リチャード・ストルツマン
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リチャード・ストルツマン(Richard Stoltzman, 1942年 - )はアメリカ合衆国のクラリネット奏者。
ネブラスカ州オマハ生まれ。父親はアマチュア・ジャズ奏者の鉄道員で、幼少期をサンフランシスコやシンシナティに過ごした。オハイオ州立大学より数学と音楽の両方で学位を取得。その後、イェール音楽学校でキース・ウィルソンに師事し、音楽学で修士号を取得、その後コロンビア大学の博士課程に在籍した。今では並ぶものの無い名手として知られているが、プロ・オーケストラのオーディションは不合格が続き、ストルツマン以前にはソロのプロ・クラリネット奏者という職業が存在しなかったこともあり、歯医者になるか音楽家になるかこの時期に大いに悩んだという。
バーモント州のマールボロ音楽祭でプロの演奏家として活動を始める。1973年には、メシアンの世の終わりのための四重奏曲を演奏するためのメンバーを探していたピーター・ゼルキンに誘われ、アイダ・カヴァイフィアン、フレッド・シェリーらと共に現代音楽演奏団体「タッシ」の創設メンバーに名を連ねた。ソリストとして、たくさんのオーケストラと共演しているほか、国際的なジャズ・フェスティバルにも参加し、メル・トーメやジョージ・シアリングらと活動をともにしている。
おそらく現在のクラシック音楽界では、最も著名なクラリネット奏者で、100以上のオーケストラや多くの室内合奏団との共演のほか、ソロ・リサイタルにも活躍している。レパートリーは幅広く、録音数も多い。モーツァルトやブラームスなどの定番のレパートリーのほか、武満徹やジェラルド・フィンジなども録音している。アルバム「ニューヨーク・カウンターポイント」では、ジャズとアメリカの現代音楽を特集している。
リチャード・グードと共演したブラームスのクラリネット・ソナタの録音(1983年受賞)と、エマニュエル・アックスやヨーヨー・マらと共演したブラームスのクラリネット三重奏曲の録音(1996年受賞)により、2度グラミー賞最優秀室内楽演奏賞を獲得している。2005年9月1日にイェール音楽学校より長年の活躍を称えて表彰されている。
ストルツマンの奏法はダブル・リップ奏法と呼ばれるやや特殊なものである。上の唇で歯を巻いて楽器を構えるもので、カルメン・オッパーマンから学んだ。楽器を歯でくわえて固定せず柔らかく構えることから吹き方が乱暴にならず、より繊細な表現が可能であるという。
[編集] 参考文献
- 佐々木節夫「古楽の旗手たち—オリジナル楽器演奏のめざすもの」ISBN 4276201845
- (ストルツマンは古楽演奏家ではないが)レコード芸術誌に1991年に掲載されたインタビュー記事が収録されている。