奇談シリーズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
文学 |
---|
ポータル |
各国の文学 記事総覧 |
出版社・文芸雑誌 文学賞 |
作家 |
詩人・小説家 その他作家 |
『奇談シリーズ』(きだんシリーズ)は、椹野道流による日本のライトノベルシリーズ。イラストはあかま日砂紀。
目次 |
[編集] 概要
1997年、「ホワイトハート大賞エンターテインメント部門」佳作入選作品として、第1作『人買奇談(ひとかいきだん)』(講談社X文庫ホワイトハート)が刊行され、2008年現在、26冊の文庫本と3冊のCDブックが刊行されている。
また、2006年1月に朗読劇イベント「オルゴール・レクイエム」が、ヤクルトホールで昼夜2回に分けて行われ、その模様を収めたDVDも発売されている。
雨の夜に住宅街をふらついていた1人の少年が疲れ果てて座り込んだ場所は、人気作家が住む家の「鬼門封じ」だった……。次第に惹かれあっていく、追儺師兼小説家の青年と半精霊の少年が織り成す、オカルト風味の恋愛小説。
[編集] あらすじ
雨の降る夜、住宅街を歩いていた半精霊の少年琴平敏生(ことひら としき)は、一軒の家の外壁に見つけた四角く切られたスペースに座り込んだ。彼は数日何も食べておらず、疲れ果てていたのだ。
翌々日、耳元で騒ぐ奇妙な声たちのせいで目覚めると、敏生は見知らぬ部屋の暖かな布団の中にいた。その枕元には美貌の青年作家天本森(あまもと しん)がいた。 彼は、事情と素性を聞いたうえで、「行くところがない」と言う敏生に自分の家に住むよう勧め、後にやって来た、自らが所属する霊障を扱う「組織」のエージェント早川知足(はやかわ ちたる)にも引き合わせて、敏生を自分の助手とすることを決めたのだった……。(以上1巻冒頭)
[編集] 主な登場人物
声優名があるものはCDブックのレギュラーキャスト。
- 天本森(声:郷田ほづみ)
- 追儺師としてとある組織に所属する傍ら、デビュー作を30万部売ったミステリー作家として活躍する青年。甘いものが好物で、チョコレートバーは常に携帯している。
- 身長180センチ、体重69キロ、血液型はA型で、12月28日生まれの山羊座(第1作で27歳)。
- イギリス人の父と日本人の母の間に生まれたハーフで、父譲りの彫りの深い顔立ちに、母譲りの黒髪と黒い双眸を持つ。また、母から一種の霊能力を引き継いでおり、その力を、幼少時は父の英才教育で、高校時代に早川と出会ってからは河合を師匠として磨いてきた。
- かつて大切に思っていた女性を事故で失っており、ほとんど心を閉ざした状態で暮らしてきた。また、龍村は高校時代の同級生で、とある事件以来の付き合いである。
- 琴平敏生(声:石田彰)
- 蔦の精霊である母と人間の父との間に生まれた半精霊と呼ばれる存在の少年。自然の精霊を見、彼らと話をすることが出来る。好物は天本の作るご飯。
- 身長163センチ、体重50キロ、血液型はO型で、3月11日生まれのうお座(第1作で17歳)。
- 栗色の髪に鳶色の大きな瞳を持つ。自分を捨てて他人を思いやることが出来る性格。雑霊に憑かれやすく、初期の頃はよく天本に祓ってもらっていた。母の形見の水晶珠の力を借り、古の道士と草木の精霊の加護を得ることが出来る。また、その性格から、天本の助手として霊の依り代となることも多い。
- 小一郎(こいちろう)(声:矢尾一樹)
- 天本が使役する式神たちを束ねる役目を負う式神。高校生だった天本に捕らえられた時は、緑色をしたスライム状の妖魔だったが、現在は長身の青年の姿で顕現する。普段は小さな羊人形に依っている。
- 敏生が同居を始めた当初、彼への嫉妬心もあってか仲は良くなかったが、巻が進むうちに、敏生に感化され、今更聞けない人間世界の常識を敏生に聞くなど、はたから見れば凸凹コンビにしか見えないほどに仲良くなる。
- 言葉はテレビの時代劇と、主である天本の言葉遣いから学んだため、少々言葉遣いが古風である。
- 早川知足(声:大林隆介)
- 初老の男性で、表向きは外車を販売するディーラーの販売課長。だが、裏向きの顔は、天本が所属する「組織」のエージェントであり、若い頃は術者として表舞台で追儺の仕事をしていた。天本を「組織」に勧誘したのも彼である。妻子もち。
- 「組織」の仕事で天本家を訪れる際、必ず何かしらの手土産を携える。職業柄かやや慇懃無礼な喋り方をする。如才ない仕事ぶりで天本をサポートする。
- 河合純也(かわい すみや)(声:樫井笙人)
- 天本の師匠で、彼を「テンちゃん」と呼ぶ男。通称「添い寝屋」。だらけた学生のような服装をしている。眼鏡をかけているが、その奥の目は常に閉じられており、盲目である。見かけは25歳くらいの青年だが、実年齢はもっと上(「10年くらい同じ姿である」との証言もある)。それゆえに龍村からは「ご老体」と呼ばれることもしばしば。
- 身長174センチ、体重はその時世話になっているお姉ちゃんの待遇で変動、血液型はO型で11月24日生まれのいて座。
- 「世界中に四畳半を持つ」と豪語しており、世話になる「お姉ちゃん」は多い。
- ぱさぱさした茶色い髪を持つ。体内で、天本に「たつろう」と名づけられた獏のような妖魔と共存しており、その妖魔の力で人の夢の中に入り込み、妖魔に夢魔を食わせることで祓う。夢の中では目が見え、その双眸は水色である。
- 天本が大切にしていて事故で失った女性は、彼の妹であることが中盤で判明する。
- 龍村泰彦(たつむら やすひこ)(声:森川智之)
- 天本の高校時代の同級生。だが、1年間留学していたため、年齢は1つ年上である。4月5日生まれのおひつじ座。
- 現在兵庫県監察医務室に勤務する監察医で、第1作で数年ぶりに天本と再会し、親交が復活する。敏生を弟分として可愛がっている。兄が1人おり、小学生の姪がいる。
- 独特の派手な服装センスを持つ巨漢であるため、かなり目立つ。
- また、「鬼籍通覧」シリーズの伏野ミチルとは学会の同期である。
- トマス・アマモト
- 天本の実父で、イギリス人。「天本」という姓は帰化した時に自らつけた。天本と敏生に対し、大掛かりな何かを仕掛けているが、その全貌はまだ不明である。
[編集] シリーズ一覧
- 人買奇談
- 泣赤子奇談(なきあかごきだん)
- 八咫烏奇談(やたがらすきだん)
- 倫敦奇談(ロンドンきだん)
- 幻月奇談(げんげつきだん)
- 龍泉奇談(りゅうせんきだん)
- 土蜘蛛奇談(つちぐもきだん)上下
- 景清奇談(かげきよきだん)
- 忘恋奇談(ぼうれんきだん)
- 遠日奇談(えんじつきだん)※短編集
- 蔦蔓奇談(つたかずらきだん)
- 童子切奇談(どうじきりきだん)
- 雨衣奇談(あまごろもきだん)
- 幽幻少女奇談(ゆうげんしょうじょきだん)※CDブック
- 嶋子奇談(しまこきだん)
- 獏夢奇談(ばくゆめきだん)
- 犬神奇談(いぬがみきだん)
- 楽園奇談(らくえんきだん)
- 琴歌奇談(ことうたきだん)
- 生誕祭奇談(せいたんさいきだん)※CDブック
- 海月奇談(かいげつきだん)上下
- 抜頭奇談(ばとうきだん)
- 尋牛奇談(じんぎゅうきだん)
- 傀儡奇談(くぐつきだん)
- 白拍子奇談(しらびょうしきだん)※CDブック
- 鳴釜奇談(なりがまきだん)
- 堕天使奇談(だてんしきだん)