三遊亭圓丈
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三遊亭 圓丈(さんゆうてい えんじょう)は落語家の名跡。当代は3代目だが、落語協会公式においては、「初代」という位置づけになっている(師匠圓生が、圓丈の真打昇進の際に「お前が初代だ」と発言した事が起因と思われる)が、本人は「3代目」と記述する事が多い。
- 初代三遊亭圓丈 - 後の6代目司馬龍生。本名は永島勝之助。
- 初代と2代目の間に、もう一人圓丈がいた可能性があるが、詳細不明。
- 2代目三遊亭圓丈 - 最初は4代目橘家圓喬門下で喬太を名乗り、後に圓丈となる。本名は山内正次郎。
- 3代目三遊亭圓丈 - 本項にて詳述。
3代目三遊亭 圓丈(さんゆうてい えんじょう、1944年12月10日 - )は落語協会所属の落語家、同協会監事。本名は大角弘(おおすみ ひろし)。愛知県名古屋市瑞穂区出身。明治大学文学部演劇学科中退。出囃子は『官女』。定紋は三ツ組橘だが、ローリング・ストーンズのベロマーク(タンロゴ)など、様々なワッペンを着物に貼って高座に出ることが多い。主に新作落語を演じる。
なお「圓丈」は本人の出版物・作成物の名義や、本人(及び門弟)の表記は一貫して「円丈」と表記されている。一部媒体においても「圓」の付く落語家の中で、彼のみ「円丈」で分けて記されているものが存在する。
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[編集] 経歴
- 1964年 - 12月、6代目三遊亭圓生に入門。前座名「ぬう生」。
- 1969年 - 4月、二つ目に昇進。
- 1978年 - 3月、真打昇進と同時に「圓丈」を襲名。
- 1980年 - 前年の圓生急逝により落語三遊協会が解散、落語協会に復帰。
- 1981年- 第9回フジテレビ放送演芸大賞最優秀ホープ賞を受賞
- 2003年 - 落語協会監事に就任。
- 2006年 - 落語協会監事再任。
[編集] 人物
1979年の圓生死去までは圓生が新作を嫌っていたこともあり、古典を演じることが多かったが、80年代以降はもっぱら新作派として知られる。その演目のほとんどは自作である。従来の新作落語は落語芸術協会の柳家金語楼の流れを汲むものであったが、圓丈はこうした新作がすでに古臭くなっていると考え、独自の実験落語を創作。弟子の三遊亭白鳥や柳家喬太郎、春風亭昇太など新作を手がける後進の若手落語家や上方の桂三枝などに大きな影響を与えた。柳家喬太郎が圓丈作の『ぺたりこん』をレパートリーとするなど、圓丈自身よりも口演する機会が多くなっている作品もある。
新作の口演に徹してきたが、2005年ごろから、高座で古典落語を演じる事を解禁。弟子に教える噺は全て古典で、三遊派の演じ方にこだわり、「八九升」をまず最初に教える。自身は、「強情灸」「錦明竹」の軽い噺から「豊志賀の死」「らくだ」「居残り佐平次」「文七元結」など大ネタまでを演じている。入門の動機も、新作をするなら基本をみっちり仕込んでくれる圓生のもとがよいとのことであるから、古典落語をきちんと演じられる力量がある。なお、古典を演じる時は眼鏡を外す。
兄弟子5代目三遊亭圓楽とは師匠圓生の死後対立が表面化。1986年に出版した分裂騒動の回想記「御乱心」で落語協会分裂騒動の際の行動を厳しく批判した。
多趣味でも知られ、その一つに狛犬の研究がある。1996年には日本参道狛犬研究会を設立した。
中日ドラゴンズのファンであり、球団誌月刊ドラゴンズにも『三遊亭円丈の頑張ろみゃ~ドラゴンズ』を連載している。あまりにも熱狂的な(中日ドラゴンズ版徳光和夫と例えられる程に狂信的と評する向きもある)ため、コラムなどで他球団選手やファンなどを時折侮辱するなどしており、同じ中日ファンの中でも賛否分かれている。
パソコンやゲームに精通していることでも知られ、パソコンゲーム雑誌『ポプコム』(小学館、休刊)にてゲーム評を連載、パソコンゲーム「サバッシュ」「サバッシュ2」ではシナリオ面を担当した。
名古屋まつりのテレビ中継にゲスト出演した際、同まつりの目玉である「郷土三英傑行列」(織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の仮装巡行)について、アナウンサーから『三英傑の中で、誰が一番好きですか?』と聞かれた時、『僕は3人共嫌いです。みんな郷土を捨てた人物ですから。』と答えている。
[編集] 主な新作落語
- 『悲しみは埼玉に向けて』
- 『悲しみの大須』
- 『肥辰一代記』
- 『いたちの留吉』
- 『夢一夜』
- 『遥かなるたぬきうどん』
- 『稲穂のじゅうたん』
- 『振り返れば』
- 『わたし犬』
- 『横松和平』
- 『一ツ家ラブストーリー』
- 『一つ家公園』
- 『グリコ少年』
- 『ぺたりこん』
- 『ランゴランゴ』
- 『ランボー怒りの脱出』
- 『新寿限無』
- 『即興詩人』
- 『インドの落日』
他
[編集] 落語以外の活動
[編集] 出演
- コンピュートないと(後に「なんでもコンピュート」と改題。)
- 忍者戦隊カクレンジャー:講釈師役
- やっとかめ探偵団:(アニメ)ナレーター担当
- ドラゴンズ倶楽部:(名古屋テレビ:現メ~テレ)
[編集] 著書
- 『円丈18ラウンド・デスマッチ―5段階採点つき』(立風書房/1981年) ISBN 4651400248
- 『円丈のまるでせこい回覧板』(PHP研究所/1983年) ISBN 978-4569212050
- 『御乱心 落語協会分裂と、円生とその弟子たち』(主婦の友社/1986年) ISBN 978-4079239288
- 『雁道(がんみち)―名古屋禁断の書』(海越出版社/1987年)ISBN 978-4906203505
- 『雁道―名古屋禁断の書』(海越出版社/1987年、単行本) ISBN 978-4876971411
- 『ファイナル雁道』(海越出版社/1992年) ISBN 978-4876971404
- 『ハマッた!』(小学館/1993年) ISBN 978-4093850919
- 『THE 狛犬!コレクション―参道狛犬大図鑑』(立風書房/1995年) ISBN 978-4651780382
- 『名古屋人の真実』(朝日新聞社/2006年) ISBN 978-4022614995
[編集] 関連書籍
- 『三遊亭圓丈・実験落語の世界』(企画集団落語王/冬至書房/1981年)
[編集] 音楽
- 『恋のホワン・ホワン』(作詞:Iam Gomm、作曲:Nick Lowe、日本語詞:有川正紗子、編曲:藤田大士)※Nick Loweの「Cruel To Be Kind」のカバー。
[編集] 一門弟子
色物弟子
- 小堀達夫(がっぽり建設)元は三遊亭ぐん丈。
[編集] 外部リンク
[編集] 参考文献
- 諸芸懇話会、大阪芸能懇話会共編『古今東西落語家事典』平凡社、ISBN 458212612X