映画祭
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映画祭(えいがさい)とは、特定の場所で期間限定で開催される映画関連のイベント。通常、年に一度など定期的な開催サイクルを持ち、名称は(ベルリン国際映画祭などのように)開催地の地名を冠したものである事が多い。当然のことながら、映画の上演が主となるが、加えてエントリー作品の審査及び賞の授与や、映画に関するイベント(講演会、研修会、見学会、レセプション、等)を含むこともある。
最も有名なのは国際映画祭であるが、ファンタスティック映画祭、ドキュメンタリー映画祭、女性映画祭などテーマ別の映画祭も多数ある。複合的に国際アニメーション映画祭といった名称・分類もあり、東京国際映画祭の協賛企画として東京国際女性映画祭が開かれる場合などもある。作品上映の前後に、監督や出演者の舞台挨拶、ティーチイン(観覧者との質疑応答)などが行われる事も多い。
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[編集] 映画祭開催の目的
映画祭を開催する目的は、開催規模や主催者の意図により、いくつかに分類される。なお、敢えて言うまでもなく、複数の目的をもつ映画祭も少なくない。
- 後述の「世界三大映画祭」等の著名な映画祭においては、映画の振興と発展のため、同時代におけるすぐれた作品を顕彰し、広報することが目的となる。その結果として再評価された作家や作品も多い。興行面での宣伝効果もあり、開催都市のイメージアップも兼ねている。但し、放送コンテンツとしての観点から、転売や二次利用目的で買い付けに廻るディーラーたちの連絡所としての暗い一面もある。正規の配給ルートよりも彼らブローカーを好む映画会社もあるとされる。
- 「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」等、開催地のイメージアップや観光振興、町おこしを主目的とするものもある。
- 「雲州ふらた映画祭」等、映画館のない町において、スクリーンで映画を観る機会を持つことを目的に開催されるものもある。
- 「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」等、特定の社会的運動の推進や広報を図るためのイベントとして開催されるものもある。
- 「岡山映画祭」等、自主制作映画の一般公開の場を提供することを目的とするものもある。
[編集] 世界三大映画祭
[編集] 世界三大映画祭
国際的には、映画祭の規模、マーケットとしての重要度から、国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の国際映画祭で最も大規模な以下の3つを指すことが多い。
ただし、日本においては、FIAPF公認の長編映画祭のうち、歴史の長い以下の3つを指すことが多い。
- カンヌ国際映画祭
- ヴェネツィア国際映画祭
- ベルリン国際映画祭
さらに、ロカルノ国際映画祭(ベルリン国際映画祭より長い歴史を持つ)を加えて「世界四大映画祭」と言うこともある。
[編集] 世界三大ファンタスティック映画祭
SF映画、ホラー映画、スリラー映画、サスペンス映画などファンタジー系のジャンルに焦点を当てた専門の映画祭については、以下の3つが三大映画祭とされる。
- シッチェス・カタロニア国際映画祭(FIAPF公認)
- ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭(FIAPF公認)
- ポルト国際映画祭
[編集] 国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の映画祭
[編集] コンペティティブ長編映画祭(総合)
国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の長編映画祭(Competitive Feature Film Festivals)で、長編・短編作品ともに扱う国際映画祭。
- ベルリン国際映画祭--ドイツ
- カンヌ国際映画祭--フランス
- カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭--チェコ
- ロカルノ国際映画祭--スイス
- モントリオール世界映画祭--カナダ
- ヴェネツィア国際映画祭--イタリア
[編集] コンペティティブ長編映画祭(長編作品のみ)
FIAPF公認の長編映画祭(Competitive Feature Film Festivals)で長編作品しか扱わない映画祭。
- マル・デル・プラタ国際映画祭--アルゼンチン
- 上海国際映画祭--中国
- モスクワ国際映画祭--ロシア
- ドノスティア=サン・セバスティアン国際映画祭--スペイン
- 東京国際映画祭--日本
- カイロ国際映画祭--エジプト
[編集] コンペティティブ・スペシャライズド長編映画祭(総合)
FIAPF公認のスペシャライズド長編映画祭(Competitive Specialised Feature Film Festivals)で、長編・短編作品ともに扱う国際映画祭。
- シッチェス・カタロニア国際映画祭(Fantasy films)--スペイン
- ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭(Fantasy and science fiction films)--ベルギー
- 釜山国際映画祭(New directors' films from Asian countries)--韓国
- サンパウロ国際映画祭(Films of new directors)--ブラジル
- ストックホルム国際映画祭(Films on new cinematographic orientations)--スウェーデン
[編集] 非コンペティティブ長編映画祭(総合)
FIAPF公認の非コンペティティブ長編映画祭(Non-Competitive Feature Film Festivals)で、長編・短編作品ともに扱う国際映画祭。
- シドニー映画祭--オーストラリア
- トロント国際映画祭--カナダ
[編集] インディペンデントな主要映画祭
FIAPFに加盟していない、或いはFIAPFから公認を受けていないが、世界の映画界で重要な地位を占める映画祭としては以下のものがある。
- エディンバラ国際映画祭--イギリス
- サンダンス映画祭--アメリカ
- ロッテルダム国際映画祭--オランダ
[編集] アカデミー賞(映画芸術科学アカデミー)公認の映画祭
アカデミー賞は授賞式前年の1年間にアメリカ国内の特定地域で公開された作品を対象に選考され、また映画産業全般に関連した業績に対して授与される賞であるが、例外としてアメリカ国内の特定地域で公開されていない作品でも同賞の候補作となることがある。それは世界各地で開かれるアカデミー賞の公認を受けた映画祭で受賞することであり、公認映画祭のグランプリ受賞作は自動的にアカデミー賞のノミネート候補作に推挙されるシステムとなっている。日本ではショートショートフィルムフェスティバルと広島国際アニメーションフェスティバルだけが公認を受けている。
- アスペン短編映画祭--アメリカ
- アテネ国際映画祭--アメリカ
- アトランタ映画祭--アメリカ
- アヌシー国際アニメーション映画祭--フランス
- アメリカ合衆国映画祭--アメリカ
- アン・アーバー映画祭--アメリカ
- インド国際映画祭--インド
- ウエスカ映画祭--スペイン
- ウプサラ国際短編映画祭--スウェーデン
- ヴェネツィア国際映画祭--イタリア
- オースティン映画祭--アメリカ
- オーバーハウゼン国際短編映画祭--ドイツ
- オタワ国際アニメーション映画祭--カナダ
- カナダ映画&テレビアカデミー--カナダ
- カルタヘナ国際映画祭--インド
- カンヌ国際映画祭--フランス
- クラクフ国際短編映画際--ポーランド
- クレルモンフェラン国際短編映画祭--フランス
- サンタバーバラ国際映画祭--アメリカ
- サンダンス映画祭--アメリカ
- サンフランシスコ国際映画祭--アメリカ
- シーグラフ--アメリカ
- シカゴ国際映画祭--アメリカ
- シカゴ国際子供映画祭--アメリカ
- シドニー映画祭--オーストラリア
- シネクエスト映画祭--アメリカ
- ジホン若者向け国際映画祭--スペイン
- シュトゥットガルト国際トリックフィルム・アニメーション映画祭--ドイツ
- ショーツ国際映画祭--アメリカ
- ショートショートフィルムフェスティバル--日本
- シンアニマ国際アニメーションフィルムフェスティバル--ポルトガル
- スペイン映画科学アカデミー--スペイン
- スラムダンス映画祭--アメリカ
- 世界アニメーションセレブレーション--アメリカ
- ザグレブ世界アニメーション映画祭--クロアチア
- セザール賞短編部門--フランス
- セントルイス国際映画祭--アメリカ
- タンペレ映画祭--フィンランド
- ドナテロ・デビット・アワード--イタリア
- トリノ国際映画祭--イタリア
- トロント・ワールドワイド短編映画祭--カナダ
- ナシュビル映画祭--アメリカ
- パームスプリング国際短編映画祭--アメリカ
- バミューダ国際映画祭--バミューダ諸島
- ハンプトン国際映画祭--アメリカ
- ビルバオ国際映画祭--スペイン
- 広島国際アニメーションフェスティバル--日本
- フォイル映画祭--アイルランド
- ブラック・マリア映画祭--アメリカ
- ブリティッシュアカデミー・オブ・映画&テレビアワード--イギリス
- フリッカーフェスト--オーストラリア
- フロリダ映画祭--アメリカ
- ベルリン国際映画祭--ドイツ
- メルボルン国際映画祭--オーストラリア
- モントリオール世界映画祭--カナダ
- モントリオール・ニュー・シネマ国際映画祭--カナダ
- ヨーロッパ・フィルム・アワード--ドイツ
- ロカルノ国際映画祭--スイス
- ロサンゼルス映画祭--アメリカ
- ロサンゼルス国際短編映画祭--アメリカ
- ロサンゼルス・ラティーノ国際映画祭--アメリカ
- ロードアイランド国際映画祭--アメリカ
[編集] 国際アニメーション映画協会(ASIFA)公認の映画祭
ASIFA(木下小夜子会長)公認の映画祭の中で、アヌシー、ザグレブ、オタワ、広島をもって世界四大アニメーション映画祭ということもあったが、現在ではアヌシーだけが突出した存在であり、他の映画祭は横並びとなっている。
- アニフェスト国際アニメーション映画祭(International Festival of Animated Films AniFest)--チェコ
- アヌシー国際アニメーション映画祭--フランス
- オタワ国際アニメーション映画祭(Ottawa International Animation Festival)--カナダ
- オランダアニメーション映画祭(Holland Animation Film Festival)--オランダ
- カタロニア国際アニメーション映画祭(Catalunya International Animation Film Festival)--スペイン
- ザグレブ世界アニメーション映画祭(Zagreb World Festival of Animated Films)--クロアチア
- シュトゥットガルト国際トリックフィルム・アニメーション映画祭(Internationales Trickfilm-Festival Stuttgart - Festival of Animated Film)--ドイツ
- ソウル国際マンガ・アニメーション映画祭(Seoul International Cartoon & Animation Festival)--韓国
- テヘラン国際アニメーション映画祭(Tehran International Animation Festival)--イラン
- 広島国際アニメーションフェスティバル--日本
- ブリスベン国際アニメーション映画祭(Brisbane International Animation Festival)--オーストラリア
- ライプツィヒ国際ドキュメンタリー・アニメーション映画祭(International Leipzig Festival for Documentary and Animated Film)--ドイツ
[編集] インディペンデントな主要アニメーション映画祭
ASIFAに加盟していない、或いはASIFAから公認を受けていないアニメーション映画祭としては以下のものがある。
- KROK国際アニメーション映画祭(KROK International Animated Films Festival)--ウクライナ、ロシア
- ネウムアニメーション映画祭(Neum Animated Film Festival)--ボスニア・ヘルツェゴビナ
- ブカレスト国際アニメーション映画祭(Bucharest International Animation Film Festival)--ルーマニア
[編集] 日本国内で開催される映画祭
- あいち国際女性映画祭
- 青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル [1]
- あきた十文字映画祭
- 朝日ベストテン映画祭
- アジア海洋映画祭イン幕張 [2]
- アジアフォーカス・福岡映画祭(アジアフォーカス・福岡映画祭)
- アジアン・クイア・フィルム&ビデオ・フェスティバル(AQFF) [3]
- EARTH VISION 地球環境映像祭(EARTH VISION Tokyo Global Environmental Film Festival)[4]
- @ffあおもり映画祭
- アフガニスタン映画祭(東京、NPO法人クロスアーツ)
- アラブ映画祭(東京、国際交流基金)
- 雲州ふらた映画祭
- NHKアジア・フィルム・フェスティバル
- 海老名プレミアム映画祭
- 大阪ヨーロッパ映画祭
- 岡山映画祭
- 小田原映画祭[5]
- オンチ映画祭
- 香川レインボー映画祭 [6]
- 金沢コミュニティ映画祭
- KAWASAKIしんゆり映画祭[7]
- 関西 Queer Film Festival
- 吉祥寺アニメーション映画祭
- 木下恵介記念はままつ映画祭
- 京都映画祭
- 京都国際学生映画祭
- CON-CANムービーフェスティバル (映画祭)(CON-CANムービーフェスティバル(映画祭))
- さぬき映画祭
- シネマベイビーフィルムフェスティバル [8]
- しまね映画祭
- ショートショートフィルムフェスティバル
- 新城映画祭(新城ムービングイメージフェスティバル)
- すかがわ国際短編映画祭
- SKIPシティ国際Dシネマ映画祭[9]
- 仙台短篇映画祭 [10]
- 高崎映画祭
- TAMA CINEMA FORUM
- TSSショートムービーフェスティバル[11]
- 東葛国際映画祭 [12]
- 東京国際映画祭[13]
- 東京国際シネシティフェスティバル[14]
- 東京国際女性映画祭
- 東京国際ファンタスティック映画祭
- 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭
- 東京フィルメックス(TOKYO FILMeX) [15]
- 東京平和映画祭
- TOYAMA地域映画フェスティバル
- にいがた国際映画祭
- 西東京市民映画祭
- ぴあフィルムフェスティバル[16]
- ひろしま映像展
- 広島国際アニメーション映画祭
- 福井映画祭
- 福岡アジア映画祭(福岡アジア映画祭)
- 古湯映画祭(古湯映画祭)
- フランス映画祭(東京・横浜・大阪など)
- 三鷹の森インディーズアニメフェスタ
- みちのく国際ミステリー映画祭
- 山形国際ドキュメンタリー映画祭
- やまなし映画祭
- ゆうばり国際ファンタスティック映画祭
- 湯布院映画祭
- ゆふいんこども映画祭
- ゆふいん文化・記録映画祭(ゆふいん文化記録映画祭)
- ヨコハマ映画祭
[編集] その他の映画祭
- 非同盟および発展途上国の平壌映画祭
- ジェラルメ国際ファンタスティカ映画祭(アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭)
[編集] 映画マーケットと映画祭
映画祭では各国からあの手この手でマーケットとしての最大規模を誇るアメリカへの売り込みがかけられる。しかしほとんどは成功しない。よくて単館上映やサーキットでの上映である。1970年代に、日本ではLT協定で知られる廖承志が香港の映画監督である胡金銓(KING HU)を中国に招いたことがある。胡は1975年度のカンヌ高等技術委員会グランプリの「侠女」で知られるアジアの巨匠であるが、廖が「どうすれば中国の映画は世界に受け入れてもらえるのか」と聞いたところ、胡は「いい作品を続けて作ればグランプリや映画祭の賞は取れるかも知れないが、マーケットには問答無用で入れてもらえない。それが現実です。」と答えた。現在でも状況にほとんど変化はないとされる。