ヴィマナ
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ヴィマナ(vimana)とは、古代インド最古の古典「リグ・ヴェーダ」叙事詩(ヴェーダの各スムリティ、特に『ラーマーヤナ』など)および叙事詩「マハーバーラタ」(バラータ族の戦争叙事詩の意味)に登場する、自在に空を飛ぶ乗り物のことである。
現代の航空機のように単発・双発・多発などさまざまな形式があり、多くは叙事詩に登場する英雄たちによって戦争などに使用されている。大気圏または、大気圏外への航行が可能な幾種類のヴィマナがあったとされ、インドにおいてはこの故事から普通にジェット機のことを「ヴィマナ」と呼んでいる。
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[編集] ヴィマナの構造
Vimanika Shastla (ヴィマニカ・シャストラ)は、おおよそ紀元前10世紀頃にサンスクリット語で書かれた科学書又は技術解説書であるとされ、他の文献と異なり、神々の話などは一切記されず、ヴィマナに関しての記述のみが記されている。
もっとも本書自体が「ヴァラドヴァージャ」が書いたとされる、現代においては現存しない幻の『ヤントラ・サルヴァスパ』(「機械装置の百科事典」の意味)全40章からなる大聖典から、ヴィマナに関する1章を抜粋して書かれたものとされており、その情報量は原典より劣るものと、本書の著者(ら)が断りを入れている。
この文献には詳細な機体解説と操縦方法が載っており、写真撮影、レーダー探知、高熱放射、有毒ガス、気象センサー、ジグザグ飛行、翼の展開と収縮、敵機内盗聴、敵機内透視、幻影投射、煙幕、カモフラージュ、太陽光線利用等の能力が解説されており、ヴィマナは、その用途によって三角形デルタ翼型、円盤型、ロケット型、飛行船型など数十種類のヴィマナがあったといわれる。
このほかにも本書にはヴィマナの構造や材質、飛行能力の各種別や、パイロットの訓練や運用などのソフトウェア面に至るまで、100ページ以上を割いて、細部に渡る記述が見られ、さながらヴィマナのマニュアルもしくは技術解説書ともいうべき様相をなしている。
またヴィマナは通常、アシュヴィンと呼ばれる御者(パイロット)により動かされ「あたかも若い鷹であるかのように素早く」天空車を動かし、「天界へと上昇させることができる最高位の御者」であるとしている。 天空車は通常2人で操縦し、アシュヴィンは常に航法手(ナビゲーター)を伴っていたという。
(『ヴィマニカ・シャストラ』英訳より引用。太字は引用本文)
- ヴィマナの定義
「飛行術の専門家によれば、空中を国から国へ、島から島へ、世界から世界へ飛行して移動できる機械を、ヴィマナという」
次に、パイロットが精通していなければならない、ヴィマナの機能に関する32の“秘密”、これらは機体の構造、離着陸と飛行の性能、操縦の方法の3種類に大別され、具体的には、どの装置をどう使い、どの開閉器を回せば、写真撮影、レーダー探知、高熱放射、有毒ガス、気象センサー、ジグザグ飛行、翼の展開と収縮、敵機内盗聴、敵機内透視、幻影投射、煙幕、カムフラージュ、太陽光線利用などの能力を発揮できるかが説明されている。
- ヴィマナの能力
「空気のダンダバウトラほか7つの力を引き寄せ、太陽光線を加えてヴィマナのジグザグ中心部に通し、ダイヤルを回すと、ヴィマナは蛇のようにジグザグ航行する」(CCV(運動能力向上))
「5種類の力を操作して、ヴィマナの周囲に光輪を発生させ、さらに太陽光線を引き寄せてそれと接触させると、その光線がヴィマーナを安全な航路に沿って高速移動させることができる」(高速自動航法装置)
「『ソウダーミニー・カラー(電子工学書)』の説明にもあるように、ヴィマナ搭載の音響捕捉装置によって、飛行中の敵機内の会話や物音を聴くことができる」(敵機内盗聴)
「ヴィマナ前方のダイヤルを回せば、ディシャーンパティ装置が敵機の接近してくる方角を示してくれる」(レーダー探知)
「敵機が大挙して迫ってきて撃ち落とされそうになったとき、ヴィシュワーナラナーラすなわち機内中央に位置する管中のジュワリニーの力に点火し、2個の車輪のダイヤルを回して温度を87度にまで高めれば、燃えるジュワリニーの力が敵機を包みこんで焼き尽くす」(高熱放射)
続いて、パイロット候補者に必要な服装と食事法が論じられたあと、冶金学の解説に移る。
- ヴィマナの材質
本書では終始、ヴィマナは金属構造であることが強調されていおり、実際、ヴィマナには“熱吸収力”の強い特別の金属しか適さないと述べられている。
「ソマカ、スーンダーリカ、ムールトヴィカの3種類の金属がある。これらを混合すると、16種類の熱吸収性金属が製造される」
「これらの金属の採鉱法と溶解法について、407種のるつぼが必要である」
- ヴィマナの特殊装備
本項では、ヴィマナに設置しなければならない“7種の鏡またはレンズ”の項へと続く。 これらの鏡やレンズは、純粋に遠方や周囲を観察するためのものから、攻撃・防御兵器にまで多岐に渡る。例えば“ピンジュラーの鏡”は、一種の視覚保護シールドを作り出す。
「太陽光線のマイナス干渉作用をピンジュラーと呼ぶ。それはパイロットの黒い瞳に有害な効果を及ぼす。それをピンジュラーの鏡で遮ることによって、邪悪な光線からパイロットの眼球を防護する」
「ルードリーと太陽光線を混合すると、マーリカーと呼ばれる邪悪な力が生成され、それを太陽電気で放射すると、敵機を破壊する」(あらゆるものを溶かす光線を投射する“ルードリー・タルパナ”という鏡ないしレンズについての記述)
- ヴィマナの動力源
「ヴィマナには7種類の力が必要で、それは7つの発動機によって作り出される。7種の力とは、マー、ルァー、ヤー、ラー、サー、ヴァー、ナーである。マーはウドガマーで上昇する力、ルァーはパンジャラーで下降する力、ヤーは太陽熱を吸収する力、ラーは太陽の12の力を合わせた力、サーは外の力を吸収する力、ヴァーはクンティニーの力、ナーは主要な根本の力である。これらの力を生み出す発動機は導線、ばね、回転輪を使ってヴィマナの機内に設置される」
ヴィマナの基本的な推進原理は電磁気と化学反応作用の組み合わせと思われる。
「こうしてスーリヤ(太陽)・マニは中央電極の基部の容器内に収められることになる。このとき導線は中心からあらゆる方向に出ていなければならない。 それから3重輪が回転運動を始めると、ガラスケース内の2個のガラス球が、次第に速度を増しつつ互いにこすり合い、結果として生じる摩擦が100度の力を発生させる。 その力が導線を通ってサンジャニカ・マニへ運ばれる。 そこに存在する力と混合すると、その力は流れ出て、再び導線を通ってスーリヤ・マニへ伝達される。そこの力と接触するやいなや、その力は5つの流れに分裂する。」
「5つの力の流れはそれぞれマニのひとつと接続される。それぞれのマニ内の力と混合すると、それらの力は新たな5つの力を生成する。これらの力は導線を通って酸の容器へと導かれる。 その結果生じた流れは、導線を通って大きく口を開けた球形のガラス容器へ導かれる。エーテル力を含んだ太陽の力はその容器へと導かれなければならないのだ。」
『ヴィマニカ・シャストラ』の主要な本文は、大部分がこのような調子で書かれており、本書の末尾近くには、西暦前10世紀より昔(前30世紀より以前という説もある)に生きた著者「マハリシ・バラドヴァージャ」のこんな言葉が記されている。
「(本書の内容は)私が古代の著作物を参照しつつ、貧しい能力をふりしぼって叙述したものである」
この本は、彼らにとってもすでに太古に属していた時代の科学技術情報を、彼ら自身の時代と社会の制約の中で、精一杯正確に後世へ伝えようと努力した結果なのである。
[編集] ヴィマナの種類(航空機種別)
「ヴィマニカ・シャストラ」の記述による多種に渡るヴィマナの種別から代表的なものを抜粋。(詳細は外部リンクを参照されたい)
- シャクナ・ヴィマナ(Shakuna Vimāna)
- サンダラ・ヴィマナ(Sundara Vimāna)
- ルクマ・ヴィマナ(Rukma Vimāna)
- トリプラ・ヴィマナ(Tripura Vimāna)
- アグニ・ヴィマナ(Agnihotra Vimāna)(サンスクリット語で「火」を意味する。)
- プシュパカ・ヴィマナ(Pushpaka Vimāna)(サンスクリット語で「花のような」の意味。)
- ガジャ・ヴィマナ(Gaja-Vimāna)(サンスクリット語で「象のような」の意味。同時に多発機の意。)
主力攻撃兵装(「マハーバーラタ」より、サンスクリット語の英語翻訳文を再度邦訳引用)
- アグネア
戦争末期に使用された古代兵器。爆発の瞬間が「太陽を一万個集めたほど明るく煙と火が絡み合った光り輝く柱がそそりたった」と表現されており、また「死の杖のように恐るべき槍。その寸法は3キューブと6フィート。授けられたその力は、千の眼を持つインドラの雷(いかづち)、生けるもの全てを破壊した」と記されてある。
ヴィマナに関する記述そのものの真偽や、これらの叙事詩に記載された戦争の記述がどの程度まで事実であったかどうかについては激しい論争があるが、真実は未だ明らかになっていない。
この戦争の最後には兵器の使用により天変地異や自然破壊をもたらし、多くの災禍を引き起こして終結したと記述されている。これは核戦争やその後の放射能汚染を伝えるものだという説もある。そして、その戦争の中で使用されたという兵器も詳細な機能と性能が記述されている。
[編集] 外部リンク
[編集] 関連項目
- オーバーテクノロジー
- オーパーツ
- 古代核戦争説
- 古代宇宙飛行士説
- ヒンドゥー至上主義
- インド人民党