伊東光晴
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伊東光晴(いとう・みつはる、1927年9月11日 - )は日本の経済学者。京都大学名誉教授、復旦大学(中国)名誉教授、福井県立大学名誉教授。専門は理論経済学、経済政策。東京都出身。
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[編集] 学問態度
杉本栄一の影響の下、マルクス主義的を媒介としての近代経済学研究に従事する。近代経済学者にしばしばありがちな、マルクスへの無視ではなく、もちろん、旧来のマルクス主義からの超越的批判でもない柔軟な研究は、市民社会派の一員であることを示している。1960年代から80年代にかけてはテレビでの解説でも知られ、学問と市民の日常をつなぐことにも大きな功績があった。
敗戦により、社会のロマンを解こうと経済学の道に入る。イギリス経済学の理論的・思想的研究、現代資本主義論の研究を進めた。経済学に技術の問題、経営の問題が抜けているといち早く指摘。加えて、医療、電気通信、交通、流通などさまざまな公共政策分野で政府の審議会を動かしてきた。
[編集] 略歴
[編集] 学歴
- 東京都立両国高等学校卒(42回)
- 1951年 東京商科大学(現一橋大学)卒業
- 1954年 東京商科大学大学院特別研究生修了
- 1956年 東京商科大学大学院特別研究生修了
[編集] 職歴
- 1956年 東京外国語大学講師
- 1961年 東京外国語大学外国語学部助教授
- 1967年 東京外国語大学外国語学部教授(1970年3月まで)
- 1970年 法政大学非常勤講師
- 1971年 法政大学経済学部教授
- 1977年 千葉大学人文学部教授
- 1981年 千葉大学評議員(1983年まで)
- 1985年 京都大学経済学部教授(経営政策大講座)
- 1987年1月 京都大学大学院経済学研究科現代経済学専攻創設委員長
- 1987年4月 京都大学大学院経済学研究科現代経済学専攻現代経済学講座教授
- 1988年 京都大学評議員(1990年1月まで)
- 1990年1月 京都大学経済学部長・大学院経済学研究科長(1991年3月まで)
- 1991年9月 放送大学教養学部教授(1996年3月まで)
- 1996年 福井県立大学大学院経済・経営学研究科初代研究科長
- 1996年 鹿児島経済大学大学院開設準備委員会顧問
- 2001年 学校法人津曲学園理事
- 早稲田大学客員教授
[編集] 学外における役職
1978年から1983年まで理論経済学会理事、1985年経済学史学会幹事、1986年経済政策学会常任理事。
日本学術振興会学術顧問、郵政省電気通信審議会NTT特別部会長、厚生省中央社会保険医療協議会調査実施小委員会委員長、厚生省少子・高齢社会看護問題検討会座長、厚生省歯科医師の需給に関する検討会座長、財団法人生命保険文化センター評議員等を歴任。
[編集] 受賞歴・叙勲歴
[編集] 弟子
弟子に村田修造(大阪成蹊短期大学教授)、中村達也(中央大学教授)、渡会勝義(早稲田大学教授)、岡敏弘(福井県立大学教授)、岩本武和(京都大学教授)、根井雅弘(京都大学教授)、井上義朗(中央大学教授)、依田高典(京都大学教授)、服部茂幸(福井県立大学教授)、広瀬弘毅(福井県立大学助教授)
[編集] 著書
[編集] 単著
- 『経済学入門-激動する現代資本主義の核はなにか-』(光文社<カッパ・ブックス>、1962年)
- 『ケインズ:“新しい経済学”の誕生』(岩波書店<岩波新書>青版449、1962年)
- 『大量消費時代:消費革命・流通革命・産業構造』(河出書房、1964年)
- 『近代価格理論の構造:競争・寡占・独占』<現代経済学叢書>(新評論、1965年)
- 『新しいインフレーション:現代資本主義と日本経済の病』(河出書房、1966年)
- 『保守と革新の日本的構造』(筑摩書房、1970年)
- 『現代の資本主義:やさしい経済セミナー』(筑摩書房、1971年)
- 『生活のなかの経済学』(朝日新聞社1972年)
- 『現代経済を考える』(岩波書店<岩波新書>、1973年)
- 『生活のなかの経済学』(講談社<講談社学術文庫>58、1976年)
- 『日本の経済風土』(日本評論社<日評選書>、1978年)
- 『行革:臨調答申をどう読むか』(岩波書店、1982年)
- 『ケインズ』(講談社、1983年)
- 『経済学は現実にこたえうるか:日本経済への政策提言』(岩波書店、1984年)
- 『現代の資本主義-やさしい経済セミナー-』(筑摩書房、1984年)
- 『転換期の日本経済』(日本放送出版協会、1985年)
- 『現実のなかの経済学:経済戯評』(岩波書店、1987年)
- 『技術革命時代の日本:経済学は現実にこたえうるか』(岩波書店、1989年)
- 『日本経済と産業と企業』<放送大学教材>(放送大学教育振興会、1992年)
- 『ケインズ』(講談社<講談社学術文庫>、1993年)
- 『岩波市民大学 人間の歴史を考える(15)/21世紀の世界と日本』(編集委員:宮本憲一、道家達将、中村正則、杉原泰雄、岩波書店、1995年 )
- 『近代価格理論の構造:競争・寡占・独占(新装版)』(新評論、1995年)
- 『君たちの生きる社会』(筑摩書房<ちくま文庫>、1996年)
- 『サービス産業論:サービス産業と公共政策』<放送大学教材>(放送大学教育振興会、1996年)
- 『「経済政策」はこれでよいか:現代経済と金融危機』(岩波書店、1999年)
- 『日本経済の変容:倫理の喪失を超えて』(岩波書店、2000年)
- 『現代に生きるケインズ:モラル・サイエンスとしての経済理論』(岩波新書、2006年)
- 『日本経済を問う―誤った理論は誤った政策を導く』(岩波書店、2006年)
[編集] 共著
- 『世界の企業-アメリカの産業と企業-』<シリーズ比較企業体制2>(石川博友との共著、筑摩書房、1975年)
- 『世界の企業-フランス・イタリアの政府と企業-』<シリーズ比較企業体制3>(石川博友との共著、筑摩書房、1975年)
- 『世界の企業-西ドイツの経済と産業-』<シリーズ比較企業体制4>(石川博友との共著、筑摩書房、1975年)
- 『世界の企業-国際企業社会と日本-』<シリーズ比較企業体制5>(石川博友との共著、筑摩書房、1976年)
- 『国鉄を考える』(井上ひさしとの共著、岩波書店<岩波ブックレット>9、1986年)
- 『シュンペーター-孤高の経済学者-』(根井雅弘との共著、岩波書店<岩波新書>(273)、1993年)
[編集] 編著
- 『経済学のすすめ』<学問のすすめ3>(佐藤金三郎との編著、筑摩書房、1968年)
- 『情報通信の発展とNTTの今後』(日本評論社、1996年)
- 『岩波 現代経済学事典』(岩波書店、2004年)
[編集] 著作集
- 『伊東光晴/経済学を問う 1:現代経済の理論』(岩波書店、1998年)
- 『伊東光晴/経済学を問う 2:現代経済の変貌』(岩波書店、1997年)
- 『伊東光晴/経済学を問う 3:現代経済の現実』(岩波書店、1998年)
[編集] その他
京都大学最終講義「経済学40年」は、京都大学定年退官を記念して編まれた論文集である根井雅弘・西村周三編著『現代経済学の再検討』(日本評論社、1992年)に収められている。