奥泉光
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奥泉 光(おくいずみ ひかる、1956年2月6日 - )は、日本の小説家。本名 奥泉康弘(やすひろ)。
山形県東田川郡三川町出身。埼玉県立川越高等学校、国際基督教大学 (ICU) 教養学部人文科学科卒。同大学院修士課程修了(博士課程中退)。当初は研究者を目指しており、研究者時代の共訳書に『古代ユダヤ社会史』(G・キッペンベルク著、教文館)がある。1986年、「すばる」に『地の鳥天の魚群』を発表しデビュー。1990年、『滝』が第三回三島由紀夫賞および第103回芥川賞候補となる。1993年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞・瞠目反文学賞受賞。野間文芸新人賞は保坂和志『草の上の朝食』との同時受賞であり、対照的な作風が話題となった。1994年、『石の来歴』により芥川賞受賞。同作は英語、仏語などに翻訳刊行。
作品はミステリーの構造を持つものが多く、物語の中で次第に謎の位相をずらしていき、虚実のあわいに読者を落とし込む、といった手法を得意としている。デビュー時から反時代的な文語体の書き手として定評があり、1996年に書き下ろしで刊行された『「吾輩は猫である」殺人事件』では、夏目漱石『吾輩は猫である』の主人公の猫が実は生きていたという設定のもとで、漱石の文体模倣を行い高い評価を得た。
1999年、近畿大学助教授に就任、現在教授。バンドを組み音楽活動も行う。また都内などで路上パフォーマンスもする。
[編集] 著書
- 滝 集英社, 1990 「その言葉を」と改題、文庫
- 葦と百合 集英社, 1991 のち文庫
- 蛇を殺す夜 集英社, 1992
- ノヴァーリスの引用 新潮社, 1993 のち集英社文庫
- 石の来歴 文芸春秋, 1994 のち文庫
- バナールな現象 集英社, 1994 のち文庫
- 『吾輩は猫である』殺人事件 新潮社, 1996 のち文庫
- プラトン学園 講談社, 1997
- グランド・ミステリー 角川書店, 1998 のち文庫
- 虚構まみれ 青土社, 1998
- 鳥類学者のファンタジア 集英社, 2001 のち文庫
- 坊ちゃん忍者幕末見聞録 中央公論新社, 2001 のち文庫
- 浪漫的な行軍の記録 講談社, 2002
- 新・地底旅行 朝日新聞社, 2004 のち文庫
- 文芸漫談 笑うブンガク入門 いとうせいこう,渡部直己 集英社, 2005
- モーダルな事象 文藝春秋, 2005
[編集] 翻訳
- ノアのはこぶね ジェーン・レイ 福武書店, 1992
- クリスマスのおはなし ジェーン・レイ 徳間書店, 1994
[編集] 外部リンク
- バナール主義(自身によるサイト)