仰げば尊し
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仰げば尊し(あおげばとうとし/あふげばたふとし)は、卒業式で合唱されることがある歌。 2007年(平成19年)に日本の歌百選の1曲に選ばれた。
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[編集] 概要
作詞・作曲者不詳のスコットランド民謡とされているが、作詞・作曲ともに当時の教育者伊沢修二ではないかとの説、作詞が大槻文彦・里見義・加部厳夫合議であるという説がある。
1884年(明治17年)に小学唱歌を編集する際に、伊沢が唱歌として加えたのが唱歌としての始まりである。
しかし、その歌詞の内容が教師を崇めるものとして反発の対象となり、また、立身出世を呼びかけている事から社会情勢の変化に合わないとして、公立学校(特に小学校)を中心に卒業式合唱曲を「旅立ちの日に」等に変更することが多くなっている。
[編集] 歌詞
- 仰げば 尊し 我が師の恩
教(おしえ)の庭にも はや幾年(いくとせ)
思えば いと疾(と)し この年月(としつき)
今こそ 別れめ いざさらば - 互(たがい)に睦し 日ごろの恩
別るる後(のち)にも やよ 忘るな
身を立て 名をあげ やよ 励めよ
今こそ 別れめ いざさらば - 朝夕 馴(なれ)にし 学びの窓
蛍の灯火 積む白雪
忘るる 間(ま)ぞなき ゆく年月
今こそ 別れめ いざさらば
「身を立て名をあげ」が立身出世を示唆するものであるとして、2番の歌詞を省略することがある。
なお、題は、歴史的仮名遣いで「あふげばたふとし」であり、扇(あふぎ)をおおぎと発音する例にあわせると、おおげばとおとしと発音するのが正しい(金田一春彦・安西愛子『日本の唱歌(上)明治篇』講談社文庫1977.10.15ISBN 9784061313682、藍川由美『これでいいのか、にっぽんのうた』 文春新書, 1998年 ISBN 9784166600144)のだが、現代仮名遣いによりあおげばとうとしと表記されたため、発音が表記に引きずられ(現代仮名遣いは必ずしも表音式表記ではないのにそう勘違いされたため)、誤って歌われ今にいたる。
[編集] 「仰げば尊し」を題材にした作品
- 1984年に、パンク・ロックバンド「ザ・スターリン」のボーカルであった遠藤ミチロウがこの楽曲をパンク・ロック調でカバーした。また、その音源は2002年に学生マンション情報誌の『ナジック』のテレビコマーシャルで使用された。
- 1993年にTBS系列で放送されたドラマ「高校教師」では、劇中一貫して森田童子の曲を挿入歌としていたが、最終回で教師・羽村と生徒・繭が列車で逃避行するクライマックスではこの曲が印象的に流された。
- 1995年にSMAPがシングル「KANSHA」してのカップリング曲としてカヴァー。途中でメンバーによるRAPも入るなど軽快な曲としてアレンジされている。
- 2005年に日本テレビ系でテレビドラマ『女王の教室』の最終回では、恩師に素直に感謝の意味を伝えるとして再評価され、教室で生徒全員が教師・阿久津に向けて大合唱をした。
- 中学校を舞台としたゲーム「3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!」では、卒業式およびおまけモードでこの曲が使われている。
- 2006年に発売された人気恋愛アドベンチャーゲーム 「D.C.II 〜ダ・カーポII〜」の天枷美夏ルートのエンディングで聴くことが出来る。これは出演声優に加え、スタッフのメンバーも歌っている。
- 2007年に完結した漫画『金色のガッシュ!!』では最終回前の重要な場面に使用されている。
- 2007年1月からOAされていたレオパレス21の新生活キャンペーンCMの高校の卒業式の場面でもこの曲が使われている。また、2007年3月からOAされていたノバルティスファーマのラミシールATのCMの場面でもこの曲が使われている。