実用英語技能検定
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実用英語技能検定試験(じつようえいごぎのうけんていしけん)とは、財団法人日本英語検定協会(Society for Testing English Proficiency, STEP)が運営する日本における英語検定試験。一般に英検(えいけん)と言った場合、これを指す。年間3回実施される。
日本ではTOEICとともに英語の能力判定試験としてよく知られている。
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[編集] 概要
協会によると、英検は「読む」「聞く」「書く」+「話す(3級以上)」英語力を総合的に認定する検定試験である。1963年の開始以降、幾度もの問題形式改正を経て現在に至っている。
英検は中学校と高校の生徒が全受験者の9割近くを占める。受験級からも分かるように、2級以下は中学校や高校の学習指導要領を基準にしている。英語学習の動機や力試しとして生徒に受検を推奨する教員が多いが、その背景には日本中にコネで引き継がれた中高教員の面接官を配置した検定協会の存在がある。
また大学・高校・中学校では入学試験や進学に際して合格者(級取得者)を優遇する学校があり、その数は年々増加している。しかし合格の基準があいまいで、同じ級の合格者の中に実力のばらつきが見られるという批判もある。
なお、準2級以上を会得することにより、高等学校卒業程度認定試験の英語試験科目が免除となる。
1990年代後半には年間志願数がのべ300万人を越える年もあった。近年は年間のべ250万人程度に落ち着いているが、少子化の影響もあり志願者は年々わずかながら減少している。
[編集] 沿革
1963年4月、日本英語検定協会が設立され、同年8月に第1回の試験を実施。1級・2級・3級を設け、37,663名が受験した。1968年2月、社会的に奨励すべきものとして文部省2003年、イギリスのケンブリッジ大学ESOL Examinationsと業務提携を行い共同研究を行うことに合意。2004年、アメリカ合衆国の一部の大学で英検がTOEFLのように正規留学の資格として初めて認められる。
[編集] 受験級
受験級は、以下の7つに分けられている。
- 1級(大学上級レベル) 広く社会生活に必要な英語を十分に理解し、自分の意思を表現できる。
- 年間志願者数 約2万5千名 合格率10%程度
- 準1級(大学中級レベル) 日常生活や社会生活に必要な英語を理解し、特に口頭で表現できる。
- 年間志願者数 約7万名 合格率15%程度
- 2級(高校卒業レベル) 日常生活や職場に必要な英語を理解し、特に口頭で表現できる。
- 年間志願者数 約30万名 合格率20%程度
- 準2級(高校中級レベル) 日常生活に必要な平易な英語を理解し、特に口頭で表現できる。
- 年間志願者数 約50万名 合格率35%程度
- 3級(中学卒業レベル) 基本的な英語を理解し、特に口頭で表現できる。
- 年間志願者数 約70万名 合格率50%程度
- 4級(中学中級レベル) 基礎的な英語を理解し、平易な英語を聞くこと、話すことができる。
- 年間志願者数 約50万名 合格率70%程度
- 5級(中学初級レベル) 初歩的な英語を理解し、簡単な英語を聞くこと、話すことができる。
- 年間志願者数 約30万名 合格率85%程度
カッコ内のレベルはあくまで目安である。特に準1級、1級は大学レベルとなっているが、これらの級は大学生でも合格するのはかなり難しいと思われる。
なお、合否通知などには書かれないが、2級合格者のうち一次試験で75%以上得点した人を「2級A合格」とし、英検を利用した海外留学で優遇される場合がある。
[編集] 試験
4・5級は一次試験のみで合否の判定が行われるが、3級以上は一次試験の他に二次試験が4週間後にある。一次試験が合格基準点に達した受験者には二次試験を受ける資格が与えられ、一次試験の合否通知に二次試験の案内が書かれた受験票が印刷されて送られてくる。
一次試験は筆記試験とリスニングテスト(聞き取り試験)である。解答は基本的にマークシート方式であるが、準1級以上では自由英作文問題も課される。各級とも筆記試験の試験時間が経過した後、引き続きリスニングテストが行われる。筆記試験とリスニングテストの点数の合計が合格基準点に達したら一次試験合格となる。合格基準点は問題の難易度によって毎回変動し、一定ではない。
二次試験は試験官との個別面接方式で行われる。面接では問題カードを見ながらの課題スピーチ(または課題文音読)、問題カードの内容や受験者自身の考えを問う質疑応答が試験の中心となる。また、アティチュード(会話の態度)もわずかな配点ながら採点される。試験官の採点によって得られた点数が合格基準点に達すれば総合合格となる。ある程度パターンはあるが、1級の面接では試験方法や採点項目がやや特殊であり、自分の発言についてさらに踏み込んだ質問をされる場合もある。英会話力とともに高度な議論・対話能力が要求される。
一次試験不合格の場合は点数によって不合格A・B・Cに区別され、二次試験の案内が印刷されない(STEPロゴが印刷される)。また、二次試験の不合格者は、申請すれば一次試験合格から1年間一次試験が免除となり、二次試験から受験することが出来る。
- 合格点
- 1次試験 - 基本的には正答率60%、準1級以上は70%あたりが合格点になるが、毎回変動する。
[編集] 実施要項・日程
一次試験は本会場受験(協会が指定した会場)の他に、団体による申し込みの場合にはその団体が設定した会場で行う準会場(または特別準会場)で受験することができる。本会場での実施は全国47都道府県と海外特別会場で行われる、受験者が願書に書いた希望受験地をもとに協会が受験会場を指定する。二次試験の希望受験地は一次試験で名前等記入のときに書き、それが一次試験とは異なる場所でも構わない。
各年度の本会場・準会場日程は以下の通り。また高等学校以下の学校がその学校内で試験を行う場合特別準会場となり、その都合に合わせて本会場で行われる日の前日(土曜日)もしくは前々日(金曜日)に試験を実施するように設定できる。その場合、日曜日に実施する問題ではなく、その日に実施するために作られた問題が配布される。
二次試験は一次試験の約4週間後の日曜日に協会が指定した会場で行われる。
[編集] その他
英検準2級で過去に出題された文章問題にウィキペディアについて紹介する文章があった。
[編集] 関連項目
- 英語
- 英語 (教科)
- 語学
- 英語検定
- 国際連合公用語英語検定試験
- 国際コミュニケーション英語能力テスト (TOEIC)
- TOEFL