佐多 (給油艦)

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艦歴
計画	1918年度（八六艦隊案）
建造所	横浜船渠
起工	1920年3月6日
進水	1920年10月28日
竣工	1921年2月24日
喪失	1944年3月31日^[1]
除籍	1944年5月10日
要目
排水量	常備：15,400トン
全長	垂線間長：138.68m
全幅	17.68m
吃水	8.08m
機関	円缶4基直立3気筒3段膨張レシプロ1基 1軸 3,750馬力
速力	12.0ノット
航続距離	不明
燃料搭載量	石炭1,350トン
乗員	142名
兵装（戦時のみ搭載）	45口径3年式14cm単装砲 2基 40口径三年式8cm単装高角砲 2基
その他	石油積載量：8,000トン潜水艦救難設備^[2]

佐多（さた）は日本海軍の給油艦。知床型の1艦。鹿児島県の佐多岬より名称が取られる。

[編集] 概要

1921年（大正10年）2月24日横浜船渠にて竣工、佐世保鎮守府籍となる。竣工から1937年（昭和12年）までは海外からの重油輸送に従事した。『日本海軍史第7巻』によると同年8月から9月にかけて佐世保工廠で航空機搭載設備を設置し、特設水上機母艦として特別大演習に参加した。また同年の支那事変勃発により中国沿岸に進出し、補給任務にあたっている。

[編集] 潜水艦救難

1938年（昭和13年）に潜水艦救難設備が装備され^[2]、2度の潜水艦遭難の際にはそれを使って沈没潜水艦の引き揚げを行った。

1度目は伊63で1939年（昭和14年）2月2日に伊予灘で水上で漂泊中に伊60に衝突され沈没した。水深が97mと深く、また潮流も速いため、潜水夫による作業がほとんど不可能だった。そのために半年以上が経過してようやく船体に索が回された。干満差による海面の昇降とタンクの注排水によって徐々に船体を引き揚げて移動する潮吊り法が使われて、本艦によって沈没潜水艦は浅瀬に移動した。最後はトラス船によって海岸に移動し、遺体収容、事故調査等が行われた。これらの作業に1年ほど掛かった。

2度目は1941年（昭和16年）10月2日に伊61が玄界灘で木曾丸と衝突し水深65mの場所に沈没。掃海によって索を回したところで、12月3日より本艦によって潮吊り法で引き上げられた。12月26日に水深20mの浅瀬まで移動し、その後はトラス船によって翌年1月20日に浮揚されている。

[編集] 太平洋戦争

前述の通り開戦時には佐世保鎮守府付属として伊61の引き揚げに従事していた。翌1942年（昭和17年）2月に海軍省所属となりサイゴンで航空燃料の輸送任務に従事、ミッドウェー海戦では「鶴見」と共に攻略部隊の補給隊として参加した。以後は各地への燃料輸送に従事していた。

1943年（昭和18年）12月1日以降は聯合艦隊付属となる。翌1944年（昭和19年）2月17日にパラオ北方で雷撃を受け損傷、パラオに曳航されてそこで修理に当たっていた。しかし同年3月31日^[1]に敵艦載機の空襲を受けて沈没した。この際に同型艦「石廊」、給油艦「大瀬」なども共に失われている。

[編集] 同型艦

知床型給油艦: （能登呂） - 知床 - 襟裳 - 佐多 - 鶴見 - 尻矢 - 石廊

[編集] 参考文献

海軍歴史保存会『日本海軍史第7巻』（第一法規出版、1995年）
片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝』（光人社、1993年） ISBN 4-7698-0386-9
雑誌「丸」編集部『写真日本の軍艦第13巻小艦艇I』（光人社、1990年） ISBN 4-7698-0463-6
雑誌「丸」編集部『写真日本の軍艦第14巻小艦艇II』（光人社、1990年） ISBN 4-7698-0464-4
『世界の艦船増刊第47集日本海軍特務艦船史』（海人社、1997年3月号増刊、第522集）
日本造船学会『昭和造船史第1巻』（原書房、1981年、第3刷）ISBN 4-562-00302-2

[編集] 脚注

^ ^a ^b 『世界の艦船日本海軍特務艦船史』p16、『写真日本の軍艦第13巻』p43の行動年表による。一方『日本海軍史第7巻』p451、雑誌「丸」編集部『写真日本の軍艦第14巻小艦艇II』（光人社、1990年） ISBN 4-7698-0464-4掲載の伊達久「第二次世界大戦日本海軍作戦年史」によると3月30日の沈没とされている。
^ ^a ^b 『世界の艦船日本海軍特務艦船史』p17による。『写真日本の軍艦第13巻』p11によると竣工後に装備された貨物搭載用のヘビーデリックを使用。