。同マンションには山口組系組員らが出入りしており、九州での勢力拡大を狙った山口組系暴力団が誠道会側に加担しているとの情報もある。
同年7月16日午前3時ごろ、九州誠道会系田口組事務所が襲撃を受け、爆発物が投げ込まれる
同年8月18日 松尾誠次郎の後を請け道仁会3代目会長に就任していた大中(松尾)義久が、福岡市中央区黒門の路上にて銃撃を受け死亡。2007年9月14日、服役中の小林哲治理事長が四代目会長を襲名。
翌8月19日、熊本市南千反畑町の駐車場で誠道会系忠真会の中村文治会長が銃撃され重傷。のち道仁会系組幹部2名が逮捕されている。
同年11月8日午前7時40分頃、佐賀県武雄市朝日町甘久の篠田整形外科で入院していた板金業の男性(34)が拳銃で男に撃たれ、まもなく死亡した。同月25日、県警がこの事件の殺人容疑で逮捕状を取っていた道仁会系組員が福岡県大野城市内で同県警の職務質問を受け、抵抗して回転式拳銃を1発発射し、銃刀法違反の現行犯で逮捕された。この組員は佐賀地裁での初公判(2008年3月17日)で人違い殺人だったことを認める証言をしている。
同年11月12日午前11時ごろ、福岡県大牟田市歴木の兼行病院玄関前で発砲があり、同病院に通院していた九州誠道会村上一家古賀組の古賀茂喜組長(52)が胸などを撃たれ死亡した。現場から黒いジャンパーにサングラスをかけた男が逃走しており、福岡県警は殺人事件として捜査中である。
同年11月27日、福岡県久留米市の駐車場で道仁会系大平組組長・松尾義和が、黒服の男に至近距離から頭や首を4、5発撃たれ、脳挫傷で即死した。約200メートル離れた国道322号交差点付近の路上で、運転手役の配下の組員も左胸を刺され死亡しているのが見つかった。犯人を追いかけて刺されたと見られる。
2008年3月、九州誠道会は、会長の引退と道仁会との抗争の終結を宣言(同年2月5日付)。宣言書を福岡、熊本両県警に送付し、武雄事件の遺族にも通知した。道仁会側も福岡県警に「もう攻撃はしない」と伝えているとの報道もあり、抗争は実質的に終息したとの見方がされている。
[編集] 歴代会長
- 初代:古賀磯次(元・古賀一家初代総長)
- 二代目:松尾誠次郎(元・松尾組組長)
- 三代目:大中義久(松尾義久、元・二代目松尾組組長)
- 四代目:小林哲治(三代目道仁会理事長・小林組組長)(服役中)
[編集] 最高幹部
- 会長 - 小林哲治
- 理事長 - 空席
- 本部長 - 森憲一郎(森組組長)
- 副会長 - 堤 修平(三代目松尾組組長)
- 組織委員長 - 平山貞男
- 副理事長 - 志岐公司
- 副理事長 - 福田憲一
※2007年9月14日現在