影牢 〜刻命館 真章〜
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ジャンル | アクション |
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対応機種 | プレイステーション |
開発元 | テクモ |
発売元 | テクモ |
人数 | 1人 |
メディア | CD-ROM |
発売日 | 1998年7月23日 |
価格 | 5,800円(税抜) PlayStation the Best版2,800円(税抜) PSone Books版2,200円(税抜) |
『影牢 ~刻命館 真章~』(かげろう こくめいかん しんしょう)は、1998年テクモ株式会社から発売されたプレイステーション用アクションゲームである。サブタイトルに『刻命館真章』とあるように、同社から発売された刻命館とストーリー・ゲームシステム共に同系列にある。
ただし、刻命館がシミュレーションゲーム的な要素の強い作品であったのに対して、影牢はコンボなどを導入することによって、アクションゲーム的色彩が強くなっている。そのため、ゲームショップなどでも刻命館をシミュレーションゲームに、影牢・蒼魔灯をアクションゲームに分類することが多い。
2005年、PS2用ソフト影牢II -Dark illusion-が発売された。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] ストーリー
人間と、人間によく似た種族刻人(ときびと)とが共存する世界において、ミレニアという一人の少女が、ある館にやって来た。彼女は養母ヨカルによって、「人間狩り」の使命を受けており、人間たちを館に引き込み「狩る」ことを目的としていたのだが……。
[編集] 主な登場人物
- ミレニア(名前の変更可、アスタルテまたはユリアスとつけると序盤から特典がつく)
- このゲームの主人公。養母ヨカルによって人間狩りの使命を受けた少女。彼女は人間であるが、幼いころに神隠しに遭い(実は刻人による誘拐)、ヨカルに育てられる。神隠しに遭う以前の記憶は皆無。ゲーム中は全くといっていいほどしゃべらず、感情をあらわにすることもない。ただし、質問に対しては自分の言葉で返答しており、洗脳されていても自我を失っているわけではない。
- ヨカル
- 刻人。ミレニアの育ての親であり、この国の神官。さらにマリオネットプロジェクトの発案者兼責任者。こうした立場から人間に対しては何の情けも抱いてはいないはずだったが、ミレニアに対してだけは例外だったようである。
- エクリプス
- 刻人であり、この国を約800年支配している国王。レッドブラッドの人間達にとっては悪と言える存在であるが、ある分岐における彼の死に際の台詞からは彼自身も独自の正義感から行動していたことがうかがえる。
- ダスク
- 刻人であり、この国の大臣。小心者で、国王のイエスマン。
- キース
- 人間。ゲリラ組織レッドブラッドのリーダーであり、刻人に対するテロを指揮する。家族の神隠しを調べていくうちに事の真相に気づいたことから、レッドブラッドを組織し、刻人の絶滅を目指すようになった。
- デッドムーン
- 人間の中でも大きな権力を持つ人物。国王・エクリプスに近い立場でもあるが、レッドブラッドとも関わりを持つ。彼の目的は刻人から権力だけでなく、永遠の命も奪い、自らのものとすることであった。
[編集] トラップ
主人公の攻撃手段はトラップのみである。直接攻撃は一切行なえないため、罠が起動できない状態で敵と相対してしまった場合は逃げるしかない(ただし全ての敵キャラよりも移動速度がはるかに速く設定されているため、まず逃げ切れる)。 一回のミッションで装備できるトラップは床・壁・天井それぞれ三つずつ、合計九つである。トラップにはチャージ時間があり、これが貯まらない限り、トラップを発動させることはできない。
[編集] 種類
- 天井設置トラップ
- 天井に設置し、起動すると上からトラップが落下してくる。メガロック(巨大岩)のように凄まじい破壊力を持つものと、ガスやカビンなどの攻撃補助的なものがメイン。この系統の中で最も重要なトラップは設置時間が短く、コンボにつなげやすいカビン系トラップである。また、お笑い系トラップとしてタライとオオタライがある。
- 壁設置トラップ
- 壁に設置するトラップ。マグネットなど強制移動効果のあるトラップとアロースリットのように投擲武器が飛び出すものがある。主に強制移動系はコンボを重視した戦い方で、アロースリット系は一撃必殺的な戦い方を重視するときに使える。
- 床設置型トラップ
- 床に設置・起動させる。マグネットフロアなど強制移動効果のあるトラップとベアトラップ(トラバサミ)に代表される拘束型、ダメージと強制移動を行うマイン(地雷)系とがある。地形トラップとの相性がよく、仕掛け床や斬殺換気扇などに侵入者を放り込むときなどに重宝する。
- 隠しトラップ
- エンディングを見ることで合計6種の隠しトラップを開発できるようになる。どれも威力・効果時間共に高いため、より美しいコンボをきめる上では欠かせない。
- その他
- また、電気椅子や巨大ペンデュラムなどの地形トラップもある。地形トラップは各部屋に固定設置されており、自分で自由に設置・作動することはできず、開発することもできない。他のトラップなどで強制的に作動させたり、敵キャラを強引に巻き込むなどの工夫が必要である。うっかりしていると自分が引っかかってしまうこともある。
[編集] トラップの開発
トラップ開発はツリー形式で行われる。すなわち、上位のトラップを開発するには、必ず下位のトラップを一つ以上開発していなければならない。また、開発にはArkと呼ばれるポイントが必要であり、これが十分になければ開発できない。なお、ゲームクリア後に開発可能になる隠しトラップ6種は例外で、ツリーとは関係なく、Arkさえ足りていれば開発できる。
[編集] コンボ
一定時間内にトラップを連続してヒットさせることでコンボが成立する。最大10Hitコンボまでつなげられる。コンボの長所は、トラップ開発のために必要なArkを貯めやすく、上手く決めることができれば、安全に侵入者を撃退できることである。反面、トラップのチャージ時間や有効時間などを正確に把握する必要があることと、コンボに有用なトラップの開発そのものに大量のArkが必要となること、そして序盤のみだが、コンボ重視のトラップは敵に与えるダメージが少ないことがデメリットとしてあげられる。しかし、慣れてしまえば、デメリットよりもメリットのほうが大きくなるため、コンボをつなげることができるように練習する必要がある。
- コンボの注意点
- 一つのコンボの中で同じトラップをヒットさせた場合、原則として二発目以降のトラップはArk計算式にカウントされない。例えば、カビン→ベアトラップ→アタックウオール→カビン→アロースリットというコンボを組んだときに、四発目のカビンはコンボ数にはカウントされても計算式には組み込まれないので、獲得Arkは少なくなってしまう(一部例外あり)。ただし、地形トラップに関してはこの限りではないため、大掛かりなコンボをつなげるには地形トラップの活用が不可欠である。
- もう一つの注意点は最初から複数ヒットするトラップ(斬殺換気扇やチェインニードルなど)はコンボ数は稼げても、Arkはヒットさせるたびに減少してしまうことである。これらのトラップはArk計算時の掛け率が1未満であることによる。詳しくは次で述べる。
[編集] Ark計算
トラップの開発に必要なArkの算出は以下の計算式で行われる。
{累積ダメージ+(死後の余剰ダメージ×1.3)}×トラップの掛け率(×または+ボーナス)
Arkの積の小数点以下は切り捨てられる。最終的な獲得Arkはそれぞれのヒット時のArkの和となる。これにのっとって仮にHPを65とした敵に4ヒットコンボを行ったと仮定して計算すると以下のようになる。
1Hit:30×1.4=42Ark
2Hit:(30+10)×1.4×1.5=84Ark
3Hit:(30+10+20)×1.4×1.5×1.2=151Ark
4Hit:{30+10+20+5+(45×1.3)}×1.4×1.5×1.2×1.8=557Ark
合計獲得Ark:42+84+151+557=834Ark
このことから、最初に大きなダメージを与え、後の方ではダメージは少なくても倍率の高いトラップを使い、止めで強力なトラップを使う方が効率的であることがわかる。また、トラップの倍率が1未満の場合、ヒットすればするほどArkが減ってしまうのもこのためである。
また、ボーナスの条件を満たしたときのみ計算が変動する。ボーナスは以下のとおりである。
- ロングレンジ(アロースリットなどで5マス以上はなれた敵を攻撃する)―1.5倍
- カウンターヒット(敵の攻撃モーション中にヒットさせる)―1.5倍
- ダブルヒット(一つのトラップを二人の対象にヒットさせる)―1.5倍
- コアヒット(トラップの中心でヒットさせる)―1.5倍
- エリアルヒット(空中の敵にヒットさせる)―1.5倍
- バージントラップ(初めて開発したトラップをヒットさせる)―プラス100(地形は150)Ark
- ジャストキル(敵のHP丁度ないし±2以内で撃破)―プラス50Ark
[編集] 用語解説
- 刻人
- 人間によく似た種族。人間との相違点としては肌と血の色が青いことと病気や老いといった内的要因によっては死ぬことがないことである(事故や暗殺などの外的要因での死はある)。元々は人間と同じ種族であったが、ある秘法によって、不老不死の存在となった。この秘法は常に人間の命を必要とするため、「神隠し」によって人間を誘拐し、殺害してきた。
- この国では人間たちに文化・文明を伝え、現在においても指導的な立場であると同時に、人間たちを見下していた。しかし、デッドムーン一味の暗躍やレッドブラッドの活動に危機感を募らせてもいる。
- ヨカルの言葉によれば刻人は子孫を残すことができない、しかしながら作中人物の言葉から刻人の始祖と呼ばれる人物の存在が確認されており、かつては仲間を増やす方法があったとも考えられる。
- マリオネットプロジェクト
- ヨカルによって提唱・実行された、刻人に忠実な兵士を作る計画。人間を幼児のころに誘拐し、刻人への絶対的忠誠と「使命」を注入する一方で、戦闘手段をトラップのみとすることで決して刻人に刃向かうことができないようにされる。本作では主人公ミレニアが試験的に対象とされていた。
- 神隠しと人間狩り
- 刻人は永遠の生命を保つために人間の魂(命)を必要としていた。そのため、隠密裏に人間を誘拐・殺害してきた。この一連の行動が、人間側からは神隠し、刻人側からは人間狩りと呼ばれた。なお、ゲーム中では、人間側の動向が不穏なものとなってきたため、国王は「神隠し」による人間狩りを中止し、刻人に反抗的な人間や噂につられた者をミレニアに「狩らせる」ことで人間狩りを進めていた。
- レッドブラッド
- キースによって組織されたゲリラ組織。人間の刻人からの解放と刻人の絶滅を目的とする。名前も刻人の青い血に対抗して人間の証である赤い血を対置したことから名づけられたと思われる。キースの人徳や主張に惹かれた、多種多様な人物がいる。
- Ark
- トラップを開発するのに必要なポイント。強力なトラップほど大量のArkを必要とする。コンボをつなげたり、テクニカルヒットボーナスを得ることでより多く蓄積できる。