親告罪
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親告罪(しんこくざい)とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪をいう。告訴を欠く公訴は、訴訟条件を欠くものとして判決で公訴棄却とされる。
親告罪のうち、犯人と被害者の間に一定の関係がある場合にかぎり親告罪となるものを相対的親告罪、それ以外の親告罪を絶対的親告罪という。前者の例としては親族間の窃盗(刑法244条・親族相盗例)がある。
なお、公正取引委員会の告発(独禁法第96条1項)や、外国政府の請求(刑法第92条2項)がないと公訴を提起できない罪も親告罪と呼ぶことがある。
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[編集] 親告罪の例
親告罪の例としては、次のようなものがある。
- 事実が公になると被害者に不利益が生じるおそれのある犯罪
- 被害が比較的軽微な犯罪
- 親族間の問題のため介入に抑制的であるべき犯罪
- そのほか行政目的など
[編集] 告訴権者
告訴権者は、原則として被害者(刑事訴訟法230条)。そのほかに、
- 被害者の法定代理人(同法231条1項)
- 被害者が死亡したときは、被害者の明示した意志に反しない限り、被害者の配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹(同法231条2項)
- 被害者の法定代理人が被疑者・被疑者の配偶者・被疑者の4親等内の血族若しくは3親等内の姻族であるときは、被害者の親族(同法232条)
- 死者に対する名誉毀損罪(刑法230条2項)については、死者の親族又は子孫(刑事訴訟法233条1項)
- 名誉毀損罪について被害者が告訴せず死亡した場合は、被害者の明示した意志に反しない限り、その親族又は子孫(同法233条2項)
- 親告罪において告訴権者がいない場合は、検察官が利害関係者からの申し立てにより告訴権者を指名する(同法234条)
[編集] 告訴期間
親告罪は、原則として犯人を知った日から6か月経過後は告訴することができない(刑事訴訟法235条1項柱書本文)。
ただし、強制わいせつ罪・強姦罪・わいせつ・結婚目的略取・誘拐罪等につき行う告訴については、被害者が精神的ショック等から告訴するまでに時間がかかることを考慮して、告訴期間の制限は2000年の刑事訴訟法改正でなくなった(同項柱書但書、1号)。
[編集] 告訴不可分の原則
共犯の一人ないし数人に対して告訴した場合は、他の告訴されていない共犯者に対しても告訴の効力が及ぶ(刑事訴訟法238条1項)。