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桜井淳 - Wikipedia

桜井淳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

桜井 淳(さくらい きよし、1946年9月14日 - )は群馬県太田市出身の物理学者・技術評論家である。

主に原子力発電所の事故・故障分析を行っており、他に鉄道航空機事故などにも言及し、市民科学を提唱している。

ここ十数年間は社会科学哲学の研究にシフトしている。

原子力政策に対する基本姿勢としては、原研に所属していたことからも分かるように、本来的には原発を推進する側に軸足を置いており、その安全性をチェックするという立場からの評論を行ってきている。従って、反原発側とは明らかに一線を画している。

目次

[編集] 経歴

茨城大学を卒業後、1976年に東京理科大学理学研究科物理学専攻課程を修了し日本原子力研究所(原研)に勤務。1983年10月に理学博士号(東京理科大学)を取得した。また原子力安全解析所に4年弱、日本原子力産業会議(嘱託)に1年間務めている。2006年に社会科学学位論文作成のために在学した東京大学大学院総合文化研究科研究生を修了。 原研在職中より、技術評論家として数多くのテレビ出演や、雑誌・新聞記事での評論活動を幅広く行っており、原子力発電所新幹線の安全性を問う著作などを数多く執筆する。2005年4月に発生したJR福知山線脱線事故の際には数多くのマスコミ(テレビ、新聞)に出演し、評論を行った。

[編集] 著書と連載

[編集] 著書

  • 『これからの原発をどうするか』 電力新報社、1989年
  • 『原発事故学』 東洋経済新報社、1990年
  • 『原発の「老朽化対策」は十分か』 日刊工業新聞社、1990年
  • 『美浜原発事故-提起された問題-』 日刊工業新聞社、1991年
  • 『崩壊する巨大システム』 時事通信社、1992年
  • 『原発事故の科学』 日本評論社、1992年
  • 『新幹線「安全神話」が壊れる日』 講談社、1993年
  • 『新幹線が危ない!』 健友館、1994年
  • 『原発システム安全論』 日刊工業新聞社、1994年
  • 『旧ソ連型原発の危機が迫っている』 講談社、1994年
  • 『原発のどこが危険か』 朝日選書、1995年
  • 『ロシアの核が危ない!』 TBSブリタニカ、1995年
  • 『事故は語る-人為ミス論-』 日経BP社、2000年
  • 『プルサーマルの科学』 朝日選書、2001年
  • 『桜井淳著作集』(全6冊、各500頁) 論創社、2004年~2005年

[編集] 連載

  • 電子週刊誌『東京万華鏡』連載欄『市民的危機管理入門』、インサイダー社、1996年2005年

[編集] 批判

JR福知山線脱線事故の際、テレビ出演やインターネットで早い段階から数多くの情報発信を行ったが、それらの中に以下のような根本的な勘違いや間違いを含んでいたことが指摘され、インターネット上では別の意味でも桜井の名が広く知れ渡ることとなった。その後も、桜井の公式サイトにおける記述に数多くの間違いがあることが指摘されている。

  • 福知山線脱線事故の際には
    • 「非常ブレーキをかける」と言うべきところを「緊急ブレーキを踏む」と繰り返し発言した(事故を起こした列車のブレーキとアクセルに相当するブレーキハンドルとマスコンは、手で操作を行なう)。
    • 全く情報のない時点で事故の主因を「急ブレーキによる競り上がり脱線」と断定した(実際は曲線にノーブレーキで突っ込んだことによる速度超過が主因による車両横転と報告されている)。
    • 対策としての脱線防止ガードを線路の外側と図で示した(実際は線路の内側に設置されている)。
    • ブレーキの操作は「押して、ノッチ毎に右にシフト」と図で示した(実際は前後操作のみ)。
    • 事故車両が鉄製車両に比べ強度の劣るステンレス製でなければ、車両がマンションにめりこむようなことはなかったのではないか。と発言(強度・剛性については、ステンレス車は鋼製車両とほぼ同等である)。
  • JR羽越本線脱線事故の際には1960年代に設計された485系をさも最新の車輌であるかのように発言し、軽量化が問題とした(実際には、事故に遭った車輌は1974年に北海道向けに製造された485系1500番台1996年から2001年の間に大幅なリニューアル改造を行ったもの。鋼鉄製であるため最近の車両より重い)。
  • 「新幹線は運転士なしで自動運転できる」と発言した(実際には、新幹線に装備されているのはATC(自動列車制御装置)で、これは一定ブレーキ制御のみが可能なものであり、列車の加速、速度維持、駅定位置停止に関わる操作は全て運転士が行わなければならない)。
  • 「JR(の列車内トイレ)は糞尿を垂れ流している」と発言した(垂れ流しのトイレは2001年4月に全廃され、その発言を行った2005年現在の列車内トイレはすべて垂れ流さない構造である)。

また、過去に存在した桜井氏のブログは、読者が上記のような誤りをコメントにて指摘するも、コメント内容を引用して記事内容を修正した後にコメントを削除し、コメントにて誤りが指摘された点を隠蔽するなど、公平でアカデミックな評論とは言い難い内容となっていた。

記事内容も、技術評論よりも、コメントを書き込んだ読者などに対する「バカ」「三流」などの表現を含んだ攻撃的なエントリが多くを占めた。

更に、「専門家とは博士論文を書いた人である」「専門家以外は口出しするな」と言いながら、自身が専門外(=博士論文を執筆していない)である鉄道や航空関係での評論を行うなど、自身の評論と態度の食い違いが目立った。また専門であるはずの原子力関連に関しても基礎的な部分での誤りを原子力関連の研究者に指摘されるなど、評論家としての資質、知識を疑問視する声も少なくない。

[編集] 外部リンク


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