奥付
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奥付(おくづけ)とは、本の本文が終わった後の、書誌事項が記述されている部分。正しくは、奥附と書き、奥付は誤用である。が、「附」の字は常用漢字に含まれるのに「つく」の訓が入っておらず、止むを得ず「付」で代用することもある。また、奥書(おくがき)とも言う。これらは、その書中における位置から付された名称であるが、その役割から付された名称として、刊記(かんき)とも称しているし、枠で囲んだ刊記は特に木記(もっき)と称していた。
これと決まった形式はなく、日本特有のものとされるが、『洋書目録法入門 つくり方編』によれば、「スラブ系およびラテン系諸国の出版物には、奥付をつける慣行があるが、和書ほど完備していない」そうである。
洋書の書誌事項は、タイトルページの次のページにあり、版ごとの出版社の権利関係を明示する役割を持っており、日本のものとは少し意味合いが違う。
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[編集] 歴史
[編集] 江戸時代
1722年(享保7年)11月の、大岡越前による「新作書籍出板之儀に付触書」に由来する。
- 何書物ニよらす、此以後新板之物、作者并板元之実名、奥書ニ為致可申候事。
これにより、横行していた偽板(海賊版)が統制され、版元書店の出版権が明確になった。但し、明治以前の奥付は、今日のそれとは大きく異なっており、「版」と「刷」の相違が明確でなく、版木自体も売買されるものであったし、また、書店組合を結成して各地で出版販売するのが通例であったため、実際に、何年にどこの版元が出版したものであるか、というのは、詳細に書誌学的な考証を加えないと判断できない状況にある。
[編集] 明治以後
1893年の出版法では発行者の氏名・住所、年月日、印刷所の名称・住所、印刷の年月日の記載が義務づけられた。 今のような形では、岩波書店が始めたとされている。現在は、義務付けはされていないが、慣習として続いている。
ただし、文部科学省の検定を受けた教科用図書(教科書)については、「教科書の発行に関する臨時措置法」第3条で著者名・出版業者名等の表示が義務付けられている。
[編集] 書誌事項
主に以下の事が書かれる。
- 題名
- 著者、訳者、編者
- 編集者
- 発行者
- 出版社
- 印刷所
- 製本所
- コピーライト
- 検印(廃止されているものが多い。印税を参照)
- 発行年月、版数、刷数
- 値段(多くはカバーに記載、教科用図書については表示無し)