斎藤龍興
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
|
||||
| 時代 | 戦国時代 | |||
| 生誕 | 天文17年（1548年） | |||
| 死没 | 天正元年8月14日（1573年9月10日） | |||
| 改名 | 喜太郎、龍興 | |||
| 別名 | 喜太郎（幼名）、一色義糺、一色義輔 | |||
| 官位 | 右兵衛大夫、刑部大輔 | |||
| 戒名 | 瑞雲院龍貞 | |||
| 墓所 | 福井県敦賀市 | |||
| 主君 | 朝倉義景 | |||
| 氏族 | 斎藤氏 | |||
| 父母 | 父：斎藤義龍、母：近江の方？（浅井久政の娘） | |||
斎藤 龍興（さいとう たつおき）は、戦国時代の武将・大名。美濃の戦国大名斎藤氏の第3代当主。
目次 |
[編集] 生涯
[編集] 家督相続
天文17年（1548年）、斎藤義龍の庶子として生まれるとされるが、生母が近江の方であるならば、義龍正室の子となり嫡子となる。義龍と道三の父子関係を肯定するのであれば、斎藤道三の孫に当たる。
永禄4年（1561年）、父・義龍の死により家督を継ぐ。しかし若年の上に祖父や父と較べるとあまりに凡庸で、素行も悪かったため、家臣の信望を得ることができなかったといわれる。このため、尾張の織田信長の度重なる侵攻を受けることとなる。永禄4年（1561年）の森辺の戦いにおいては、戦いそのものには勝利したものの、重臣（斎藤六宿老）の日比野清実、長井衛安などを失う。永禄5年（1562年）には、有力家臣であった郡上八幡城主の遠藤盛数が病没する。
龍興は信長の侵攻に対処するため、近江の浅井長政と同盟を結ぼうとした。しかし信長に機先を制され、長政は信長と同盟を結び、逆に浅井長政までもが美濃に侵攻するようになる。このときは義龍の時代から同盟を結んでいた六角義賢が浅井領に侵攻したため、長政は美濃攻めを中止して撤退している。
永禄6年（1563年）、再度侵攻した織田信長と新加納で戦い、家臣の竹中重治の活躍もあって織田軍を破った（新加納の戦い）。しかし永禄7年（1564年）、行状を改めようとしない龍興に不満を抱いた美濃三人衆の1人・安藤守就（重治の舅）と竹中重治によって居城の稲葉山城を占拠され、龍興は鵜飼山城、さらに祐向山城に逃走した。しかし後に重治と守就は龍興に稲葉山城を返還したため、龍興は美濃の領主として復帰した。しかしこの事件により、斎藤氏の衰退と統率の無さが表面化する。織田信長の小牧山城築城により圧力がかかった東美濃においては（遠山氏が織田氏の縁戚となるなど、そもそも織田氏の影響力が強い地域であったが）、有力領主である市橋氏、丸毛氏、高木氏などが織田氏に通じるようになる。さらに永禄10年（1567年）には西美濃三人衆の稲葉一鉄や氏家卜全、安藤守就らが信長に内応し、さらに国内の押さえとなっていた大叔父の長井道利も逐電（又は死去）するなどの悪条件も重なって、遂に稲葉山城を信長によって落とされ（稲葉山城の戦い）、伊勢長島へと逃亡することになる。以降、再び大名として美濃に返り咲くことはなかった。
[編集] 最期
長島一向一揆に参加し、信長に対する抵抗活動は継続したものの、やがて伊勢から畿内へ移り、永禄13年（1570年）1月には三好三人衆と結託し、信長が擁立した室町幕府第15代将軍・足利義昭を攻め殺そうとしたが、逆に敗退している（本圀寺の変、六条合戦）。
その後、縁戚関係にあったことから越前の朝倉義景のもとへ逃れ、客分として仕えたとされる。天正元年（1573年）8月、朝倉義景が織田信長と対決するために近江に出陣すると、これに従軍したが、朝倉軍が織田軍に敗れて刀禰坂で追撃を受けた際、戦死した。一説によると、かつての重臣であった氏家卜全の嫡男・氏家直昌に斬られたという（刀禰坂の戦い）。享年26。
[編集] 人物・逸話
- 父の義龍が祖父の道三に謀反を起こした際、母方の一色姓を称したとされているが、龍興自身も後に一色姓を用いたともされる。
- 祖父や父が偉大すぎたこと、若年で家督を継ぐことを余儀なくされ、さらに補佐すべき家臣が治世の初期に相次いで戦死、病没したことなど、同情すべき点もあるが、龍興自身が政務に関心を示さず、女と酒に溺れる人物だったといわれ、さらに祖父・父の有力家臣だった美濃三人衆や知略にすぐれた武将であった竹中重治を重用せず、斎藤飛騨守などの奸臣を寵愛したことから、斎藤家の支配力のさらなる低下と家臣団の分裂を招いた。結果的に御家を滅亡に追い込んだ当主のため、現在でも芳しくない評価が多いが、戦いでは信長にしばしば勝利しており、また、美濃追放後も最後まで信長に抵抗するなど、気概はあったようである。
[編集] 登場作品
- 『国盗り物語』（1973年、NHK大河ドラマ、演：大石悟郎（現・大石吾朗））
- 『信長 KING OF ZIPANGU』（1992年、NHK大河ドラマ、演：渡浩行）
- 『織田信長』（1994年、テレビ東京、演：中村久光）
- 『秀吉』（1996年、NHK大河ドラマ、演：三井智宏）
- 『国盗り物語』（2005年、テレビ東京、演：福薗由布樹）
- 『功名が辻』（2006年、NHK大河ドラマ、演：工藤和馬）
|
|
|
