専用線
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専用線(せんようせん)は、電気通信事業者が提供する特定顧客専用の有線・無線通信回線である。二地点間のものだけではなく、星型・分岐型の構成も可能である。専用の通信線路や電波周波数帯域を用いるとは限らず、他の回線と多重化されているものの方が多い。
利用者自身で設置するものを私設線、加入者間で相手先を任意に変更できるものを公衆網と呼ぶ。
特徴として次のような点がある。
- 公衆網の輻輳に影響されない。
- 公衆網と比較して、情報漏洩・盗聴・改竄の可能性が低い。
- 定額料金であるので、通信頻度が多く・占有時間が長い場合、公衆網より安価である。
- 二地点間を直接結ぶものの場合、接続動作が不要である。
- 回線設備の敷設・保守を電気通信事業者が行うので、顧客の技術的負担が私設線より小さい。
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[編集] 主な目的と用途
公衆網の途絶時も確保しなければならない通信や、改竄・盗聴を防止しなけばならない通信のセキュリティを確保する。
- 警察電話・消防電話・鉄道電話・電力保安通信線・水運用電話などの重要通信
- 銀行など金融機関の現金自動預け払い機(ATM)など金銭取引
- 放送局のスタジオ(演奏所)から送信所へのコンテンツの伝送
- 各放送局間のネットワーク(民間放送ではニュース系列)におけるコンテンツの伝送→NTT中継回線
回線の使用頻度が高く、公衆網よりも料金を安くするため。
- 企業で工場や支社、営業所といった全社的なコンピュータネットワークの構築(NECのC&C VAN、富士通のFENICSなど 他、全国的に展開している大手企業で保有している例あり)
- 企業からのインターネット・サービス・プロバイダへの接続
- 利用頻度の高い区間の内線電話
かつて、ダイヤルアップ接続が主流でブロードバンド回線がなかった時代、専用線接続でインターネットに接続していた個人ユーザーも一部でいた。
また、支店代行電話も区域外のNTT局舎から専用線を引いて構築していた。
[編集] 料金
料金は定額(固定)であるが、通信速度(伝送容量)と距離によって変化する。
コンピュータネットワークの構築に利用されるデジタル回線の場合、回線容量の少ない(64Kbps)近距離でも、月額3万円程度の料金がかかるため、個人で導入されるケースはほとんどない。
東京-大阪間を6Mbpsの専用回線で結ぶ場合、月額400万円程度かかる。テレビコンテンツの伝送用のような数十Mbps程度になると、月額数千万円から億の単位になる。--その他参考資料NTT ギガストリームTypeG Etherアークストリーム料金表(PDF)
[編集] 主なサービス
- アナログ
- 3.4kHz・3.4kHz(s)(帯域品目)
- 2400bps・ 4800bps・ 9600bps(符号品目)
- デジタル
- 64kbps・128kbps・1500kbps(1.5Mbps)・6000kbps(6Mbps)・50Mbps・150Mbps
- Asynchronous Transfer Mode(ATM):1Mbps~600Mbps
他
[編集] 提供企業
- NTTグループ
- KDDI
- ソフトバンクテレコム
- 〔〔TOKAI〕〕
[編集] 歴史
1906年7月20日、日本初の専用線電話サービスが日本銀行と横浜正金銀行本店間で開始された。
1960年代からアナログ専用線とモデムによるデータ通信が行われるようになった。
1980年代に高速デジタル専用線サービスが開始され、アナログ専用線を徐々に置き換えていくようになった。
2000年代に入り、通信事業者の専用イーサネット網を利用した広域イーサネット、インターネットを利用して仮想的に専用線を構築するVirtual Private Network(VPN)など、より安価な仮想専用線サービスが利用されるようになっている。暗号化・カプセル化などのセキュリティ向上、通信速度の高速化による遅延(ディレイ)の減少により、適用できる範囲が拡大したためである。(例 : 住民基本台帳ネットワーク・銀行のオンラインシステムなど)
[編集] 回線借用
回線借用(Down for maintenance)とは、通信事業者の都合(線路移転、設備保守など)により専用線回線を一時停止することである。通信事業者は借用が発生する場合には事前にユーザに申し入れ、日程の調整が行われる。