殺菌剤 (農薬その他)
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[編集] 農薬
農薬における殺菌剤とは、植物に対する病原性を有する微生物を殺す、または増殖を抑止するための薬剤をいう。
植物病原菌には細菌よりも真菌(カビ類)が多いので、英語ではFungicide(殺真菌剤、防かび剤)と総称することが多い。
[編集] 歴史
農薬としての殺菌剤の歴史は19世紀後半に始まる。フランスのボルドー地方でボルドー液(硫酸銅、生石灰を水と混合して作る)がブドウのべと病などに効くことが偶然発見された(もとはブドウの盗難防止用だったという)。同じころ石灰硫黄合剤も多くの病害に効くことがわかった。これらは現在でも使われている。
日本では古来特に重大な病害としてイネのいもち病があり、これを防除する方法が1930年代頃から行われ、種籾をホルマリンで消毒する方法などが用いられるようになった。第二次大戦後は有機水銀剤がよく使われたが、1960年代に水俣病の原因が有機水銀(別種)であることなどから危険性が指摘され使用禁止となった。いもち病にはそれに代わりブラストサイジンやカスガマイシンなどの抗生物質が発見・開発され用いられるようになった。
また1950年代にはジチオカーバメート系、1960年代にはアゾール系やベンズイミダゾール系など多くの病害に有効な薬剤が開発された。最近でもQoI剤など新しいものが開発されている。
[編集] 種類
例として以下のようなものがある。
- ボルドー液
- 石灰硫黄合剤
- ジチオカーバメート系 - ジラム、チウラムなど。
- 微小管阻害剤 - ベンズイミダゾール系など。
- 呼吸阻害剤 - ミトコンドリアの電子伝達系(呼吸鎖複合体のIやIII(ストロビルリン系などのQoI剤))を阻害したり、あるいはプロトン濃度勾配を失わせて呼吸を阻害するもの。
- エルゴステロール生合成阻害剤 - アゾール系(シトクロムP450阻害剤)など。
- 抗生物質 - カスガマイシン、ポリオキシンなど。
- 生物農薬 - Bacillus subtilis芽胞、非病原性Erwinia carotovoraなど。
なお、収穫後の果実等に用いる(いわゆる「ポストハーベスト農薬」)防かび剤もあるが、これらは日本では農薬でなく食品添加物として扱われる。
[編集] 工業用
設備・機器の殺菌、木材など工業製品の防腐に用いる薬剤を殺菌剤という。藻類の発生を防ぐ殺藻剤(防藻剤)などを含めることもある。塩素系殺菌剤(次亜塩素酸ナトリウム、塩化イソシアヌル酸)や木材用防かび剤 (防黴剤=ぼうばいざい、イミダゾール系など)が用いられる。