朝鮮民主主義人民共和国国防委員会
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朝鮮民主主義人民共和国国防委員会(ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこくこくぼういいんかい)は、朝鮮民主主義人民共和国における国家主権の最高軍事指導機関かつ国防管理機関。1972年12月27日採択の社会主義憲法により設置。当初、中央人民委員会傘下機関だったが、1990年5月、最高人民会議決定を通して中央人民委員会から分離した独立機関となった。1992年4月、国家主席と国防委員長の兼職規定が削除され、1993年4月9日、金正日が国防委員長に就任した。
国防委員会は、人民武力部(国防省)を中心とする国防・軍事系中央機関の設置・廃止、重要軍事幹部の任免、戦時状態の布告などを行う。委員長は「国家の最高職責」とされ、一切の武力を指揮・統率し、国防事業全般を指導すると憲法でうたわれているが、実質的には「全ての権力を無制限に握る」といえるだろう。
中央人民委員会(社会主義国家のそれぞれによって名称は異なる)傘下の国防委員会が、軍を一元的に掌握・指揮するのはソ連をはじめとするほとんどの社会主義国と一致していた。1990年に独立機関となったときから北朝鮮独自の仕組みに転じたと言える。軍の指令系統に関してソ連と違ったシステムを採用している国家としては中国、ユーゴスラビアなど挙げられる。
委員長をはじめとするメンバーは最高人民会議で選出され、任期は5年。再選制限は無い。
金正日は、日本メディアでは朝鮮労働党の役職である「総書記」という肩書きを冠して呼ばれることが多いが、これは国家機関の役職名ではない。政府において金正日が就いている役職は国防委員長であるため対外的にはこれを名乗っている。日朝平壌宣言や南北共同宣言のような外交文書にも国防委員長の名で署名している。