常石敬一
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常石 敬一(つねいし けいいち、1943年10月26日 - )は、神奈川大学経営学部の教授である。東京都出身。
1966年東京都立大学理学部物理学科を卒業し、1973年長崎大学講師となり同校教養部教授を経て、1989年より現職。主な専門は科学史、科学社会学、STS(科学技術と社会)、生物化学兵器軍縮。
731部隊や旧日本軍の化学兵器製造について研究を行ってきたことから、NHKをはじめとするメディアにおいては「毒ガスの専門家」とされて登場することが多い。
ただし、実際の研究内容は戦史的な分野が中心であり、有機化学の専門知識については不足が指摘されている。松本サリン事件において「有機リン系の農薬を原因とする、神経ガスが発生した」「サリンは知識さえ持っていれば簡単に製造できる」など、サリンが農薬から合成できるかのような発言が冤罪事件の原因となってしまった(後に「合成できたとしても確率的には僅かである」などと釈明している)。著書の内容は取材などによるものが多く、戦争責任に関する講演会に積極的に参加する事でも知られている。
なお、彼の名による『コペルニクス革命』(トーマス・クーン著)の英文和訳については、内井惣七(京都大学教授)により「信頼性に乏しく、学術的な使用にまったく耐えない」「小さな誤訳だけでなく、クーンの議論の基本的なところが逆に訳されたり支離滅裂なものにされているので始末が悪い」「科学史の著作の翻訳としては失格」と厳しく指摘されている[1]。
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[編集] 著書
- 『七三一部隊―生物兵器犯罪の真実』 講談社(講談社現代新書)、1995年、ISBN 4061492659
- 『医学者たちの組織犯罪―関東軍第七三一部隊』 朝日新聞社(朝日文庫)、1999年、ISBN 4022612703
- 『謀略のクロスロード―帝銀事件捜査と731部隊』 日本評論社、2002年、ISBN 4535583374
- 『化学兵器犯罪』 講談社(講談社現代新書)、2003年、ISBN 4061496980
- 佐瀬昌盛・秦郁彦共同監修『世界戦争犯罪事典』 文藝春秋、2002年、ISBN 4163585605
[編集] 訳書
- 『コペルニクス革命―科学思想史序説』(トーマス・クーン) 講談社(講談社学術文庫)、1989年、ISBN 4061588818
[編集] 関連項目
- 田畑光永 - 現在同職で『世界戦争犯罪事典』共著者