宮中ダム
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宮中ダム(みやなかダム)は、新潟県十日町市(旧中魚沼郡中里村)小原地先、信濃川本川に建設された発電専用ダムである。 JR東日本(東日本旅客鉄道)が管理している、企業私有のダムである。
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[編集] 概要
宮中ダムは、高さ16.4mの重力式コンクリートダム。 信濃川本川上に建設された最初のハイダム(高さ15メートル以上のダム)であり、唯一のハイダムである。
大正時代、鉄道網が次第に延伸して行くに連れて動力源である電力確保の必要性に迫られた鉄道省(後の国鉄)は、首都圏に敷設した鉄道網への安定した電力供給を図るべく、水量の豊富な信濃川水系に水力発電所を計画し、電力需要を確保してさらなる路線整備を目指した。
1920年(大正9年)、宮中ダムは下流に建設した千手発電所(せんじゅはつでんしょ)の取水ダムとして日本一の大河・信濃川本川に建設を開始し、1938年(昭和13年)に18年の歳月を掛けて完成した。
これらダム及び西大滝ダムの完成により、上流の千曲川流域へのサケの遡上は、激減していく。[1]
[編集] 発電設備
宮中ダム左岸より取り入れられた水は浅河原調整池(アースダム、37.0m)を経由し、まず千手発電所で発電に利用される。 その水はさらに山本調整池を経由し1951年完成の小千谷発電所(おぢやはつでんしょ)でも発電される。 同地点には1990年に新小千谷発電所(しんおぢやはつでんしょ)が完成し、新たに新山本調整池(ロックフィルダム、42.5m)が設けられた。 新小千谷発電所から放流された水を逆調整するため、JR東日本は長岡市に建設省(現・国土交通省北陸地方整備局)が1990年に完成させた妙見堰を利用。 現在は国土交通省(河川局・道路局)と妙見堰を共同管理している。
宮中ダムから取水された信濃川の水により、千手・小千谷・新小千谷の三発電所合計で認可出力449,000kWの発電を行い、北陸地方でも屈指の発電量を誇る水力発電所となっている。 この三発電所は総称して信濃川発電所(しなのがわはつでんしょ)と呼ばれている。 なお、宮中ダムよりすぐ上流にも同名の信濃川発電所が存在しているが、これは東京電力が建設した水力発電所である。
JR東日本は電車に使用する年間発電量の58パーセントを自家発電でまかなっているが、その40パーセントにあたる14.4億kWh/年はこの三発電所によるものである。 信濃川で発電された電力は送電線・変電所を経由し、山手線・中央線・京浜東北線等の首都圏における枢要交通機関を支えている。
2004年(平成16年)の新潟県中越地震によって発電所設備が損傷し、現在復旧中である。
[編集] 参考文献
- 東日本旅客鉄道株式会社「信濃川発電所の復旧状況について」2005年3月1日