楠原佑介
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楠原佑介(くすはら ゆうすけ、1941年 - )は地名研究家、フリーライター。「地名情報資料室・地名110番」主宰。岡山県児島郡小串村(現:岡山市)生まれ。京都大学文学部史学科(地理学)卒業。出版社編集部退職後、フリーライターに転じた。住居表示・市町村合併などによる地名の変更に警鐘を鳴らす活動をしている。
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[編集] 地名に対する考え方
楠原は『こんな市名はもういらない! 歴史的・伝統的地名保存マニュアル』にて歴史的伝統的地名の保存・復活を絶対的に重視し、新たに創作された地名(ひらがな・カタカナ地名、広域地名、方角地名、瑞祥地名、合成地名など)を「歴史的伝統的地名の破壊」であるとして手厳しく批判している。その中で、広域地名については「小なるものが大なるものの名称を名乗る」という意味で「僭称」という言葉を用いて批判している。
楠原は歴史的伝統的地名を支持する根拠のひとつに地方自治法第3条(地方公共団体の名称は、従来の名称による。)を挙げ、合併などでできた新市町村名に、従来の地名ではなく新たに創作された地名を選定するのはこれに違反すると考えている。
楠原が新市町村名としてふさわしいと考える地名は、古代・中世の郷の名称、中世の荘・保の名称などの歴史的な地名であり、すでに滅びて古文書の中にしか残っていないような地名であっても、復活して新市町村名に用いるべきであると考えている。
なお、「地名を守る会」「全国地名保存連盟」などの結成や初期の活動は、実質的には楠原が主導したもので、日本の地名保存運動の理論的な中心人物といえる。
[編集] 著書
- 地名伝説の謎(本間信治との共著、新人物往来社、1976年、品切れ、ISBN なし)
- 「地名学」が解いた邪馬台国(徳間書店、2002年2月、品切れ、ISBN 4198614806)
- こんな市名はもういらない! 歴史的・伝統的地名保存マニュアル(東京堂出版、2003年4月、ISBN 4490204973)
- この駅名に問題あり(草思社、2005年5月、ISBN 4794214014)
- こだわり地名クイズ(徳間文庫、2006年4月、ISBN 4198924082)
[編集] 編著書
- 古代地名語源辞典(櫻井澄夫、柴田利雄、溝手理太郎との共著、東京堂出版、1981年9月、ISBN 4490101481)
- 地名用語語源辞典(溝手理太郎との共著、東京堂出版、1983年9月、ISBN 4490101767)
- 難読・異読地名辞典(東京堂出版、1999年3月、ISBN 4490104979)
- 市町村名変遷辞典(東京堂出版、1999年9月、ISBN 4490105320)
- 消えた市町村名辞典(東京堂出版、2000年9月、ISBN 4490105606)
- 地名関係文献解題事典(鏡味明克、櫻井澄夫との共編、同朋社 ISBN 4810402118)