共勝丸
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株式会社共勝丸(きょうしょうまる)は、本土(東京)と小笠原諸島(父島・母島)を結ぶ貨物船「第二十八共勝丸」を運航する会社。
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[編集] 概要
本社は宮城県石巻市。以前は漁船や内航貨物船を多く所有していたが、現在は東京と小笠原諸島を行き来する「第二十八共勝丸」のみを運航している。なお現在、共勝丸のオペレーションは東京営業所(東京都中央区勝どき)で行っており、旅客・貨物の問い合わせもそちらで受け付けている。
船名の「第二十八 - 」は、1から順番に船が造られたわけではなく、その都度名づけられる。(「第二十八 - 」は、末広がりの縁起をかついだ船名という。[要出典])
おがさわら丸では運べない(運びにくい)建築資材・ガソリン(おがさわら丸などの旅客船では法律上搭載禁止)などの危険物や、島で消費する燃料や冷凍食品や冷蔵食品、島で発生した廃棄物など資材の運搬が主な任務だが、おがさわら丸がドック入りした場合は郵便物などの輸送もあわせて行う。また母島まで直接向かう貨物船のため、大型貨物を輸送する場合は父島での積替えがないぶん好都合である。[要出典])
当船にはキャビン(客室)が設けられている。利用できるのは原則として以下の場合である。
- 荷物の付き添い
- 小笠原諸島の住民
- その他、緊急と認められる場合
それ以外の理由で乗船を希望する場合は船会社まで相談すること(乗船が優先される上記2件に該当する者がいない場合は乗船できる場合が多い)。なお、父島-母島間はこの限りではない。
運航はあくまでも貨物優先であり、気象条件によっては到着まで大幅な遅延が発生する場合もある。主機関の出力は約2,000psと沿岸航海の貨物船に較べ高いが、黒潮の影響を受けるため通常運航でもスピードが11ノット前後(おがさわら丸は22.5ノット)であるほか、おがさわら丸が直線的な航路をとるのに対し伊豆諸島の島づたいに航行するため時間がかかる。通常の所要時間は46時間程度である(気象条件によっては大幅に遅延することもある)。
おがさわら丸より運賃が安く、食事も3食提供される(遅延時を含む)。
キャビンは2段寝台となっているほか、室内には自由に使える冷蔵庫、テレビ、ビデオおよびDVDデッキがある。
[編集] 沿革
(小笠原航路関係のみ)
- 1968年8月 小笠原諸島の本土復帰後はじめて、東海汽船のチャーターによる「第十二共勝丸」就航。貨物主体ながら5人の旅客定員を持っていた。
- 1971年12月 自営の不定期航路が許可、「第二十一共勝丸」就航。(以後「第十二共勝丸」「第二十共勝丸(初代)」「第十一共勝丸(初代)」の順で許可を受ける)
- 1978年12月 初代に代わって「第十一共勝丸(二代目)」進水
- 1982年10月 初代に代わって「第二十共勝丸(二代目)」進水、7名の旅客定員を持っていた。
- 1993年9月 「第二十八共勝丸」進水
[編集] 基本的な運航パターン
- 1日目正午 東京港月島埠頭(ふとう)出港
- 1日目午後 東京港10号地埠頭接岸、プロパンガスなど危険物の荷役(終了次第出港) ※10号地埠頭での客扱いは行わない
- 1日目夕方 洲崎灯台沖を通過、東京湾から太平洋に出る
- 2日目早朝 伊豆諸島・八丈島沖を通過
- 2日目昼頃 須美寿島沖を通過
- 2日目夕方 鳥島沖を通過
- 3日目早朝 小笠原諸島・聟島列島沖を通過
- 3日目10時頃 父島二見港接岸
- 4日目6時30分頃 父島二見港出港
- 4日目9時30分頃 母島沖港接岸
- 4日目昼過ぎ 荷役終了次第、母島沖港出港
- 4日目夕方 父島二見港接岸
- 5日目正午 父島二見港出港
- 6日目早朝 鳥島沖を通過
- 6日目夕方 八丈島沖を通過
- 7日目未明 洲崎灯台沖を通過、東京湾に入る
- 7日目朝 東京港月島埠頭接岸
[編集] 第二十八共勝丸
- 総トン数 317t
- 全長 59m
- 旅客定員 9名(キャビン4人×2室、予備室1名)
- 航海速力 9-11ノット程度
- 燃料 重油
- 建造 株式会社ヤマニシ(宮城県石巻市)