大須
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大須(おおす)とは、愛知県名古屋市中区中心部にある地名である。
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歴史
起源
名古屋開府(いわゆる清洲越)による名古屋城の城下町の整備に伴い、もともと岐阜県羽島市にあった大須観音が徳川氏の命により名古屋城下に移転。北方にあった萬松寺(織田信秀の伯父によって開山)も、境内地を城下町にするため現在地に移転。その後、西別院(西本願寺名古屋別院)も設立され、門前町として発展した。
歓楽街の時代
明治維新後、萬松寺が境内を一般の商業用地として開放。名古屋市内随一の歓楽街として栄えた。劇場、演芸場、映画館などが数多く作られた。遊郭(旭遊郭)も設置されたが、遊郭は1919年に現在の中村区大門地区に移転した。
電気街・電脳街として
戦後、客足が栄に流れ一時寂れた時期もあったが1970年代後半に入り、第一、第二アメ横ビルや商店街などにも家電店、パソコンショップが集まり、秋葉原、日本橋(にっぽんばし・大阪)に次ぐ電気街(2006年7月の調査によると、電器店、パソコンショップ等の数は秋葉原、日本橋、大須の順で多い)として発展し、日本三大電気街の1つとして数えられるようになった。しかしアーケード商店街がメインであり、駅前の大型店進出(名古屋駅前ビックカメラ)により日本橋の例と同様に電気街としては縮小傾向にある。また、電脳街としてもグッドウィルや九十九電機などが店舗統廃合するなど、名古屋駅近辺に進出したビックカメラグループや栄に進出したヤマダ電機などの影響や業界再編の波で縮小傾向にある。
年表
- 1612年 - 江戸時代に大須郷(岐阜県羽島市大須)に開山された大須観音が移転してくる。
- 1965年 - 大須演芸場オープン。
- 1967年 - 地下鉄名城線開通(上前津駅)。
- 1970年 - 大須観音の本堂再建。
- 1977年 - ラジオセンターアメ横ビル(第1アメ横ビル)オープン。
- 1977年3月11日 - 地下鉄鶴舞線開通(大須観音駅・上前津駅)。
- 1984年 - 第2アメ横ビルオープン。
- 2003年12月6日 - 大須301ビル開業。
現状
東海地方のオタク街
他の電気街と同様オタク街としても発展しており、その歴史も長く、古くは同人ショップが全国化する10年以上前からDカルトが存在していた。メイド喫茶(あいさつなど現在のメイド喫茶の形態は大須が発祥)があり、今や秋葉原名物となったおでん缶も名古屋が発祥であるなど有名だが、久屋大通のコミックとらのあな・まんだらけ、名駅地区のメロンブックス・アニメイトなど東京資本の店は大須以外に立地している。しかし2005年には、ゲーマーズ名古屋店が久屋大通から大須に移転し、2007年末にはまんだらけも名古屋店を大須に移転をしたこともあり、更なる発展の兆しもある。
様々な施設がある街
また、コメ兵、矢場とん、寿がきや食品、大須ういろの本店・本社も大須にある。このため中古品売買店、名物の飲食店や通常の飲食店、おみやげ物の店舗も多数ある。
萬松寺、大須観音といったお年寄りも多く訪れるスポットもある。また、大須の再生には若年者の自営業開始が相次いでいる事も寄与している。
古くには衣料品の問屋が多かっただけあり現在でも衣料品の店舗が多く、若者向けの衣料品店も多く出店。
そのほかに郵便局、銀行があり、大須演芸場、古着屋、各国料理店、飲み屋、家具屋、仏壇屋、ゲームセンター、パチンコ・パチスロ店、射撃場、銭湯など無いものは無いと言われるほど何でもある。(但し、名駅・栄地区で盛んな百貨店、高級ブランド品販売、ビジネスホテル、カラオケボックスはほとんどない)
よって浅草、秋葉原、原宿、池袋、巣鴨が全て足されたような地区だと言われる。 このため、オタク系趣味の者の隣に若いカップルやお年寄りが歩き、家族連れや外国人が店頭の商品を見ているという、他の街ではあまり見られない光景も見受けられる。
アーケード街
広大なアーケード商店街が広がり人通りが絶えない、老若男女・国籍・人種も様々で県外から買い物に訪れる人も少なくない。また、アーケードを外れた裏道や路地にも様々な店舗があり、大須の面白さでもある。この大須のカオス的な良さは、小規模店舗を積極的に開いたこともあろうが、隣接する栄地区の企業の本店・支店や百貨店、ブランドショップが建ち並ぶ「高級感」に対して作り上げられた面もあるといえる。
近年、全国各地の商店街が衰退・縮小する中で、再生し更なる発展を遂げた稀な例である。
なお、電子マネーEdyやiDのシステム導入に積極的であり、約半数の店がEdyやiDでの支払いが可能である。
治安面
かつては組関係の事務所も何ヶ所か点在していたが、近年はかなり減少してきている。とはいえ、最近は2007年9月8日にパソコン買取店で強盗事件が発生する[1]など、まだまだ安全な町とは言いがたいのが現状である。
地理
範囲
地域概念としての「大須」は、大須通(岩井通)、大津通(南大津通)、伏見通(国道19号線)、若宮大通の4つの道路に囲まれたエリアを指すことが多い。これは町名としての「大須」のほぼ中心部にあたる(町名としての「大須」は南北を若宮大通と大須通、東西を堀川と新堀川で囲んだ区域をいう)。それを以下の6つの主要道路で仕切っている。
- 東西横断道(北から)
- 赤門通(大須本通以西は「赤門明王通」)
- 万松寺通(門前町通以西は「大須観音通」)
- 東仁王門通(門前町通以西は「仁王門通」)
- 南北縦貫道(東から)
- 新天地通(赤門通以北は「北新天地通」)
- 裏門前町通
- 大須本通(万松寺通以南は「門前町通」)
アクセス
主な施設
- 大須301ビル
- 大須演芸場
- 第1・2アメ横ビル
- コメ兵
- 万松寺
- Transamerica(旧FMダンボ)を含むゲインビル
- 大須観音
- テレビ愛知
- 名古屋中郵便局
- 名古屋スポーツセンター:数多くのスケート選手を生み出すスケートリンク※浅田真央選手もここで練習していた。
- グッドウィル各店舗
- 矢場とん本店
- ローズコートホテル
- ランの館
- 七ツ寺共同スタジオ
祭り・イベント
- 8月上旬:大須夏まつり
- 8月下旬:にっぽんど真ん中祭り
- 10月:大須大道町人祭(名古屋祭りと同一日に開催)