沖正弘
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沖 正弘(おき まさひろ 1921年-1985年)は、思想家、ヨガ健康法指導家。戦後日本におけるヨガの草分け的指導者で、その普及に努め、ヨガブームを作った立役者。
[編集] 来歴
1921年、広島県生まれ。大阪外国語大学卒業。第二次世界大戦中、参謀本部の特別諜報員としての必要上、東西医療法と各種教宗派の修行法の特別訓練を受け、モンゴル、中国、インド、アラビア各地に赴いた。戦後も探究心から中国や東南アジアに渡って医学と宗教を学ぶ。1951年、ユネスコ平和建設国際奉仕団日本代表としてインド、次いでパキスタンに赴き、医療面、福祉事業面で活動。この時、釈迦、ガンディーを悟りに導いた教えがヨガであることを知り、ヨガ哲学へ熱烈な探究心を向けた。また腸癌の診断を受けるに及び、心身改造の目的でその行法にも専心するに至る。
その後の生涯を修行に費やし宗教面ではラマ教・道教・イスラム教・ユダヤ教寺院での修行を体験、また医療面では、現代医学、漢方医学、インド・アラビアの古代医療法も学修し、自由な思想で結合させたヨガを確立した。
1958年、日本ヨガ協会、及びヨガ行法哲学研修会を設立。当時ヨガは一般的にはまだ認知は0、の時代であったが、多数の著作の刊行や全国各地で講演しヨガの普及に努め、第一人者として知られた。1960年以降は招かれてヨーロッパ各地に東洋哲学と医学の講演を行い、1962年にはアメリカで禅と仏教について長期講演を行い、後のこれらの地域やアフリカ各地に研修所を設置した。
誤解を生み出している他のヨガとの区別を念願した沖は、自分の研修したヨガを求道ヨガ(別名:沖ヨガ)と命名し、1967年、その修道場を静岡県三島市に設置した。また各地に修道場・連絡所を設けヨガの普及にあたった。
沖ヨガの特質は、ヨガを現代的かつ総合的に解釈し、ヨガ・禅・陰陽哲学・東西医療法と修行法を総合した立場から、生活のすべてを修養法・修行法・治病法とするユニークなシステムである。その中心となっているものが修正行法と瞑想行法で、その理論と実証によって、インドとスイスにより医学と哲学の学位をうけた。修道場には、常時、世界各国からの人々が入門、研修し多くの弟子を持った。1985年7月イタリアで没した。
近年のヨーガブームで名著とされる沖の多くの著作が復刻されている。
[編集] 主な著書
- 人間を改造するヨガ・行法と哲学(霞ケ関書房)1960年
- ヨガによる健康の秘訣(白揚社)1964年
- ヨガによる病気の治し方(白揚社)1965年
- ヨガ叢書(霞ヶ関書房)1970年
- ヨガ入門(光文社)1971年
- 眼がよくなる本(潮文社)1975
- ヨガ総合健康法(竹井出版)1976年
- 3分間で眼がよくなる体操(潮文社リヴ)1977年
- なぜヨガで病気が治るのか(地産出版)1977年
- ヨガによる生きる喜びの発見(白揚社)1978年
- 呼吸体操によるヨガ修正行法(日貿出版社)1978年
- 冥想ヨガ入門(日貿出版社)1979年
- 夫婦のヨガ安産(潮文社リヴ)1980年
- ハタヨガの真髄 B.K.S.アイアンガー著 沖正弘他訳(白揚社)1980年
- 生命力強化法(日貿出版社)1981年
- ヨガの喜び (光文社文庫―美と健康シリーズ) (文庫) 1989年