被子植物
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?被子植物門 Angiospermae(新エングラー) Magnoliophyta(クロンキスト) Angiosperm(APG体系) |
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モクレン類 |
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被子植物(ひししょくぶつ、Angiospermae、Magnoliophyta、Angiosperm)とは、植物の分類の主要な1グループ名[1]。種子植物(顕花植物)のうち、一般に花と呼ばれる生殖器官の特殊化が進んで、胚珠が心皮にくるまれて子房の中に収まったものをいう。裸子植物と対をなす分類群である。「被子植物門」、「被子植物類」。
目次 |
[編集] 概要
種子植物のうち、一般に花と呼ばれる生殖器官の特殊化が進んで、胚珠が心皮にくるまれて子房の中に収まったものをいう。そのため被子植物と呼ばれる。心皮が発育して果実となる。
もう一つの分類群は裸子植物と言われ、これは胚珠が子房にくるまれておらずむき出しになっており、果実も作らない。被子植物は、裸子植物的祖先から、胚珠を保護するために大胞子葉がそれを包み込み、雌しべとなって密閉したものと見られる。これによって花粉が直接胚珠に触れることが不可能となり、花粉は雌しべの柱頭に着き、ここから胚珠まで花粉管をのばす形になった。
[編集] 分類
植物分類学に関する知識が変わると共に、植物の分類法も修正を重ねてきた。形態などの表現型を基にした従来の分類法には大きく分けて数種類が用いられており、コンセンサスがあるわけではないが、代表的なものに新エングラー体系やクロンキスト体系がある。
1980年代以前の標準的な分類法は、新エングラー体系であった。この分類体系は直感的で分かりやすいため、市販の図鑑等に現在でも広く使われている。
1980年代になると、クロンキスト体系(1981年、Arthur Cronquist)が登場し、学術分野におけるデファクトスタンダードの地位を占めるようになった。[2]
以上は表現型を基にした分類法であるが、1990年代以降は、進化系統をより直接的に反映すると期待されるゲノム解析による分類の研究が盛んとなり、その中で有力なAPG植物分類体系が将来のスタンダードになるべく整備されつつある。これは従来の分類法と異なる点も多く(従来の科が解体または統合された例も多い)、詳細についてはまだ完全に確立されたものではないが、すでに広く採用されつつある。
[編集] 下位分類
被子植物は大きく双子葉植物(綱)(モクレン綱)と単子葉植物綱(綱)(ユリ綱)の二つに分類される(新エングラー体系での分類。()内はクロンキスト体系)。
これは種子から芽が出てはじめに出てくる葉(子葉)の数からつけられた名称だが、それ以外にも大きく異なる点が存在している。1990年代以降、ゲノム解析の発展と共に登場したAPG植物分類体系の考えによれば、被子植物の進化の初期に、原始的双子葉植物群が分岐し、次いで単子葉植物が分岐した。残りが単系統群の真性双子葉植物(Eudicots)を形成している。したがって、単子葉植物はまとまった一群と見なせるが、双子葉植物はまとまった一群ではないと思われる。
[編集] 代表的な科
代表的な被子植物を種が多い順に挙げると以下のようになる。
- キク科 25,000種(キク目 キクの仲間)
- ラン科 18,000種(ラン目 蘭の仲間)
- マメ科 17,000種(マメ目 エンドウマメの仲間)
- イネ科 9,000種(カヤツリグサ目 イネ、竹、芝の仲間)
- アカネ科 7,000種(アカネ目 コーヒーの仲間)
- トウダイグサ科 5,000種(トウダイグサ目 トウダイグサの仲間)
- カヤツリグサ科 4,000種(カヤツリグサ目 スゲの仲間)
[編集] 重複受精
重複受精(じゅうふくじゅせい、ちょうふくじゅせい、double fertilization)とは、被子植物の特徴的な受精形式で、受粉の際に、花粉から生じた2個の精核(精細胞)がそれぞれ卵細胞と極核(中心細胞)と受精する現象のことをさす。精核と卵細胞の受精を生殖受精、精核と極核の受精を栄養受精と呼ぶ。受精後、卵細胞は種子の胚に、極核は胚乳に成長する。
[編集] 進化
一般的には最初の被子植物は、1億4000万年前(ジュラ紀)に裸子植物から分化したとされているが、もっと昔の三畳紀に分化したとする説もある。(サンミゲリアは外見が被子植物に似ているが、真の被子植物かどうか定かでない。またシダ種子植物のカイトニアは心皮が胚珠を包む傾向があり、これらが被子植物の起源ともいわれる。)現在確認されている最も古い被子植物の化石は、ジュラ紀から白亜紀に入る頃のアルカエフルクトゥスとされており、これは水中生活に適応して特殊化したともいわれるが、まだ花がコンパクトにまとまらず1つの枝のように見える。被子植物は、白亜紀以降、繁栄の時代を迎えた。
被子植物の系統樹における、(各枝に現存種が残っているような)最初の分岐は、主系列からのアンボレラ科の分岐である。続いて、スイレン科、シキミ科、マツブサ科などが分岐した。その後、単溝花粉型植物群であるところの主系列から、三溝花粉型植物群が派生する。この三溝花粉型は、近年の分類学上で、真正双子葉類と呼ばれる一大分類群である。この後、主系列は、単子葉植物群を派生させる。残った主系列は、モクレンに近縁な種で古い形質を残した種とされる。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 八杉竜一ら編 『岩波生物学辞典 第4版』、岩波書店、1996年。