将棋の手合割
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将棋の手合割(しょうぎのてあいわり)とは、将棋におけるハンデキャップのことを言う。
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[編集] 概説
将棋において棋力の差に応じたハンデキャップを与えて、対等な勝負ができるようにするためのしくみである。
棋力に差がないとき、両者とも20枚の駒を並べて戦う。これを平手戦(ひらてせん)という。
棋力に差があるとき、その差に応じて上位者側の駒の一部を盤上から取り除いた状態で開始する。これを駒落ち(こまおち)という。取り除かれた駒は、試合の最後まで使用することはない。駒を落とした側の対局者を上手(うわて)、落とされた側を下手(したて)という。振り駒は行わず、上手から指し始める。
日本将棋連盟による駒落ちの目安は以下の通りである。
段級差 | 名称 | 内容 |
---|---|---|
0 | 振駒先(平手戦) | 振り駒で先手を決める |
1 | 先 | 下位者を先手とする |
2 | 香落ち | 上手が左側(角行のある側)の香車を落とす[1] |
3 | 角落ち | 上手が角行を落とす |
4 | 飛車落ち | 上手が飛車を落とす |
5 | 飛香落ち | 上手が飛車と左側の香車を落とす |
6-7 | 二枚落ち | 上手が飛車と角行を落とす |
8-9 | 四枚落ち | 上手が飛車と角行、両方の香車を落とす |
10以上 | 六枚落ち | 上手が飛車と角行、両方の香車と桂馬を落とす |
その他、以下のような駒落ちも行われる(部分追加:小竹節子)[要出典]。
段級差 | 名称 | 内容 |
---|---|---|
0 | @番手変わり | 最終局勝者が連勝数が@局となると駒割が変わる |
0 | 相互先(平手戦) | 2局セットで交互に先手を持つ |
半 | 先相先 | 3番手合いで1局目と3局目が先手 |
1 | @倍層手合い | 上手@:1下手の賭け率の対局(24道場などで使う) |
1半 | 定先 | 下位者の先手で引分局の打開責務が後手(YAHOO!などで使う) |
2半 | 角香割 | 上手が角落ちと香落ちを交互に指す |
4半 | 角香落ち | 上手が角行と飛車斜め下の香車の2枚を落とす |
この他にも、六枚落ちからさらに両方の銀将を落とす八枚落ち、さらに両方の金将を落とす十枚落ち、さらに全ての歩兵まで落とす裸王(十九枚落ち)[2]、また変則的なものとして、両方の香、桂、銀、金を落とすトンボ(通常の六枚落ちなどよりも下手の指導に適しているとして、小田切秀人指導棋士が推奨している[3])、裸王で最初から持ち駒に歩を3枚持って開始する(その代わり、上手のみ二歩や三歩が許される、とする場合もある)歩三兵などがある。
一般に、二枚落ちのプロに勝てれば実力アマ初段と言われるが、これは指導対局として手加減してくれた場合の話であり、プロが本気で負かしに来た場合、初段の実力で勝ちきるのは容易ではない。駒落ち上手の達人として名高かった灘蓮照九段が、自分の四枚落ちに勝てれば四段と認める、初段相手なら八枚落ちで十分、と豪語したという逸話がある。
[編集] 平手戦
平手(ひらて)とは、将棋用語で、先手後手ともに駒落ちがなく、20枚ずつ所定の位置に置いた状態から指される将棋。
第二次世界大戦前は、プロ棋界でも、両対局者の段級位の差による駒落ち戦が主流だったが、現在の公式の棋戦は全て平手戦で行われている。
王将戦創設当時はどちらかが3勝差をつけると次の対局から平手と香落ちを交互に指す「三番手直り」制度があったが、現在は「四番手直り」に改められ、またどちらかが4勝した時点で対戦が終了するため、香落ち戦が指されることはない。
但し奨励会においては2級差の対局に香落ち、その準備組織である研修会では連盟の基準に応じた駒落ちが採用されているため、現代のプロ棋士が駒落ちを避けて通れるということにはならない。
[編集] 二枚落ち
二枚落ち(にまいおち)は将棋のハンデキャップの一つ。飛車、角行の大駒を上手から取り除いて攻撃力を抑えた状態で対局する。
攻撃力は低いが、防御力は十分にあるので、攻める下手には要領の良い攻撃能力が要求される。
下手側の定跡として「二歩突っ切り」「銀多伝」の二つが有名である。
[編集] 六枚落ち
六枚落ち(ろくまいおち)は将棋のハンデキャップのひとつ。上手が飛車・角行・左右の桂馬・香車の6枚を落とすことからこの呼び名がある。
指導対局などで、初心者と上級者が対局する場合、最初はこの手合いから始めることが多い。
上手から攻め込まれる心配はほとんどないので、下手は上手陣を破って上手玉に迫ることに専念していけばよい。