老化
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老化(ろうか)とは、生物学的には時間の経過とともに生物の個体に起こる変化。その中でも特に生物が死に至るまでの間に起こる機能低下やその過程を指す。
澱粉の老化は澱粉を参照のこと。
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[編集] 呼称
老化は、死を想起させたり、成熟との区別が恣意的であることから、加齢(かれい)、エイジング (aging) と言い換えられる場合もある。
学術分野では発生、成熟、老化などを含めた生物の時間変化すべてを含む言葉として「老化」を用いる。
[編集] 変化
老化では加齢とともに様々な機能低下が見られる。老年疾患・老人病には、骨粗鬆症、痴呆、動脈硬化性疾患などがある。
[編集] 原因
老化の原因は不明であるが、複数の要因が考えられている。老廃物(リポフスチン等)が細胞に蓄積されて機能低下を起こす説、様々エラーが蓄積する説、遺伝子に老化がプログラムされているという説などがある。
[編集] 病気
老が急速に進行する病気(早老症)としてウェルナー症候群、プロジェリア症候群が知られている。
[編集] 研究
老化については、生物学・医学と社会科学で多角的に研究されている。
培養細胞を用いた研究から細胞レベルでの老化(細胞老化)が知られている。生体組織から取り出した細胞を in vitro で培養すると、細胞分裂の回数に制限あり、その一つの原因は染色体末端のテロメア構造が短くなったためであるとされる。がん細胞や幹細胞ではテロメアを伸長する酵素テロメラーゼの働きにより、細胞分裂の回数の制限がなくなると考えられている。不老化したわけではない。
[編集] 植物の老化
植物の場合、新しい葉に比べて、古い葉は光合成の能力が劣るなど、同一個体の中でも場所により老化の程度に差が見られる。 特殊な例として樹木があげられる。挿し木に利用する枝の採取位置により発根やその後の成長に違いがでる。根元から遠い位置の枝よりも、根元付近から発生した蘖(ひこばえ)や胴吹き(どうぶき)を利用すると成長が優れることが多い。その原因として、根元から発生した枝に比べて、遠い位置の枝は細胞分裂を繰り返した結果、より老化が進んでいる等の説がある。また、植物は窒素肥料を多く与えることで成熟・老化が遅れる、或いは若返りという現象が確認されている。植物の老化ホルモンとしてエチレンが知られている。エチレンを与える事で果物の成熟を促進したり、反対にエチレンの働きを抑えることで切花などの寿命を伸ばすことが出来る。
[編集] 関連項目
[編集] リンク
See also the art-project: "Dialogue with the High Age" --- of Willy Puchner ヴィリー・プフナー